不動産の取引における仲介手数料とは、取引成立時に発生する成功報酬のこと。
基本的には支払われるべきものですが、ある条件下では割引または無料になることも。
しかし安かろう悪かろうではないですが、そこにはリスクも存在。いずれにせよ業者選びが重要です。
仲介手数料無料は非常に魅力的ですが、どうして無料にできるのか？その分、他に料金がかかるのでは？
このような疑問や不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
今回は仲介手数料そのものの仕組みから、割引や無料にできる理由やそれによる影響、信頼できる不動産会社の選び方をご紹介。
特にこれから不動産の賃貸や売買で業者に仲介を依頼する予定の方は、「手数料」という言葉に惑わされないためにも、ぜひご覧下さい。
目次
今さら聞けない？仲介手数料とは？
そもそも仲介手数料とは一体何なのか？というお話から始めましょう。
多くの不動産取引では、売買の場合は売主と買主、賃貸の場合は貸し主と借り主の間に不動産会社が入り、それぞれの契約や手続きの仲介役をします。
その仲介を通して物件の契約が成立すると、成功報酬として支払われるのが仲介手数料です。
勘違いされがちなのが、仲介手数料は単なる物件の紹介料だと思われているケース。
実際には物件紹介はもちろん、現地の案内もしますし、売買や賃貸における双方の条件や金額の交渉の仲介、契約書などの重要書類の作成代行、契約締結までのサポートなど、様々な業務を行ってくれることへの報酬なのです。
そう考えると、仲介手数料は当然の支払いのように思います。
また、このような仲介業務を事業の柱としている不動産業者にとっては、主な収入源でもあります。
つまり、仲介手数料を割り引いたり無料にしたりすることは、集客には効果的かもしれませんが、不動産会社にとっては苦肉の策であるはずなのです。
ではなぜ、そんなことができるのでしょうか？
仲介手数料が割引されたり無料になったりするからくりは？
前述の通り、多くの不動産会社にとって収入源である仲介手数料を取らないという選択ができる理由は主に３つあります。
●両手仲介で、売主や貸し主からのみ手数料を受け取る場合
不動産の仲介方法には片手仲介と両手仲介の２種類あります。
片手仲介とは、例えば買主側のAさんは不動産会社Z社に物件探しを依頼し、売主側のBさんは不動産会社Y社に物件の売却を依頼するというように、1つの物件に対して2社の仲介業者が介入する状態を指します。
この場合、Z社はAさんからのみ、Y社はBさんからというように、どちらか一方からのみ仲介手数料を受け取るので、片手仲介と呼ばれます。
それに対して両手仲介は、上記で言うところのAさんもBさんも同じ不動産会社Z社に依頼した状態。
この場合、売買契約が成立すれば、Z社はAさんとBさん双方から仲介手数料を受け取ることができるため、両手仲介と呼ばれます。
しかし、仲介手数料は必ず両者から取らなければいけないという決まりはありません。
売主にのみ請求し、買主からは受け取らないということもできるのです。
仲介手数料が減額あるいは免除となれば、買主はより安く物件を購入でき、売主にとってはより早く物件が売りやすくなるメリットがあります。
●純粋な企業努力によるもの
不動産会社は人件費や宣伝広告費に多額の費用を使っています。
しかしその中でも、宣伝方法はチラシをやめてインターネットに一本化したり、営業担当者の人数を最小限にしたりして、仲介手数料を多少割り引いても利益が出るよう、工夫をしている企業もあります。
様々な企業努力により経費を抑え、利益率を上げることでお客様に還元する。
そんな不動産会社ももちろん存在します。
●高額な物件の取引の場合
仲介手数料は、家賃１ヶ月分や、売買価格の何%といった設定をされるので、基本的に扱う物件の売買価格や家賃に比例して価格が上がります。
仲介業者として行う業務内容は同じでも、安い物件と高い物件では不動産会社に入る利益が変わります。
そのため、高額な物件の仲介案件ほど、その仲介手数料の割引は融通が利きやすいのです。
いずれの場合も、不動産会社にとっては、仲介手数料が安い、またはかからない会社、物件の早期売却が得意な会社といった高評価に繋がるため、多少利益が減ってもやる価値はあるのです。
仲介手数料が安い・無料の場合に考えられるデメリット
では、そんな仲介手数料無料や割引の不動産会社を選んでも、何も問題はないのでしょうか？
手数料が安い（無料）＝サービスの質が悪い というわけではありませんが、以下のようなデメリットがある可能性があります。
●仲介手数料を支払う側に有利な仲介をされる可能性
例えば前述のように、売主にのみ仲介手数料をもらう場合、不動産会社は売主側により満足してもらいたいと考えます。
報酬をもらうのですから当たり前のことではありますが、売主と買主との間で交渉が発生した場合には、不動産会社は売主に有利な方向に持っていく可能性があり、買主側は注意が必要です。
