今回は「今更聞けない!小学生でも分かる「生前贈与」というテーマについてお話をしていきます。
生前贈与とは?
生前贈与とは、簡単に言うと生きている間に自分の子どもや孫などに自分のお金や財産をあげる、ということです。生きている間に贈与をするので「生前贈与」と言います。
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生前贈与と相続の違い、そして相続税と贈与税とは?
「相続」というのは、僕で例えますと僕が死んだ場合に妻や子が相続人となり、僕の財産を受け取ります。これが「相続」ですね。
この相続に対して課せられる税金が「相続税」です。
「贈与」というのは、僕が生きている間に妻や子などに資産の移転をすること。これは「贈与」ですね。
そしてこの贈与が行われた時に課せられる税を「贈与税」と言います。
贈与は誰にでもできるもの?
生前贈与は誰に対してもすることが出来ます。例えば僕がお世話になっている方に対してこれをあげます、と。そしてその方がもらいます、という関係になる。この「あげます」「もらいます」という契約が成立すれば、相手が子どもであっても、孫であっても、親族ではない方であっても誰でもできます。
生前贈与はどんな場合に使うもの?
どのような場合にこの仕組みを使うのかというと、資産の移転なので相続対策、いわゆる相続税の税負担を少なくするために使う、というのはありますね。
その他には、ただあげるからそれを上手に使ってね、使わせてもらいますね、という関係の中で贈与を使うということも実際にありました。
相続は人生で一度きり? 贈与は何度でもできるの?
相続は亡くなった時の一度限りですが、贈与は「あげる」「もらう」という事の繰り返しを、生きている間であれば何度でもすることができます。
生前贈与の税率はどれくらい?
最低税率は10%、そこから最高で55%まであります。超過累進税率といい、10%の枠までのものは10%の税が、それ以上の金額については11%、12%、と増えていき、最終的には55%まで上がります。
一般税率と特例税率の違いとは
通常の贈与については「一般税率」が適用され、税率は10%から55%まで。金額としては3000万円をこえると55%になります。
「特例税率」というのはいわゆる直系相続に適用されます。祖父母から子どもや孫(受け取り時に20歳以上であること)に対して行われる相続や贈与にはこの特例税率が適用され、税率の範囲は同じなのですが、55%の税率が適用されるのが4500万を超えた額からなので、最大1500万円の差が出てきます。
特例税率が適用されるのは直系家族のみなので、いわゆるいとこやはとこには適用されません。
暦年課税贈与とは?
個人の所得税や贈与税というのは1月から12月までが課税期間になります。これを「暦年」と言います。この期間にもらった贈与に関しては、贈与税の申告が必要になります。
どれくらいの金額まで非課税なの?
現在時限立法で、年間110万円までの贈与については非課税となっています。
110万円を超えたものに関しては10%から55%の税負担が発生します。
暦年課税贈与について、確定申告は必要? どのように計上すればいい?
所得税の確定申告と同じく、贈与税の申告というのがあり、毎年3月15日までに申告することになっています。
贈与については現金だけではなく株や不動産や車などいろいろとあるかと思います。どういうものをもらい、それがいくらなのか。基礎控除が110万円あり、超える部分に関しては税率を計算しいくら納税する必要がある、という申告書の様式になっています。こちらを提出し納税をすることで、贈与税の申告・納付が完了します。
生前贈与の活用方法と注意点
贈与税は相続税の補完税、と言われています。亡くなった時に相続があると相続税も発生しますが、亡くなる前に資産を移転してしまえば相続税がかからない、という抜け道があってはなりません。その為に、生前に移転した資産については贈与税を課税しましょう、ということが定められました。そういった意味から贈与税は「補完税」と言われています。
生前贈与で得をする方法、という点から考えて見ると、財産をたくさん持ったまま亡くなるとかなりの金額を税金として納めなければなりません。これを何とか節税したいな、という気持ちから生前贈与を活用する方は実際にいます。
例えばお金持ちの祖父母が自分の子や孫が家を買う時の費用、留学する時の学費などとして生前贈与を活用する、ということは実際に行われています。
注意点として、贈与とは「あげます」「もらいます」という契約行為なんですね。孫の学費などのために毎年非課税の枠内で毎年110万円ずつ、0歳から10歳まで贈与を継続したとします。そうすると総額は1100万円になります。
その後祖父母が亡くなった際に相続が発生するので、改めて相続税を計算することになるのですが、孫に送った年間110万円、総額1100万円の贈与は果たして本当に孫のために使われていたのか。この点がしばしば問題となることがあります。
いわゆる「名義預金」の問題なのですが、ここが問題化しないためには実際に贈与を受けた側がその贈与を実際に活用している実績や形跡が必要になります。こういったものがないと「名義預金」と言われ、見解の相違から修正申告が必要になることもあるので注意が必要です。
視聴者の方へ先生からアドバイス
個人的な意見ですが、贈与には渡す人ともらう人との関係性が重要だと思っています。税負担を考えてどんどん贈与をしていくのもいいのですが、先立つものがなくなると人が離れていったりと残念な話も聞こえてきています。
贈与はほどほどに、お金はある程度持って死んだ方がいいのかな、と個人的には思っています。
まとめ
・生前贈与は生きている間に行うもの。相続は亡くなった後に行われるもの。
・生前贈与は誰に対してもすることが可能。
・生前贈与・相続ともに税率は10%~55%の超過累進税率。
・通常の贈与には一般税率(10%~55%)が適用されるが、直系尊属(祖父母・両親から子や孫)への贈与へは受取人が20歳以上の際に「特例税率」が適用可能。
・贈与税も所得税と同じく、確定申告が必要。