【不動産】不動産鑑定士・飛松先生に聞く「日本の路線価2022」!

不動産鑑定士・飛松先生に聞く「日本の路線価2022」!

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公示地価と路線価の関係

公示地価を決めているのは国土交通省、路線価を決めているのは国税庁です。

所轄は違うのですが、どちらも不動産鑑定士が価格を決める作業をしています。基本的に地価公示を担当しているエリアで路線価の作業もしているという不動産鑑定士が多いので、バランスを見ながら評価をしているという意味では、両者には関連があると言えるのではないでしょうか。

「路線価」は「人気度?」 最高額の路線価を誇る地点は?

路線価が高い場所、というのは「皆が欲しがる人気の場所」ということになります。その土地を欲しい人が増えることで需要度が上がり、エリアの価格が高くなっていきます。

日本で一番高い路線価の地点は、東京都の銀座にある「山野楽器」の前のポイントです。

路線価は公示地価のだいたい7割から8割と言われていますので、その基準でいうと1坪あたり約1億円です。

ちなみに大阪では以前は阪急とJRの間の歩道のポイントが一番高かったのですが、現在はグランフロントが一番高くなっています。

人気の場所は毎年変わります。例えば新駅が出来たり、大きな複合ビルが出来ると路線価は変わってきます。また道路が5mから10mに広がるだけで路線価が2割上がる、ということも。ちょっとしたことで結構変わります。

東京・大阪以外でいまアツイ場所

個人的にアツイと思うのは名古屋駅前です。ちょうど今リニアモーターカーの工事が行われている、名古屋駅の西側ですね。

もともと名古屋の表玄関と言われているのは名古屋駅の東口で、人通りも多く、大きなビルも立ち並んでいます。一方で駅の西側は低いビルや古いビルがあったりと、あまり栄えていませんでした。ですがリニアの駅が出来るということが決まってからは、東側に負けないくらいの人気になりました。路線価も公示地価も上がっています。

最近若者が増えてきた福岡の路線価は?

福岡というのは日本でも特殊なエリアです。東京や大阪のように大きな街が点在しているというエリアではなく、九州全体としての大きな街「博多」に九州中から人が集まります。九州中の若者が一極集中して集まってくるというエリアで、とても人気がありますね。その為、博多の中心部は特に地価が上がっています。

過疎化の進む地方の路線価の現状 災害と路線価

いわゆる「過疎」の進む地域では路線価は下がっています。人口の減少も要因の一つですが、他にも例えば企業の撤退した街、災害などで復興途上である街は路線価が下がっている状況です。

人はどうしても災害を恐れますので、災害のあった場所には住みたくないと考える人も多いのが現状です。もともとそこに住んでいたけれど災害が起きてしまったので、そこから離れようと人々が流出することもあるでしょう。そうなると、どうしても街のポテンシャルが下がってしまいます。そのことが路線価や地価の下落の要因にも繋がります。

ハザードマップで危険度の高い場所、例えば河川の氾濫や土砂崩れの起きやすい地域などはどうしても人気が落ちてしまいますので、そういった場所も路線価や地価が下がってしまいます。

土地を買う時に路線価だけで判断することは可能?

路線価というのはあくまでも国税庁が納税額算出のために出している価格です。ですから、実勢価格が路線価の通りかというとそうではありません。

例えば路線価では一坪あたり100万円であったとしても、実際に売りに出たら倍の200万円だったということも、その反対で半分の50万円だったということも。

路線価というのはあくまでも一定の目安で決めているだけのものなので、実勢価格とはまた違うものである、と捉えていただいた方が良いでしょう。路線価はあくまでも参考程度になさってください。

先生がもし土地を購入するならどこの土地?

実は、先日実際に自宅用の土地を購入しました。場所は兵庫県の西宮です。専門家から見ても絶対に損をしない土地を選んだつもりです!

まとめ

・公示地価を決めるのは国土交通省、路線価は財務省が決める。

・路線価の上昇には「人気度」が大きく関係する。

・東京・大阪に次いで注目すべきは「名古屋」と「福岡」!

・災害多発地点や過疎化も路線価の下落に影響を与える。

・土地を買う時に路線価だけを見ることは避けるべき。

・飛松先生が土地を買うなら「西宮」。