「マンションを買い替えたくて不動産屋を通して売却をしたけど、1か月以上経っても入金されない…」
不動産の売却をした際に、このようなトラブルに遭ったことはありませんか?
こうした予期せぬトラブルは、仲介会社やオーナーなど、利害関係者が複数名いる不動産売買業界ではつきものです。
「自分は大丈夫」という油断は禁物。
そこで今回は、不動産売却でありがちなトラブルとその対処法について徹底解説します。
不動産売却でどのようなトラブルが起こるのか?
まずは、不動産売却を終えるまでに起こりがちなトラブルを、手順ごとにみていきましょう。
①仲介業者に関するトラブル
不動産を初めて売却する方でまず注意しなければならないのが、売買仲介業者に関するトラブルです。
すべての業者が100%信頼できるという虫の良い話はありませんし、不当に高い手数料を支払わせる業者は実際のところ存在します。
仲介業者とのトラブルは「仲介手数料に関するトラブル」と「契約内容に関するトラブル」の2つです。
②仲介手数料に関するトラブル
不動産仲介業者を通して不動産を売却すると、成約時に仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料の内訳は「売却に生じた経費+不動産会社の利益」ですが、この合計額には国が定めた上限があります。
売買価格に応じた手数料率に消費税を足し合わせた額が、仲介手数料の上限として定められています。
・200万円以下:売買価格×5%+消費税
・201万円~400万円:売買価格×4%+消費税
・401万円以上:売買価格×3%+消費税
※2022年12月現在
出典:『宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額』-国土交通省(2022)
たとえば売買価格が200万円の場合、
200万円×4%+消費税10%=28万円
となり、28万円を超える仲介手数料を支払う必要はなくなります。
選んだ業者が仲介手数料の上限を超えていると、不当な請求の可能性があります。
②契約内容に関するトラブル
不動産仲介業者に売却を依頼する際「媒介契約」を結びますが、契約内容が不十分だとトラブルになります。
物件の住所や査定額の根拠、報酬や契約違反に対する罰則等が明記されていない場合、問題が生じても対処できなくなる恐れがあります。
②販売活動で起こるトラブル
次に、不動産の販売中にトラブルが起こる可能性があります。
例えば土地を売却する際、所有する土地面積の測量中に近隣住民とトラブルになってしまうことがあります。
ブロック塀などで境界を作っていたとしても、それが近隣住民の土地に属していることもあったりと、土地に関する細かい規定がないことがあります。
このような細かい話を近隣住民とせぬまま販売を進めてしまうと思わぬクレームに発展する可能性もあります。
③相手方の保護に関するトラブル
「相手方」とは売主・買主のことで、双方への保護に欠ける行為は仲介業者が決してしてはなりません。
「事実を隠したり、事実とは違った情報を伝える」
「高額の報酬をや手数料を請求する」
「契約を急かしたり強制的に契約書を書かせたりする」
等々、こうした行為は仲介業者である前に1人の人間としてどうかという話になりますが、これらが売主だけでなく、買主に対しても行われるとなると問題です。
特に起きやすいのが、引き渡し後です。
引き渡し後に「契約時には分からなかった物件の瑕疵(欠陥)」が判明することがあります。
これは、仲介業者が自社にとって不都合な情報を契約時に開示しないことで起こります。
それにより「契約までは通常の物件を装いながらも、不動産売却が成立し実際に引き渡されてから取れない傷や汚れがたくさんあることが発覚。のちに買主が売主へ賠償を請求した」という事例が起こり得ます。
買主とトラブルになると、売主がスムーズに不動産を売却できないだけでなく、せっかくほしいと思っていた不動産を買えなくなったというクレームが来る可能性もあります。
仲介会社をよく考えて選ばなければ、売主としての信用が問われることもあります。
なぜ不動産売却のトラブルが起こるのか?
では、先ほど述べたようなトラブルはどうして起こるのでしょうか?
考えられる原因は以下の3つです。
①不動産売却に関するノウハウ不足
不動産売却はその業界にまつわる知識や経験があればトラブルを避けて売却まで進むことができます。
先ほど述べたようなトラブルに巻き込まれてしまうのは、そうしたノウハウが売主に少ないことが1つの原因です。
仲介業者のビジネスモデルやルール、売却で損をしないための情報の取り方を知らないまま契約を完了してしまうと、避けることができたはずの落とし穴にはまってしまうことがあります。
また、売主自身がノウハウ不足を自覚できていないことも原因として考えられます。
不動産売却の専門家などに相談せず、自己判断で仲介業者を決めてしまうと、不動産が安売りされてしまったり、瑕疵に気づけなかったりするのでかなり危険です。
②契約内容が抽象的である
言わずもがな、不動産売買はただの物々交換ではなく、大金が動く正式な「契約」です。
そのため、どんなに些細なことでも、2者間で取り決めたことは必ず証拠として残しておかなければなりません。
ところが、書面を取り交わさず、口約束だけの取り決めになってしまうケースは存在します。
例えばエアコンなどの設備機器について、仲介会社が売主に「残しておきます」と言っておきながら、買主に引き渡されるまでに故障品として処分してしまうことがあります。
しかし、これは口約束なので、売主が「言ってたことと違う」と主張しても、業者が「そんな話覚えてないし、証拠もないじゃないか」と言えばトラブルとなります。
当然、エアコンが設置されていると思っていた買主からのクレームにもなりますね。
口約束は「契約」ではないため、後で「言った、言ってない」というトラブルに発展する恐れがあります。
③仲介会社任せにしている
不動産仲介会社は不動産売買のプロなので、知識や経験の少ない売主はどうしても任せきりになってしまいます。
面談時に専門的な不動産用語を使われると、余計に「この担当なら任せて大丈夫だろう」と思ってしまうのも無理はありません。
ただ、そうした対応と不動産会社が適切に業務を行っているかは別問題です。
売買が売主の想定通りに進んでいるかどうかのチェックをせずに業者を過信した結果、引き渡し後に重大なトラブルが発覚することも大いにあり得ます。
トラブルを未然に防ぐための対処法は?
