U.K.さんに聞く「日本映画のVFXなめんなよ!」
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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」、くっすんことU.K.さん。
今回はU.K.さんに「地上波放送が子どもたちの○○を育てる?」というテーマについてお話を伺いました。
U.K.
関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。
ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。
夏休み到来! U.K.さんがセレクトした映画は?
―夏休みですが、何か映画は見に行きました?
U.K.:「ミニオンズ フィーバー」と「キングダム2」を観に行きました。
いつも子どもをメインターゲットにしている映画ばかり観に行くんですが、「キングダム2」は息子がめちゃめちゃ歴史好きなので観に行きました。
彼は小学校6年生なのですが、漫画と言ったら「キングダム」ばかり読んでいるんです。
今回「キングダム2」を観てすごく驚いたことがあったんですよ。
「キングダム」は舞台が中国で、前作の「キングダム」はほぼ全編中国ロケでした。中国にいろいろなセットを作って、本当に素晴らしい作品ができあがったんです。
でも「キングダム2」の製作時はコロナ禍で、日本から出ることができなかったんですね。それにもかかわらず、スクリーンに映し出されたのは中国の広大な大草原。「これ中国で絶対ロケしているだろう」というような映像がそこにあるんですね。
なぜこんなことが実現されたかというと「VFX」の力なんです。
ジュラシック・パークシリーズを成功させたインドの「VFX」
―VFXって何の略でしたっけ。
U.K.:ちょっと……ど忘れしたんですけど(笑)(注:VFXはVisual Effectの略)
CGってあるじゃないですか。人物の後ろをグリーンバックにして、そこに後から砂浜の映像を入れて、砂浜にいるような映像を創り出すようなものです。そういったものを進化させたものがVFXなんですよ。
―いわゆる「合成」の技術なんですね。
U.K.:そうです。今までの合成の映像というと、なんかちゃっちいというか、特に日本の映画の合成シーンはなんだか胡散臭いようなものが多かったんですよ。
海外では「ジュラシック・パーク」が制作された時に、アメリカやオーストラリアで撮影していたんですね。その撮影した映像をインドに送って、インドでCGを作成していたんです。
インドとアメリカは時差があって、昼夜がちょうど逆なので作業がしやすいんですね。日中に撮影したものをインドに投げれば、こちらが夜間の間に作業をしてくれるので翌日にはもう仕上がって納品されるという。
だからこそ、いわゆるボリウッド、インドのCGがすごい! VFXがやばい!と言われていたんです。
そんなインドの活躍があったからこそジュラシック・パークシリーズは成功したと言われています。
日本はまだまだその域にはいかないかなと思いきや、今回の「キングダム2」はジュラシック・パークを超えていました!
U.K.さんも驚愕! 進化した日本のVFX技術
「キングダム2」は戦闘シーンがほとんどだったんです。その為に制作陣が何をしたかというと、縦の長さ12メートル、幅200メートルもの巨大なグリーンバックを建てて、そこでいろいろな戦闘シーンの撮影をしたんですね。
ただ戦闘シーンといっても、日本製画の製作費はハリウッド作品の制作費に比べるとゼロが2ケタくらい違います。
その少ない製作費でどのように撮影したかというと、例えば主演の山崎賢人さんが走って、それを2台の馬車が追いかけるんですね、グリーンバックの中で。それが完成版では、山崎賢人さんを何百台もの馬車が追いかけているシーンになっているんですよ。そういうVFXがもう作品中にちりばめられていています。
他にも今回は馬の戦闘シーンがとても多いのですが、馬車の戦車がどんどん人を轢いていく、ちょっとグロテスクなシーンがあるんですよ。
これもどう撮影したかというと、実際はブルーの服を着た人がブルーの棒を持って、それを戦車に見立てているんですね。でスタントマンさんたちにどんどん当たっていって、スタントマンさんが転ぶ、というようなことを繰り返す。
それをVFXで加工すると、実際のスクリーンではまさに人が戦車にどんどん轢かれて行くシーンが実現されているんです。
―すごいですね。そのうち日本でも「Mavelシリーズ」を作れるくらいになるかもしれません。
U.K.:本当に否めないですよ。
僕が一番びっくりしたのは戦車の上で山崎賢人さんが戦うシーンなんですけど、そこでは戦車に引きずられたりいろいろするんです。
撮影する時はセットの箱の上で戦って、引きずられるのはワイヤーアクションでワイヤーを使って引っ張ったりして、体がなびくように動いているんです。
それがスクリーンでは本当に引きずられているような映像になっていて。そういうアクロバティックなスタントもしていたりするんですね。
そのたった6秒のシーン、なんと撮影するのには10日間かかっているんです。
そんなことをコツコツ、積み重ねて積み重ねて、やっていくんです。こういうコツコツとやること、日本人って得意なんですよね。
―確かに。
U.K.:だからこそ、技術面が進化すれば後はモチベーションじゃないですか。そういう技術者にはぜひ日本人にお任せください、という感じですよね。だから今後、ハリウッドを越えうる作品が日本から誕生する日もそう遠くない気がします。
世界に誇れる「漫画」文化と西洋化した若者で世界進出?
―「Mavel」もそうですけど、「キングダム」も元々原作は漫画でした。日本には他にも世界に誇れる漫画がいっぱいありますよね。
U.K.:ありますあります! 漫画に出てくる登場人物って、日本人ぽくないというか、顔立ちがあまりに綺麗すぎることがありますよね。
でも最近の若い子はちゃんと牛乳を飲んでいるからなのか、みんな背も高いし顔も小さいし彫りも深い。どんどん西洋化しているんですよ。
僕はペイチャンネルで海外の様々な作品を観ているのですが、最近はいろいろな人種の方が主演をするようになっているんですね。そういう風潮になっているんです。
以前から真田広之さんや渡辺謙さんが頑張ってきた甲斐があって扉が開いて、今後若手がどんどん世界に進出していくのかなと思うのですが……一つだけ、問題があるんですよね。
日本人俳優たちに足りないもの
U.K.:それは僕が何度も番組で言っていますが、「英語力がなさすぎる」ということ。ここが一番の問題です。
―言語の壁は越えられないですよね。
U.K.:越えられないんですよ。僕、海外で女優さんにお話を伺ったことがあって、オーディションに受かるコツを聞いたんですね。そうしたらやっぱり「発音」だと言うんです。
日本人は「L」と「R」が苦手ですよね。「L」の場合はらりるれろ、で分かりやすい発音ですが「R」がなかなか言えない。その辺りを上手く超えられた人は、ひょっとしたらハリウッドでも大スターに成りうるのではないかな、と思います。