移動だけの引っ越しと違い、住み替えは売買を伴う一大イベント!その成否は人生をも占います。
春が近づき、出会いと別れ、新たな門出を迎える人も多いこの季節。あなたは新年度、何か新しく始まることはありますか?また、これからは大学進学、転職や転勤など、様々な理由から引っ越しをする人も増えてきます。賃貸住宅や引越屋さんのCMも多いですよね。
ところで、「住み替え」という言葉をご存知でしょうか?漢字の意味だけで考えると、引っ越しと同じ意味のように感じますよね。しかし両者には明確な違いがあり、「引っ越し」と違い、「住み替え」はかかる期間も費用も桁違い。慎重に計画を立てて行わないと、その後の人生を左右すると言っても過言ではありません。
引っ越しシーズンの今、住み替えを検討される方も少なくないと思いますので、今回は住み替えについて解説していきます。
住み替えとは?
そもそも「住み替え」という言葉は、「物件の売買を伴う引っ越し」を指す不動産用語です。例えば、今まで賃貸物件に住んでいた人が戸建てや分譲マンションに引っ越す場合や、反対に、今までマイホームに住んでいた人が家を売り、賃貸物件に引っ越す場合。あるいは、分譲マンションに住んでいたが、戸建てマイホームを建ててそちらに住むのでマンションは売ってしまうなど、家を「売る」か「買う」のどちらか、もしくは両方が発生する引っ越しのことを「住み替え」と言うのです。賃貸→賃貸や、別荘を建ててそちらを拠点にする(前の家は売らない)場合など、売買を伴わない住居の変更は「引っ越し」というのが、不動産業界での定義です。一般の人がそんな定義まで知っておく必要はないかもしれませんが、引っ越しと住み替えでは事の重大さが変わってくるので、特に不動産関係者への相談時には、2つの内どちらなのかを正確に伝えた方が、話がスムーズに進むでしょう。ただの引っ越しのつもりで話を進めていたのに、後から実は今の家は売りたいのですと言われると、結構段取り狂ってしまいますからね。
住み替えをする流れと注意点
住み替えは「物件を売る」か「物件を買う」か、そのどちらも行うかの3つのパターンがありますが、売ると買う、2つについてそれぞれの簡単な流れを見ていきましょう。
<物件を売る流れ>
物件を売却するにはまず、その物件の価格を決める必要があります。もちろん、買った時の金額のままで売れるわけではないですから、プロの目で物件そのものの価値(経年劣化等も加味した現状、土地や間取り、広さ、利便性)や相場、過去の取引事例、周辺環境などを考慮し、今の売却額が査定されます。一般的には数社の不動産会社に査定を依頼し、査定結果や担当者の雰囲気、売却活動の内容などから、自分の納得のできる業者と契約しましょう。実は売却においては、この最初の不動産業者選びが最も重要で、ここでの選択が、その後の売却活動(売れるまでにかかる期間や売却額)に大きく影響する可能性があるのです。そこでちょっとしたコツが有るのですが、それについては最後にお話いたします。
そして不動産会社と契約を結んだら売却活動が開始。購入希望者が見つかれば売買契約となります。
<物件を買う流れ>
マイホームを購入するには資金計画が大事。単純に家を買う為のお金だけでなく、引っ越し代や家具・家電代、場合によってはリフォームが必要なことも。資金繰りには余裕を持った計画を立てましょう。そうして資金計画ができたら新居を探し、決まったら各種契約、決済、引き渡しという流れになります。ここでも最初の資金計画が一番重要で、その世帯ごとに異なる条件(収入や家族構成、将来の計画等)に合った計画を立てておかないと、後々ローンが重荷になってしまう危険があります。不動産業者やFPなど、専門家に相談しながら慎重に進めることをオススメします。
もしも売りと買い、両方が発生する場合、理想は同時進行だと思いますが、なかなか現実的ではありません。それならどちらかというと、売り先行がオススメです。なぜなら買い先行の場合、焦って新居を探す必要がないかわりに、その購入費は別に用意する必要がある、あるいは今の家との2重ローンになる可能性もあり、とにかくお金がかかります。対して売り先行の場合、新居を探す時間制限ができてしまう、住んでいる状態で購入希望者へ内覧対応をしなくてはならないというデメリットはありますが、物件が売れてからその利益を新居購入に充てられる等、資金計画が立てやすい点が最大のメリットです。また、売却を焦る必要もないので、悪い条件で契約してしまうリスクも減らせます。
売るのも買うのも、不動産では大きなお金が動きます。最終的な判断は自分ですが、売却活動や資金計画をサポートしてもらう業者選びもかなり重要と言えるでしょう。
住み替えに関するよくある質問
Q.1 住み替えにはどのくらいの時間がかかる?
