弁護士・濱野先生に聞く!「破産申し立て後の生活は・・・?」
目次
Q 破産した場合、破産したことは戸籍や住民票に記載される?
A いいえ。そのようなことはありません。但し、官報には掲載されます。(官報とは国の機関紙のこと)
Q 官報に掲載…!?近所の人に破産の事実が知られてしまうのでは?
A 官報を日常的に見ている人は少ないと思います。金融機関など、業務上多数の債権を持っている企業、団体などは、官報をチェックしていると思われます。
Q 破産した場合の仕事事情は?
A 破産した場合でも、仕事を退職する必要はありません。また、破産したことを理由に解雇をすることはできません。
但し、破産したことによって資格を失い、その結果、勤務先での仕事がなくなってしまうという可能性はあります。
Q 破産して失う資格はある?
A 弁護士、司法書士、行政書士、宅建士、保険外務員、警備員などは、破産した場合、資格が失われます。他方、医師、看護師、柔道整復師などは破産しても資格を失いませんし、選挙権が制限されることもありません。
Q 破産すると、住居が制限されるの?
A いいえ。制限はありません。但し、転居する場合は、破産管財人に同意してもらう必要があります。破産管財人が選任されない「同時廃止事件」の場合は、裁判所に転居先を報告する必要があります。
Q 破産した場合、海外出張は可能?
A 破産後も、海外出張はできます。但し、破産管財人に行先や出張期間を予め報告しておく必要があります。「同時廃止事件」の場合は、裁判所に事前に報告する必要があります。
Q 破産した場合、その後の収入はどうなる?
A 破産手続開始決定後の収入は、全額自分のものにできます。差し出す必要はありません。
Q 破産した場合の郵便物は?
A 破産管財人の事務所に転送され、破産管財人が開封して中身をチェックした上で、返却してくれます。「同時廃止事件」の場合は、そのような転送はありません。
Q 破産後のライフラインについて
A 破産手続き開始決定後の収入で、月々の利用料を支払っていれば、携帯電話は引き続き使用できます。同様に、料金を払っていれば、電気・ガス・水道などのライフラインが止められるということもありません。
Q 家の中の家財道具に赤紙が貼られる…?!
A いいえ、そのようなことはありません。破産管財人は、一般的な家財道具を売却処分することはありません。但し、貴金属、絵画、骨董品等の高価品がある場合は、売却する可能性があります。
Q 年金や生活保護を受給している場合、破産できないのでしょうか。
A 年金生活の方、生活保護受給中の方でも破産することができます。破産しても、年金や生活保護のお金を差し出さす必要はありません。また、年金や生活保護費が減らされることもありません。なお、生活保護を受給するためには、借金を整理しておく必要がありますので、生活保護を受給する前に破産を申し立てるよう役所から求められるケースもあります。
Q 配偶者や子どもに請求が行くことがある?
A 破産をしても、債権者から、配偶者や子どもに対し請求が行くことはありません。ただし、連帯保証をしたり、財産を担保に入れていた場合は請求されます。