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Q 「破産」とは何なのでしょうか。
A 誤解を恐れずに言えば、「破産」とは、抱えている債務を弁済できないので、
今ある資産をお金に換えて債権者へ弁済に充てる代わりに
残りの債務は弁済しない、ということです。
Q どうやってそれを実現するのですか。
A 債務を抱える個人や法人が裁判所に破産申立てをすることによって実現します。
個人が破産申立てをする場合は、残った債務を免除してもらう「免責」の申立てもセットで行うのが通常です。
法人は破産の手続が終了すると消滅しますので、免責の手続はありません。
Q 債務を抱える個人や法人が自分で破産申立てをすることは可能なのでしょうか。
A 法律上は可能ですが、現実的には難しいと思います。
破産申立てには、様々な関係資料を提出することが必要ですが、これを収集して整理するだけでも大変です。
また、破産申立ての準備に着手するタイミングや方法が非常に重要で、
これを誤ると混乱が起こり、債務者に不利益な状況に陥ります。
Q なぜ、「タイミング」が重要なのでしょうか。
A 例えば、衣料品の卸売業を営む株式会社が突然弁済をストップして破産申立ての準備に着手しますと、商品を納入したメーカー、商品を配送した運送業者等の債権者がお店に押し寄せ、取り付け騒ぎとなります。
融資銀行は預金残高と貸付金を相殺した上で、担保に取っていた不動産や在庫商品、売掛債権を差し押さえて担保権を実行しようとします。
売掛債権が担保に取られていた場合、融資銀行が得意先に対して回収活動を行いますので、得意先からの信用が失われてしまい、発注済みの商品もキャンセルされる可能性があります。仕入先(メーカー)は、納入した商品を引き上げようとしますので、得意先からの受注はできなくなり、受注済みの商品を納品することができなくなることもあり得ます。
リース会社は会社のパソコンやコピー機、社用車を引き上げに来ます。
税金や社会保険料を滞納している場合には、税務署や年金機構によって入金予定の売掛金に滞納処分がなされ、回収できなくなります。
従業員は会社を辞めてしまい、受注済みの商品を得意先に納品することができず、売上を立てることができなくなることは勿論のこと、得意先から債務不履行責任を問われることになります。
このような状況では従業員の給料も払えなくなりますので、怒った従業員が労働組合を結成し、社長に対して団体交渉を求め、会社事務所を占拠するなど、労働運動が展開されることもあるかもしれません。
会社の事務所や倉庫の賃料も払えなくなり、家主からは賃貸借契約を解除され、明け渡しを求められます。
このような混乱した状況になってしまうと、申立書を作成したり、必要な資料を揃えたりして破産申立ての準備をするどころではなくなってしまいます。
したがって、最大限の資産確保をしつつ、混乱を回避する最高のタイミングで事業を停止し、速やかに破産申立てをする必要があるのです。
Q 債務を抱えた個人や法人が、自力で破産申立てをするのは、かなり難しいですね。どうすればいいのでしょうか。。
A 法人であれば、2、3か月後には資金繰りができなくなる、という状況になれば、専門家に相談するのが良いと思います。顧問弁護士がいればその弁護士に、弁護士を知らなければ、決算などでお世話になっている税理士の先生に相談してもかまいません。個人事業主の場合も同様です。また、一般消費者の方も、「再来月くらいにはクレジットカードやローンの支払ができなくなりそうだ。」と思ったら、弁護士に相談してください。弁護士会や自治体がやっている法律相談に行ってもいいですし、インターネットで検索をして弁護士を探すのも良いと思います。