どうも!
チーム オンナのミカタ
映像クリエイターの藤原ななえです。
まずはこんな話からしようか・・・
何はともあれ
私も下請け業者として稼働することが多い、
いち個人事業主です。
ですので、いわゆる発注者との関係性・・・
つまるところ
ビジネス上のパワーバランスというものに
困惑したりストレスを感じるような経験は、もちろんあります。
そんな象徴とも言えるツイートがこちら。
某大企業から仕事の相談が
↓
予算承認これからなので承認のための提案資料つくりたい
↓
何回も打ち合わせし数十時間かけて図解&資料つくる
↓
予算降りませんでしたごめんなさい
別件で前向きに進められないか
↓
じゃあここまでの分一旦精算させてください
↓
一円も払えません
↓
え? ← イマココチャーリー (@tetsurokondoh) July 28, 2021
そもそもこれ下請法違反じゃないんですかね??今回の場合、情報成果物作成委託で、相手は資本金3億円以上(5,000万以上でもたしか当てはまるはず)、こっちは資本金1,000万以下なので下請法が適用されて相手は発注書面の交付義務、支払期日を定める義務などがあるんじゃないの?違います?詳しい人〜
— チャーリー (@tetsurokondoh) July 28, 2021
ひえええ、これはよくあるやつ…
自治体とかでも同じことあります…— 田中美咲 / misaki tanaka (@misakitanaka) July 28, 2021
よくある話ですね。
提案作成は有償だと最初に言わない限りはどこまでも無償で相談に乗ってくれる(資料も作ってくれる)と思われます— 新保 達也 (@shimtat) July 28, 2021
割と広告の仕事とかでも「納品」ベースで仕事をすることが多いので、たまにおこる問題ですね・・ToT
以前ひどかったのは、デザインもできてコーディングも8割くらい終わってたのに「クオリティに満足できない」からなかったことに、と言われて払わないと言われたことがありました(大手企業)。
— 牧野圭太 | DE (@MAKINO1121) July 28, 2021
皆さんが書いてる通り日本あるあるで、ただ工数が重過ぎるのが辛いですね。逸れますが海外だとちょっとした開発や制作だとタダで提案するクラウドソーシングが山ほどあるので、世界市場で比較された日に日本の経験役に立つのか不安です。ただ日本の下請け守る流れには同意です。
— kesshoban (@stampstampg) July 28, 2021
下請けはどうしたって弱者なのか?
前述のツイートは
発注者から仕事を受け「下請け」として稼働するケースかと思われますが、
下請けから仕事を受け「孫請け」として稼働するケースもあります。
私が実際に経験したことがあるのは後者のパターンですが、
その時にとった実際の行動とは・・・
泣き寝入り。いや、何も行動を起こしませんでした。
なぜって、端から「請求できないもの」と思い込んでいたからです。
今となっては後の祭りですが、
今後、同じような状況になった場合の正しい対処について
濵野 裕司 弁護士に“あれこれ”聞いてみました。
結論、発注者への請求は「できる」です。
では実際に、濵野 裕司 弁護士にお話いただいた
その裏付けとなる根拠とアドバイスを共有させていただきます!
実働費の請求は「できる」。ただし・・・
藤原ななえ;
最終的に予算が降りなかったことを理由にプロジェクトがポシャってしまった場合、下請けは発注者に対して、それまでにかかった実働費を請求できないんですか?
濵野 裕司 弁護士;
いいえ、請求できると思います。
藤原ななえ;
できるんですね!ぜひ詳しくお聞かせください!
濵野 裕司 弁護士;
はい。発注者が下請け業者に(仕事の)話を持って行って、下請け業者がその話を受諾し、下請け業者が「時間」と「お金」を使って実際に動いていると言う“事実”があるのであれば、発注者と下請け業者との間に契約(合意)が成立したと言え、代金を請求できると考えられます。
藤原ななえ;
ズバリ契約書などの書面が交わされていない場合、つまり状況証拠だけでも可能ですか?
