媒介とは、不動産を売却する際に売り主が不動産会社と媒介契約を結ぶこと。
その契約の種類ごとに、向いている人・不動産・状況が異なります。
その選択次第で、売却の成否が分かれると言っても過言ではありません。
とはいえ、不動産に関わる職業の方や、不動産投資に精通した人でもない限り、多くの人にとって不動産の売却は馴染みのあるものではありません。
親から相続した家を売る場合など、初めてのことで何もわからないという人も多いことでしょう。
でも、家という大きなお金が動く売却。失敗したくないですし、少しでも良い条件で売れれば…と誰もが思うはず。
今回は媒介についての基本と、３種類の媒介契約それぞれの特徴をご紹介します。
不動産の売却を検討中の方は、ぜひこの記事を参考に、あなた自身の今の状況や売りたい不動産の特徴に最適な契約を見つけて下さい。
仲介と媒介の違いとは？
みなさんも、不動産の売買や、家を賃貸する際などに、「仲介手数料」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。
仲介手数料とは、売り主と買い主、あるいは貸し主と借り主の間に不動産会社が入り、売買や賃貸の手続き等を行う代わりに、双方より支払われる手数料のことです。
媒介というのは、その「仲介」とほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、不動産用語として厳密に言うと、不動産会社に依頼する行為を「仲介」、不動産会社と結ぶ契約のことを「媒介」と呼びます。
よって、賃貸ではなく、主に不動産売却の場面でしか使われません。
媒介契約では、不動産会社がどのような条件で売却活動を行うのか、売却が成立した場合の報酬はいくら（何％）払うのか等の内容を取り決め、契約書を交わします。
その媒介契約の中にも、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約という、条件の異なる３種類の契約があります。
売り主はこの３種類の中から1つを選んで、不動産会社と契約を結ぶことになるのですが、この種類により、売却価格や売却スピードにも影響してくるので、慎重な選択が必要です。
それぞれ順番に契約の特徴を見ていきましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約では、一度に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができます。また、自分自身で見つけた買い主と直接取引をすることも可能です。
それにより、契約した複数の会社間での競争原理を利用し、より好条件で売却できる可能性が高まります。
しかし、競合がいるということは、最終的に自社で売れなければ、仲介手数料が得られないことに加え、その物件にかけた広告費等も無駄になります。
それを避けたい不動産会社としては、よほど売れる自信のある物件以外は、あまり広告や営業にお金も時間もかけたくないのが本音でしょう。
駅チカや人気エリアなど、人気物件を売却したい人にとっては、より良い条件で売却できる可能性が高まるためオススメです。
反対に、特に人気エリアでも駅チカでもない、築浅とも言えないような、人気物件とは言いづらい物件の場合は、不動産会社があまり積極的に販売活動をしてくれない可能性があるので、オススメできません。
専任媒介契約
専任媒介契約では、一度に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことはできません。1つの会社とのみ、媒介契約を結びます。
自分自身で見つけた買い主と直接取引をすることは可能です。
一般媒介契約と違い1社に任せることになるので、販売活動は間違いなく積極的にしてもらえるはずです。
2週間に1回の販売状況の報告も義務付けられています。
そのため、買い手が見つかりやすく、より早い売却の成功確率が高まります。
不動産会社とのやり取りも1社のみで良いため手間が少なく、状況が把握しやすいのも専任媒介契約のメリットです。
しかし、契約した1社のみの販売力に頼ることになるので、不動産会社選びが要になります。
また、他社との比較ができないため、売却価格は最良ではない可能性もあります。
一般媒介契約とは真逆で、駅から少し離れたり、築年数が結構経っていたり、比較的売れにくいとされる物件を確実に売却したい方にオススメです。
人気物件でなくとも不動産会社の販売力を使え、自分でも買い主を探せる守備範囲の広さから、売却が成立しやすい態勢であると言えるでしょう。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約も、一度に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことはできません。1つの会社とのみ、媒介契約を結びます。
また、自分自身で見つけた買い主と直接取引をすることもできません。
売り主にとっては一番制約のある契約と言えるでしょう。
しかしその分、契約した不動産会社からは頻繁に販売活動の報告を受けられる（1週間に1回の販売状況の報告が義務）など、専任媒介契約よりもさらに手厚いサービスが受けられ、売却の成立しやすい契約方法です。
比較的売れにくい物件であることに加え、売却価格よりもスピード重視。とにかく早く売ってしまいたいという方に一番オススメなのが専属専任媒介契約です。
ただし、こちらも1社にすべてを任せることになるので、不動産会社選びは慎重に行う必要があります。
どの不動産会社に依頼すべきか選べない…
それぞれの契約の特徴を見てきました。あなたの売りたい物件や状況から考えると、どの契約が良さそうか分かりましたか？
契約の種類が決まったら、契約する不動産会社を選びましょう。
いずれの契約でも、最も重要なのは不動産会社選び。これも、より良い売却をするためには失敗できない要素です。
しかし、たくさんある不動産会社の中からどこに依頼すれば良いのか？何を基準に判断すればよいのか？分かりませんよね。
無料の売却相談を行っている会社があれば、まずはそこで会社の対応や提案を見てみるのも手ですし、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できるサイトを利用し、査定額の比較を判断材料にするのもアリでしょう。
とは言っても決め手にかける…
そんな方は、一度、不動産鑑定士に相談してみてはいかがでしょうか？
不動産鑑定士は、売主側にも不動産会社側にもつかず、第三者の立場から、その不動産の価値を適正に（周辺の経済状況や地理的状況など客観的な視点で）鑑定・評価する職業。
実は不動産会社の査定の場合、できるだけ早く売りたいことや、なかなか売れない時に自社で買い取る場合も考慮し、相場より安く値付けをされる危険もあるのです。
でも、自分が適正価格を知っていなければ気がつけません。
それを教えてくれるのが不動産鑑定士です。
不動産鑑定士が出した鑑定額や評価は、不動産業者が出す査定額よりも正確な不動産価値として認められるため、悪条件での売却リスクが減らせます。
また、売却の相談にも乗ってくれるだけでなく、不動産の活用法の提案もしてくれるので、物件によっては、売却以外の選択肢も広がるかもしれません。
まとめ
媒介とは、不動産を売却する際に売り主が不動産会社と結ぶ契約のことで、その契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。
不動産の売却で大切なのは、
3つの契約方法のどれを選ぶのか？
どの不動産会社に依頼するのか？
の2点。
信頼できる会社と適切な媒介契約を結べるかどうかで、売却成功の確率は大きく変わります。
しかし、自分では選びきれない、誰かに相談したいという人は、ぜひとも不動産鑑定士に相談を！
どの契約にするべきか、売りたい物件の適正価格は？どの不動産会社に依頼すべき？あなたの不安について、第3者目線でしっかりアドバイスしてくれるでしょう。
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