【不当要求】弁護士・長村先生に聞く!「不当要求とその対処法」

【不当要求】弁護士・長村先生に聞く!「不当要求とその対処法」

強面の人から因縁をつけられて金銭等を要求された場合や悪質クレーマーから些細なミスを理由に過大な要求をされた場合等の対応方法についてご紹介します。

 

年々増加していく「過大要求」

近年、店員や従業員などのささいなミスを理由に過大な要求をしたり、慰謝料名目で法外な金銭を要求するような事案が増加しています。
強面の人から金銭等を要求された場合も、悪質クレーマーから不当な要求を受けた場合も、対応方法の基本は同じです。
そのような場面に出くわしてしまったら、まず、相手の話をよく聞いて、相手が何を求めているのかを理解しましょう。
そして、相手の要求が、一般的な社会常識で考えて、あまりにも不当だ、言いがかりだと思ったら過大な要求として、毅然とした態度で対応する必要があります。

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例えば、道でちょっとぶつかっただけなのに、慰謝料として何十万円も要求してきたり、些細なミスに対して土下座を要求する行為等は過大な要求と言えます。

不当要求者は、大声で怒鳴ったり、早口でまくしたてたりして、つけ入るすきを探しています。
相手の怒鳴り声や振る舞いに怖がっているようなそぶりを見せたり、うろたえている姿を見せると、そこにつけこんで、さらに過大な要求をしてくることにもなりかねません。
また、その場限りの言い訳をすると、後々あの時はこう言ったじゃないかなどと揚げ足をとられることもありますので、その場限りの言い訳もしてはいけません。

相手の要求を見極め、不当な過大な要求だと感じたら、はっきりと相手の要求に従うことはできないことを伝えます。

不当要求者の要求は、だんだんエスカレートします

例えば、謝罪を求められて、「謝罪くらいですむなら・・」
と謝罪してしまうと、今度は「誠意をみせろ。今謝っただろ」などと金銭を要求してきます。

要求された行為や金額が些細なものだから、「それくらいなら・・」と応じてしまうと、
相手は自分の要求を押し通すことができると考えて、要求はだんだんエスカレートします。

こちらに非はなく、明らかに因縁をつけられている場合には、謝罪する必要もありませんし、謝罪すべきでもありません。

ただし、悪質クレーマーの場合でも、こちらにもミスがある場合には、ミスについては真摯に謝罪すべきです。
しかし、だからといって過大な要求に応じる必要はありません。
こちらが、相手の要求を明確に拒否しても引き下がらず、暴力を振るうようなそぶりがあれば、警察や周りの人に助けを求めましょう。

 

自分の身近で起きた場合の対処方法は?

相手が不当な要求をしている場所がこちらの自宅や会社、店舗の場合には、明確に退去を促してください。

自宅や会社、店舗から退去するよう促しても、相手が居座る場合には、
不退去罪(刑法130条後段)という罪に該当します。
また、何度も店舗や会社に押しかけてきて、大声で騒いだり、執拗に電話してくる場合には、
業務妨害罪(刑法233条後段)に該当します。
机や物を蹴ったり、物を投げるなどの行為は、身体に直接害を与えなくても
暴行罪(刑法208条)に該当します。
このような場合には、すぐに警察に通報してください。

そして、不当要求者と交渉する場合には、その交渉の様子を、スマートホンなどで録音、録画してください。不当な要求を受けている場面で、相手の了解なく録音録画しても、後に、刑事事件化したり、法的な手段をとる場合の証拠になり得ます。
毅然とした態度で相手の要求を拒否しても、執拗に相手が不当要求を繰り返す場合には、警察や弁護士等の専門家に相談しましょう。

弁護士に依頼して、内容証明郵便を送付することによって、相手の不当な要求がなくなることもあります。
執拗な不当要求を受けた場合には、早い段階で、専門家に相談してください。