では、こうしたトラブルを未然に防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
①売買契約書を細かくチェックする
売買契約書は専門用語も多く読み飛ばしがちですが、解りにくい部分にこそ大事なことが書かれてあります。契約前に細かく確認することで避けるべきトラブルを避けることができます。
仲介業者との認識の不一致でトラブルが生じやすかったり、曖昧な表現で売主が不利を被る事項については、事前に必ずつぶしておきましょう。
特に以下の3点についての記載があるか要チェック!
・手付金について:売買契約を締結した証拠金の取り扱いについて明記されているか?
・中間金について:売買代金の一部を先払いしたお金の取り扱いについて明記されているか?
そして何より、不動産売買の知識や経験がなくても、「納得いくまでくまなく確認する」という姿勢がとても大切です。初めての方は疑り深くなるくらいが丁度良いでしょう。
②信頼できる不動産仲介会社を探す
細かくチェックするのは売買契約書だけでなく、不動産仲介会社そのものに対しても、です。
信頼できる不動産仲介会社を選ぶときに注目すべきポイントは以下の通りです。
・対応がスピーディかつ丁寧・実績が他社と比べて豊富・担当が親身になって相談させてくれる
・不動産のあるエリアを熟知している
・根拠のある提案をしてくれる
・ネットや口コミの評判が良い(サクラの可能性あり)
・過去に行政処分を受けていない
・資格の更新を頻繁に繰り返している
特に「資格の更新を頻繁に繰り返している」はわかりやすい判断材料です。
資格の更新頻度については、企業のホームページや店頭に「国土交通大臣免許(4)第〇〇号」「大阪府知事免許(3)第〇〇号」など免許番号が掲示されており、()内の数字が更新年数を示しています。
()内の数字が小さいほど、頻繁な資格更新があり、営業を長年続けていることになります。
トラブルが防げず、解決もできない場合は?
いくら万全にリスクヘッジしたととしても、トラブルは起きるものです。ただ、トラブルの悪化を防ぐことは可能です。
ここでは、起きたトラブルを自身では解決できない時の対処法をご紹介します。
①契約先の責任者に相談する
1にも2にも、まずは契約先の担当者やその上司にトラブルが起きたことを相談してください。
仲介業者は不動産の売買手続きをするためだけが仕事ではありません。仲介手数料にはトラブル発生時の相談・サポート料が含まれています。
よく「この担当は相談に乗ってくれないだろうな」「こんな些細なことを相談してもなあ」と不安を胸の内にしまってしまう方がいます。
しかし不動産売買は自身の資産に関わる大事な契約ですし、業者側もトラブル内容によっては自社の利益に大きく影響する可能性があるため、双方にとって好ましいことではありません。
どんなに些細なことでも良いので、まずは気兼ねなく担当者などに相談しましょう。
②自治体の相談窓口
不当に安い価格で不動産が売却された場合、損害賠償などの法的措置を検討すると思います。
トラブル内容にもよりますが、契約にない悪質な営業活動が疑われる場合は、都道府県などの自治体に相談するのも1つの手です。
行政に相談し、公的・法的に不当と認められる場合は、悪徳業者の免許はく奪や営業停止処分という強力な措置を取ることができます。
お住いの役所に電話相談、もしくは直接窓口で相談してみてもよいでしょう。
また、類似した窓口に以下の3つがあります。
1.国土交通省各地方整備局
売買された不動産を管轄する国土交通省に相談することができます。
地方整備局は各都道府県に存在しているため、お住いの都道府県の地方整備局の電話番号へ相談してみましょう。
2.国民生活センター
トラブル内容によっては、不動産にまつわる相談窓口よりも国民生活センタ―に相談された方がスムーズな解決が期待できるかもしれません。
例えば「不動産売買の相談に行ったら無理やり契約書を書かされた」といった相談はこうした団体にしてみるのが良いでしょう。
3.大手不動産や不動産団体の相談窓口
自治体の知見で解決できない問題などは、大手不動産会社や比較的規模の大きな不動産団体の相談窓口で解決する可能性があります。
大手不動産会社が当該企業に具体的な措置をとるわけではありませんが、
実績豊富な同業他社から第三者目線の意見を聞くことで、案外スムーズに問題が解決することがあります。
また、こうした不動産会社とは別に、円滑な不動産売買を支援する組織が多数あります。
不動産関連団体は中小業者の管理権限があるため、内容によっては当該企業に指導などをしてくれます。
さいごに
不動産売却におけるトラブルへの対処は「起きないように防ぐこと」と「起きても悪化させないこと」の2つが大変重要です。
売り手と買い手・売り手と業者がともにウィンウィンな取引になるよう、不動産仲介業者とはぜひ腹を割った話し合いをしましょう。
そして、セカンドオピニオンとして自治体や不動産会社の相談窓口をご紹介しましたが、どちらもプロに相談できる反面
・対面や資料を使って話さないと伝わらないことがある
・移動時間やお金にコストがかかる
など、様々な制約があり大事な相談がスムーズにできないことがあります。
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