濵野 裕司 弁護士;
はい。例えばメールのやり取りとか、オンライン上の打ち合わせなどを記録している場合で、ある程度「○○(報酬)で□□(仕事量)をしてください」等の話がなされていて、実際に下請け業者が動いており、その事実を裏付ける領収書や請求書、振込明細書等があれば、契約の成立を証明することができます。
藤原ななえ;
なるほど。「証明できる」と言うことが重要なんですね。では証明できない場合は、やはり泣き寝入りですか?例えば、交通費や立替金などの領収書を紛失してしまった場合など・・・
濵野 裕司 弁護士;
そうですね、細かいものは難しいかも知れないですね。ただし、領収書がない場合でも請求できることもあります。仮に、仕事の範疇で北海道に行ったにも関わらず交通費を証明するための領収書がないとしましょう。この場合だと、領収書がなくても交通費の額を証明することは可能です。北海道に行く場合の公共交通機関の費用の額は、航空会社や鉄道会社、船会社、バス会社等のサイトで料金を調べて証明することは可能ですので、領収書がなくても「仕事で北海道に行った」と言う事実を立証できれば良いのです。
藤原ななえ;
ありがとうございます。仕事の規模によりけり、と言う側面もあるのでしょうか?
濵野 裕司 弁護士;
そうですね。とにかく下請けの方は「できるだけ足跡を残す」と言うことが大切です。発注者とのやり取りは、メールとかLINEとか(証拠として)残る形で行うと言うことが重要。電話だけで済ませると言うことだけは避けなければなりません。
藤原ななえ;
ちなみに、先ほど濱野先生のお話にもあったのですが、発注者から「○○(報酬)で□□(仕事量)をしてください」等の話がなされていない場合で、下請けが仕事を先行してしまっている場合は、請求できないんでしょうか?
濵野 裕司 弁護士;
口約束にしろメール等にしろ正式な発注がなされていない場合、ということですね。そういった場合は、残念ながら請求することは難しいでしょうね。
藤原ななえ;
やはりそうですか。分かりました!ありがとうございました!
下請けは、とにかく足跡を残すべき!
では、簡単に対談内容をまとめますね。
まず下請け業者は、たとえプロジェクトがポシャったとしても
発注者に対して、それまでにかかった実働費等を請求できます。
言い方を変えれば、発注者には支払いの責任があります。
ただし、下請け業者は
「確かに仕事をした」という事実を証明できなければ、
正当に請求することは難しくなります。
喧嘩両成敗じゃないですが、
だいたいの物事は両者ともに落ち度はあるというもの。
下請け業者は、
交通費や立替金などの領収書等を保管しておくこと。
大事な仕事のやり取りは
メールやLINEといったテキストベースで行うこと。
とにかく証拠に残る形で、足跡を残すこと。
いよいよ裁判などになった際には
日頃のこういった対策が非常に重要になるということでした。
そ・し・て
正式な発注がない状態で勝手に仕事を進めないこと!
その場の雰囲気とか、言いにくいオーラとか、
いわゆる忖度とか・・・分かりますよ。でもダメ!!
実際、どれくらいの規模感の仕事なのか?
それにどれくらいの報酬が発生するのか?
などが分からなければ
品質の維持はおろか仕事自体を進めようにないと思うので、
必ず、発注を受けた上で仕事は進めましょう!
とは言えね、なんといってもお付き合いですから、難しいですよね。
でも、お金が発生しなければそれは「ビジネス」とは言えません。
発注者と“良い関係を保つ”ことは言うまでもなく大切ですが、
それと同じだけ“ナメられない”ことも大切ですよね。
今後も
濵野 裕司 弁護士のお力を拝借して、
こういった知っているようで知らない法律のお話をしていきますので
ぜひ一緒にリテラシーを高めていきましょう!