「数年前に家族から相続した土地をそのまま放置している。そろそろ売ろうと思うけど、今売るべきかどうかわからない」とお悩みではありませんか?
相続した土地の売却は、早ければ早いほど享受できるメリットが多いです。
ただし、売却のためには正しいタイミングと手順があります。
この記事では、相続した土地をすぐに売却するメリットやその方法、注意点について詳しく解説します。
土地を今売るべきかどうかの決断にお役立ちできれば幸いです。
相続した土地をすぐに売るべき理由
②取得加算の特例があるため
③相続トラブルを回避できるため
①相続税に申告期限があるため
1つ目は、そもそも相続税には申告期限が存在するためです。期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」と定められています。
納税は義務であるにもかかわらず、相続税を申告・納税していない方は全国で8.8%とたくさんいます。(『令和2年分相続税の申告事績の概要』-国税庁)
もし納税資金が足りない場合は、相続した土地をすぐに売って現金化したり、別の方法で納税資金を確保するようにしましょう。
必ず指定期限までに納税を済ませてください。
②取得加算の特例があるため
2つ目は、相続税を納税した後に、節税効果のある特例が受けられる可能性があるためです。
これは「取得加算の特例」と呼ばれ、「相続を開始した日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに土地を売却する」ことで譲渡所得を減額することが可能となります。
譲渡所得は【譲渡所得=譲渡価額-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用】
という計算式で求められるため、取得費に加算する相続税額が大きいほど、その分譲渡所得税の課税額を減らすことができます。
また、取得費に加算する相続税額は以下の計算式で求められます。
では、譲渡所得がいくらになるかを具体的に計算してみましょう。
例えば、祖母が亡くなり、5,000万円の土地と預金5,000万円を息子が相続し、2,500万円の相続税を納税したとします。 ※債務控除額は0円とする
この場合、5,000万円×(5,000万円/1億円)=2,500万円
であり、取得費に加算できる相続税は2,500万円となります。
ここから譲渡所得を計算します。
自身で売買した別の不動産がある場合、そこで得られた利益は譲渡所得となります。
今回、その不動産の取引が
・売却価格:5,000万円
・仲介手数料:300万円
であるとします。
この場合、取得費に相続税を加算せぬまま譲渡所得を計算すると
5,000万円-1,000万円-300万円=3,700万円
となり、譲渡所得税率の20.315%をかけると、
3,700万円×20.135%=744万を納税することになります。
ここに相続税を加算すれば、
(3,700万円-2,500万円)×20.315=243万円
つまり、500万円もの節税が可能となるのです。
以上より、相続税を早期に売却することで、受けられる税法上のメリットは非常に大きいものです。
③相続トラブルを回避できるため
早期に土地を売却することで、相続トラブルを回避できます。
相続において最も起こりがちなのが「共有名義に関するトラブル」です。
共有名義とは、同じ土地を複数の相続人が相続することを指します。
例えば姉50%・弟50%という風に共有名義での相続をした際に、「土地にかかる維持費の負担は誰がするのか」などを決める必要があります。
上記のように50%ずつ負担となれば良いのですが、なかなかお金を払いたがらず揉め事になる可能性は十分考えられます。
土地を相続する人が多ければ多いほど、「誰がいくら支払うのか」についてのトラブルは発生しやすくなります。
したがって、こうしたトラブルが起きる前に、相続してからなるべく早めに土地を売却しましょう。
共有名義の場合は相続人全員の同意が必要になりますが、コストが発生する前に行えばリスクは最小限に抑えることができるはずです。
相続した土地を早期売却する方法
土地の相続を早期売却するには、以下2つの方法が効果的です。
②売却の手続きを済ませる
①遺産分割協議を速やかに行う
遺産分割協議とは、土地の相続人が複数いる場合に、誰がその土地を所有するのかについて話し合うことです。
相続人が2人以上いる場合には、相続する土地について目録にまとめ、その土地をどのように財産分割するかを相続人全員で協議する必要があります。
また、遺産分割協議で決まった内容は「遺産分割協議書」という書類に証拠としてまとめておく必要があります。
遺産分割協議書を作成しておくことで、全てが決まった後で他の相続人に「実は納得していない。やり直しだ!」と言われ、紛争が長期化する心配などがなくなります。
遺産分割協議は、被相続人の土地所有の事実を確認してから可及的速やかに行いましょう。
②売却の手続きを済ませる
遺産分割協議を無事に終えたら、不動産会社に売却の相談をしましょう。
不動産の売却依頼は、土地がある地元の不動産会社に依頼を行いましょう。
不動産の売買は以下の手順で実施します。
・媒介契約を結ぶ
・購入希望者との交渉を行う
・土地売買契約を結ぶ
・土地の決済と引き渡しを行う
まず、不動産会社に「土地を売りたい」と話せば、不動産会社の方で土地の調査と価格の査定が行われます。
査定の結果に納得できれば、次は売主が不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約では、不動産会社が販売活動を代行するにあたってのルールや条件の合意を行います。
媒介契約が結ばれると、不動産会社が販売活動を行います。
販売活動の中で購入希望者が現れれば、売買の代金や引き渡しの時期などの条件を交渉し、売主・買主双方が納得したうえで土地売買契約を結びます。
売買契約を結んだあとは、代金の決済を行い、土地を買主へ引き渡します。
以上をすべて執り行うには、時間と費用がそれなりにかかってしまいます。
早期売却を実現するには、土地があるエリアに精通している不動産会社に依頼するなど、工夫が必要です。
相続した土地の売却で注意すべきこと
②名義変更を行う
③高値でスムーズに売れる不動産会社を探す
①確定申告を忘れず済ませる
土地を売却すると、税金が発生し確定申告を行う必要があります。
売却が早ければ早いほど、先ほど述べたような譲渡所得の節税の特約が受けられます。
確定申告を行うのは、土地を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間です。
ここで譲渡所得税を1円でも安くするためには、3年10か月以内かつ確定申告期間内に必ず申告を行う必要があります。
特例は確定申告を行うことが前提条件となっているためです。
詳しくは、「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(国税庁HP)」を参考にしてみましょう。
②名義変更を行う
土地の売却にあたっては所有権の移譲を公的に行う必要があります。
そもそも、土地の名義が被相続人になったまま相続をした場合は、相続人の名義に変更する「相続登記」を行うことになります。
土地や建物などの不動産は、基本的に所有者が誰であるかを示す「不動産登記簿」への登記を行います。
もし不動産登記簿の名義変更を行わぬままそのまま放置しておくと、将来土地を売却するときにトラブルになる可能性があります。
また、土地の売却を行う場合は、所有権移転登記を行う必要があります。
所有権移転登記は任意なので、登記しなかったとしても罰を受けることはなければ、不動産会社を通してまで結んだ土地の売買契約が無効になることもありません。
所有権の所在を明らかにせぬまま売却を行うと、「私の土地を勝手に売らないでください」など後々思わぬトラブルに発展する恐れがあります。
土地の相続と売却の際は、それが誰のものかを常に意思表示しておくことで、トラブルを避けることができるようになります。
さいごに
相続した土地をすぐに売るべき理由と、その方法や注意点について解説しました。
土地の売却は大金が動く分、早く売れば売るほど享受できるメリットは大きいです。
今売るべきかどうか判断に迷った際は、ぜひこの記事を参考に理想の売却を実現してくださいね。
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2.入札による売却では、より高く、より早く不動産を売却できる可能性があります。
3.売却に関する手数料は売却価格×2%とさせていただきます。(一般的な仲介手数料は売却価格の3%+6万円)
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