A.1 一般的に、すでにある中古物件への住み替えで3ヶ月~6ヶ月、新築して住み替える場合は6ヶ月~12ヶ月と言われています。
賃貸同士の引っ越しよりも時間がかかる傾向にあります。また、物件の売却には平均2~6ヶ月程度かかると言われており、必ずしもその期間内に売却できるとも限りません。予定していた期日に売却が完了しないと資金計画にも支障をきたし、焦って相場より安く売ってしまったり、前の家との2重ローンに苦しんだりする恐れもあるので、スケジュールに余裕を持った住み替えの計画をオススメします。
Q.2 住み替えにかかる費用は?
A.2 一般的には、物件の売却時は売却額の5~7%が費用、物件の購入時の費用は、新居の購入額+購入額の5~8%程度と言われています。
売却時の費用5~7%の内訳は、仲介手数料・印紙税・所得税・住民税などです。
購入時の費用5~8%の内訳は、手数料、印紙税、住宅ローン関連の事務手数料や保証料、保険料や登記費用などです。ただし、多くの場合は住宅ローンを利用して支払うため、実際に住み替えた時にすぐ支払う費用は一部の頭金のみとなります。
Q.3 まだ今の家のローンが残っているが住み替えは出来るの?
A.3 今の家のローン残債があっても住み替えは可能です。
本来は住宅ローン残債がある場合には物件の売却はできませんが、家の売却益でローンを一括返済する場合や、売却益が足りなくても次の住宅ローンと合わせて借りる住み替えローン、新・旧2つの家の住宅ローンを2本同時に借りるダブルローンのいずれかを利用することで住み替えは可能です。
ただし、住み替えローンとダブルローンは、支払うローンの額が増えることを意味しますのでオススメいたしません。特にダブルローンは、単純に家2棟分のローン返済を同時にしないといけなくなるので、預貯金によほどの余裕が無い限り避けた方が良いでしょう。
より良い住み替えをするためのコツ
ここからいよいよ、よりお得に住み替えをするポイントを3つご紹介します。
1, 住宅ローン控除上限年数を確認
所得税の節税につながる住宅ローン控除。この控除は住宅ローン契約から最大13年間受けることができます。そのため、今の家でできるだけ長く(最大13年まで)控除を受け続ければ、その後に新居でまたさらに最大13年間、住宅ローン控除を受けられるので、控除を受ける期間をより長くすることが出来るのです。
2, 住み替えのタイミング
冒頭で述べたとおり、春は新生活がはじまりやすく、引っ越しシーズンでもあるため、比較的住み替え需要も高く、好条件で売りやすくなる季節です。そんな春(3月前後)に合わせて住み替えの計画を立てるのもオススメ。買う側にとっては選べる物件の種類が豊富になり、売る側はよりよい条件で、より早く売却できる可能性が高まります。売りたい場合には春に向けて、遅くとも前年の12月頃から計画・準備を始めましょう。
3, 不動産鑑定士に相談する
住み替えにおいては、売却活動や資金計画をサポートしてもらう業者選びも大事だと述べました。一般的には不動産会社やファイナンシャルプランナーなど、それぞれ不動産やお金のプロに相談することが多いかと思います。しかし、不動産鑑定士に相談するという選択肢もあることをご存知でしょうか?
不動産鑑定士とは、売る側でも買う側でもない、第三者の立場から、その不動産の価値を適正に(周辺の経済状況や地理的状況など客観的な視点で)鑑定・評価する職業。実は不動産会社の査定の場合、自分達の儲けを増やすために安く値付けをされる危険もあるのです。不動産鑑定士が出した鑑定額や評価は、不動産業者が出す査定額よりも正確な不動産価値として認められるため、悪条件での売却リスクが減らせます。
また、不動産の有効活用法を提案したり、相談に乗ってくれたりといった業務もしているので、前の家(不動産)の条件によっては、売却以外の選択肢も広がるかもしれません。
より良い売却・活用のサポートをしてくれるのが不動産鑑定士です。
まとめ
一般的な引っ越しと違い、住み替えは人生における一大イベントであることがお分かりいただけたのではないでしょうか?住み替えで起きやすいトラブルは、先に新居を購入したが旧宅が売れず資金不足になる。旧宅は売れたが新居が見つからず賃貸住まいが長くなる。今の家と新居の2重ローンで苦しむなど、生活に支障をきたしかねないものばかり。
売るのも買うのも、頼れるサポーター(専門家)を味方につけることが、住み替え成功の秘訣です。
もし、(特に売却を伴う)住み替えを検討されているなら、一度不動産鑑定士にご相談下さい。
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