●細やかなサービスをしてもらえない可能性
はじめに述べた通り、本来、仲介手数料は作業や手続きを代行してもらうことへの報酬でもあります。
そこには人件費やかかった時間といった経費が含まれるはずなので、やはりそれに対する報酬を支払う方が、サービスの質が高くなる傾向にあるのは否めないでしょう。
●仲介手数料以外の名目で別に費用がかかる可能性
仲介手数料は無料でも、書類の作成費や鍵の交換代など、様々な名目で別途お金を請求されるケースもあります。
不要なサービスは断り、必要なものだけ支払うとして、それでも仲介手数料よりお得なのか？慎重に見極める必要があります。
このように、仲介手数料が安い・無料の場合にも、その分、何かしらのデメリットがある可能性があることは頭に入れておいた方が良いでしょう。
信頼できる不動産会社の見極め方
それではやはり、仲介手数料が割引になったり、無料になったりする不動産会社は値段なりの対応になってしまう、ということになるのでしょうか？
そんなことはありません。
上記のようなデメリットはあくまでも「可能性」ですので、もちろん、割引や無料になる会社でも誠実に、平等なサービスを提供してくれる不動産会社もありますが、その見極めが重要だということです。
そこで、仲介手数料の価格にかかわらず、信頼できる不動産会社かどうかの判断をするためのポイントを3つご紹介します。
●口コミや評判を確認する
今はネット検索やSNSで簡単に会社やお店の評判が出てきます。
不動産会社も例外ではありません。
もちろん良い評判も悪い評判もあるでしょうが、それこそ生の声を拾いやすく、大きな判断材料になるでしょう。
情報自体の信憑性にも注意が必要ですが。
●問い合わせへの返答が早く、丁寧か
ネットや電話で問い合わせをした際の対応の仕方や速さにも注目です。
ネットの場合、１営業日以内に何かしらの返信があるか、すぐに返信できない場合にも◯日以内にご連絡します等の具体的な案内があるかといった対応の速さと丁寧さ。
電話の場合は言葉遣いなどから担当者の雰囲気をつかめるかもしれません。
こうした問い合わせ時の態度が良くなければ、その後の契約時にも必ずストレスになるので、しっかりチェックすることをオススメします。
●店内の様子を見てみる
店舗を訪れる機会があれば、ぜひ店内の清掃・整頓状況に注目して下さい。
掃除が行き届き、書類等も整理されていれば、仕事に対してもきちんとした対応をしていると考えられます。
しかし、部屋に汚れたところがあったり、机の上が散らかったりしているような不動産会社なら、その仕事ぶりにも疑問を感じざるを得ません。
売買にしても賃貸にしても、家に関わる重要な契約を仲介する役割の不動産会社。
安心して任せるためにも、上記のようなポイントだけは抑えておきたいところです。
迷ったら第三者に相談してみる
とはいえ、対応や態度だけで見極めるというのもなかなか難しいもの。
実際に交渉の場面になって、売主か買主、あるいは貸し主か借り主のどちらか一方に有利なサービスをされていても、素人では気がつけないことも多いでしょう。
特に売買においては金額も大きくなるので、公平な取引、交渉をしてほしいですよね。
やっぱり自分の判断では不安だ、という方は、第３者に相談するのも一つの手。
そこで相談先としてオススメなのが不動産鑑定士です。
不動産鑑定士とは、不動産会社でも、売主でも買主でもない、完全中立な立場で、不動産の価値を判定する専門家です。
不動産鑑定士なら、第３者の目線から、その売買がどちらかに有利な条件になることなく、公平に行われているかどうかを判断することができます。
これなら不利な状況を事前に察知することができ、本当にその契約を結ぶべきかどうかを見極めやすいですよね。
まとめ
手数料無料や、一律料金などを売りにしている会社もあることから、イマイチ仕組みが分かりづらかった「仲介手数料」。
しかし、本来不動産会社を通して物件の売買や賃借をした場合には必ず発生する成功報酬。
基本的には相応の金額を支払った方が、良いサービスを受けられると思って相違はないと思います。
特に不動産の売買においては大金が動く取引ですから、仲介してもらう業者選びも慎重にしなければなりません。
とは言え、節約できるものはしたいですよね？
仲介手数料の割引がある会社に依頼したい、でも、安い分ちょっと不安…
そんな方はぜひ、不動産鑑定士に相談しましょう。
不動産鑑定士なら、中立な立場から、公平な売買が成立しているか判断してくれるでしょう。
そこで疑問が出れば、契約を結ぶ前に業者を変えることも考えられます。
もしも不動産の売買をお考えなら、セカンドオピニオンのような感覚で相談してみてはいかがでしょうか？
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