不動産鑑定士・飛松先生に聞く「地価公示2022発表」!
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2022年、地価公示発表
2020年から始まったコロナ禍の影響で、それまで上がり続けていた地価が下落。それから2年、2022年の発表では全体的に持ち直してプラスへと転じました。
細かく見ていくと、住宅地に関しては需要が顕著であったことからもプラスとなっています。
工業地に関しても物流が堅調であったため、全体的に大きなプラスとなっています。
ただ都市部の地価については昨年までと同様に、コロナ前まではインバウンドの需要の恩恵を受けていた大阪のなんば、また東京の観光地などの下落が続いています。
公示地価の上がった場所と下がった場所
大阪でいうと北摂エリアはかなり上がったなという印象を受けます。
住宅地では駅チカの閑静な住宅地がかなり堅調で、昨年度比で2~3%プラスという結果になりました。
下がった場所は大阪のミナミです。全国でもトップクラスの下落率となり、道頓堀、心斎橋辺りは2ケタ台の下落となっています。この辺りに関してはまだまだコロナの影響が大きいですね。
予想外の上昇率を見せた場所は?
北海道や福岡は、地方都市の中ではかなりプラスの数字を出しています。特に北海道は全国のベスト10に含まれるポイントのすべてが北海道ですので、かなり需要が高まっているという結果を表しています。
地価公示から知ることの出来る地域や社会情勢の変化
地価公示の基準となるのは1月1日時点となるのですが、作業自体は大体11月から12月に行われます。そのため現在(2022年3月)はウクライナ情勢が大きなニュースになっていますが、まだこの動きを含めていない土地の動きを分析しています。
そのため、今年度以降はウクライナ情勢のマイナス影響が大きく出るのではないかと言われています。
あとは物価ですね。原油や物価の上昇が不動産にも悪影響を与えるのではないかと懸念されています。
原油価格の上昇により、地方の土地の値段は下がるのか
ガソリンの価格が廻りまわって土地の値段に影響することはあります。輸送コストが上がることにより、悪い影響が起きるんですね。なぜかというと、例えば建築資材を運ぶにしても、商品を運ぶにしても、いずれにしても原油、ガソリンが必ず必要になってきます。
そのためコストが上がるのですが、それを転嫁しようとすると土地の価格が上がっていくという悪い流れが起きます。これが一番の大きな要因になると考えています。
公示地価が「上がる」「下がる」 理由は
公示地価を算出するためには1年間の取引成約価格を分析していきます。あるポイントの価格が上がる、下がるということを調べるためには、例えば商業地であれば半径1キロメートル圏内で高値の取引が多ければ「上がった」と分析しますし、反対に安い取引事例が多ければ「下がった」と分析します。そのような作業をずっと繰り返していくことで、公示地価が上がったのか、下がったのかということを調べることが出来ます。
2022年度地価公示の総評
大阪のミナミの地価が特に下がったのですが、実勢としてはそんなに下がっているように感じていなかったので、ここまで落ちたのか、というのが率直な感想ですね。
全体的には住宅地の実需が好調で、ここは予想通りでした。
日本一早い2023年公示地価予測
私の予想は「公示地価はコロナが落ち着いたら結構上昇するのではないか」です。
新型コロナウィルスの感染状況がどうなっているのか、というところが一番大きいですね。コロナがこのまま落ち着いていくのであれば不動産価格は全体的にかなり上がってくるのかなと考えています。
その理由として、まだまだお金が余っているのでどこに投資したらいいのか、というお金を不動産が吸収できるのであれば、今後不動産価格はまだまだ上がっていくのだろうと考えています。
まとめ
・2022年度地価公示は、昨年までの下落傾向からプラスに転じた。
・公示地価が上がったのは北摂エリアの住宅地。下がったのは主に繁華街。インバウンド需要の消失が原因か。
・一方で北海道や福岡などの地方都市は上昇傾向。
・2023年度の公示地価の予測。コロナの状況が公示地価に大きく影響を与える可能性がある。