【U.K.さんに聞く】「韓国エンタメから学ぶべきこと」
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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」、くっすんことU.K.さん。
今回はU.K.さんに「韓国発大ヒットドラマ「梨泰院クラス」の日本版リメイク作品「六本木クラス」、日本でも流行る?」というテーマについてお話を伺いました。
U.K.
関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。
ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。
顔は韓国系、体は日本系?
―突然ですがU.K.さんのお顔はどこの国で人気があるのでしょうか。
U.K.:昔「冬ソナ」という韓国ドラマが流行した時に主演のペ・ヨンジュンさんが日本に来日されたんですけど、その時僕もロン毛だったんですよ。で、僕ってめっちゃたれ目じゃないですか。そして若い頃はもっとシュッとしていたので、そっくりだと言われていたんです。
―韓国俳優系のお顔ということですか?
U.K.:そうなのかな? ただね、韓国に行った時に感じたのですが、韓国の男性ってマッチョで背の高い方が多いんですよ。日本人はどちらかというと華奢な人が多いですよね。だから顔は韓国系だけどスタイルは全然違うな、と思いましたね。
―韓国は徴兵制度もありますから。
U.K.:鍛えられるんですね。みなさんいい体しています。
韓国の人気ドラマが日本でリメイク
―というフリから、今回のお話をしていきますね。韓国の大ヒットドラマのリメイク版が日本で製作されるというニュースがありましたが、どの韓国ドラマかはご存知ですか?
U.K.:「梨泰院クラス」からの「六本木クラス」ですね。
―六本木というより、麻布や恵比寿の方が…。
U.K.:(六本木という場所は)ベタやなぁ、と思いましたけれども。主演が竹内涼真さんで、めちゃめちゃ意気込んでらっしゃるようですね。さらに本家である「梨泰院クラス」のスタッフの方たちも一緒に協力して作るようなので、これは見ごたえがあるんじゃないかな。
―U.K.さんは「梨泰院クラス」をご覧になりましたか?
U.K.:見ましたよ! 面白かったです。
―見ていない方のために解説をお願いします。
U.K.:単純に言うと、貧しい主役と大金持ちの悪役がいて、この悪役の大金持ちを懲らしめながらどんどん登り詰めていこうというサクセスストーリーですね。
―それが六本木で起こるわけですね。
U.K.:たぶん。韓国版のそのままになるのかはわからないのですが、かなり近いんじゃないかな。
日本のエンタメをアジアに広めるために必要なのは「英語力」
―以前のエンタメ界では韓国の俳優さんが日本に売り込みに来る、という感じがありましたが、いまや逆転しているように感じます。世界の韓国エンタメに対し、梨泰院クラスのスタッフを連れて来て六本木クラスを制作したら、勝算はどれくらいあるのでしょうか。
U.K.:日本ではそれなりに「六本木クラス」もヒットする可能性はあると思います。ですがアジアに向けて、となると厳しいんじゃないかな。それはなぜかというと、日本人は日本語以外喋れない、というのがあって。
例えば今人気のBTSのメンバーは日本語も少しでも喋ろうとし努力されていますし、英語はペラペラ。同じ韓国のBLACKPINKはインタビューも英語でしっかり受け答えしています。韓国のエンタメ界のスターたちは、言葉の壁をしっかりと乗り越えてやっているんですね。
―U.K.さんも英語出来ますもんね。
U.K.:そうですね、バイリンガルですから。
「国策」としてエンタメ界をバックアップ
―けれど、語学力の問題だけでしょうか。韓国のアーティストや俳優の方って、上手にデザインされているというか。
U.K.:やっぱり国を挙げてやっていますから。韓国では国策として、エンタメ界のバックアップがすごいんですよね。
1997年にアジア通貨危機がタイを起点にして始まりました。その後1999年に韓国がその影響を強く受けて韓国の通貨であるウォンが大暴落してどえらいことになったんです。その時に韓国を何で盛り上げようか、という話になった時に、国策としてエンタメを盛り上げるべき、という方針が出来たんです。
―そんなバックグラウンドがあったんですね。
U.K.:エンタメに対して国がどんどん後押しをしていった。例えばアメリカの映画にも投資をしたり、海外に行きやすいルートを作ったり。そういうことを国を挙げてバックアップしていっているので、そこはね、敵わないですよね。
―日本のエンタメ界はあまり国にバックアップされている感はないですよね。
U.K.:ないですね。基本、エンタメにお金を出すならもっと違うものに出せ、というのが日本の考え方というか、日本人の感覚ですよね。
―エンタメは楽しむもの、楽なもの、というイメージがすごく強いですよね。U.K.さんは高校生の時にスキー場のCMに出演されて以来、ずっと芸能界を見てこられました。その上で、やはり日本の芸能界はこのままだと韓国には勝てないと感じますか?
U.K.:そうですね。その大きな要因の一つに人口の違いがあると思います。日本は韓国の人口より圧倒的に多い。だからこそ、日本でエンタメのビジネスをした場合、国内だけで何とか成立するんですよ。
公演回数やなんやかんや入れると、人口が多い分日本では国内向けだけでも何とかなります。ですが韓国の場合は、国内だけで賄おうとするとやっぱりしんどい部分が出てくるんですよ。だからこそ韓国はマレーシアや香港、シンガポールなどのアジア圏をまずは視野に入れています。そこからあわよくば世界にと、もう目の向け方や感覚が違うんですよね。
例えば年収1000万円の人と500万円の人がいたとします。500万円の人が1000万円に届くようにしたいと思ったらどんどん副業します。そして気が付いたら5000万円の年収になっていることもあるかもしれない。
でも年収1000万円の人は、それなりに生活出来るしこのままでいいや、と何もせず1000万円のまま。
これが日本と韓国のエンタメ界で起きていることなのかな、と思います。
日本のエンタメ界に必要なのは「語学力」
―わかりやすいですね。ターゲットにしているところが韓国はもっと広い、ということですね。
アジアが盛り上がるのはすごく嬉しい話じゃないですか。日本もそれに置いていかれないようにしていかないといけませんね。
U.K.:日本のエンタメが置いていかれないようにするには、やっぱりみんなが英語や中国語など、ターゲットにした国の言葉を少しでも喋れるようになることしかないと思うんですよ。ハリウッドでも活躍されている俳優の渡辺謙さんはめっちゃ英語上手ですし。そういう風になっていかないと、世界で通用しないんですよね。
―確かに。ではU.K.さん、ハリウッドでなにか出来るんじゃないですか?
U.K.:こんな撫で肩で??
―撫で肩の方も少ないかもしれないですし。
U.K.:撫で肩の侍……弱そう!
―エンタメ界に限らず、日本の言葉の鎖国を直していくためには教育からですね。
U.K.:あともう一つは、日本の映画界にも問題があると思うんですよ。
―ぶっこみますね。
U.K.:海外の作品、特に韓国の作品は国内の社会問題をクローズアップしますよね。それはどこの国にもハマる問題だったりするんです。だからこそ低予算の映画でも、あっ今はこういう国民感覚なんだな、とかこういう社会問題があるんだな、というところが見事にはまるので、「パラサイトー半地下の家族ー」も大ヒットしましたよね。
今はSDGsやボーダレスの時代になってきているからこそ、弱者と呼ばれている人たちや社会問題をクローズアップし続けている韓国の作品は世界中の共感を得ているのではないでしょうか。