不動産登記は必要?特徴や種類、申請方法についてご紹介

不動産登記は、土地や建物といった所有する財産の所在を明確に示すための手続きのことです。

所有者の住所や氏名など、不動産に紐づけされた情報を一般向けに公開することで様々な効果があります。

そこで今回は、不動産登記のメリットや手続きの方法についてご紹介します。

不動産登記とはなにか

まずは、不動産登記とは何かについて詳しくみていきましょう。

①不動産登記の仕組み

不動産登記とは、物件に関する情報やその所有者についての個人情報等をデータベースに登録することをいいます。

データベースへは、専門ノウハウを持つ「登記官」が情報を確認し、記録を行います。

これにより、どのような不動産を誰が所有しているのかが一目で確認できるようになります。

ここに登録された情報を閲覧したい際は「交付請求」を行う必要があり、法務局の窓口もしくは郵送にてその申請が可能です。

②不動産登記はなぜ必要?

基本的に所有する不動産が1件でもあり、その情報に何らかの変更が生じた際は不動産登記を行う必要があります。

これは主に不動産の売却におけるトラブル防止に役立ちます。

例えば、購入した不動産を登記しなければ、現在の所有者が誰なのかを第三者が確認することができず、所有権の所在が明らかではないため不動産を売却できないということになりかねません。

また、不動産登記は以下のような場合に実施してください。

1.建物を新築したとき
2.不動産を売り買いしたり、相続したとき
3.住宅ローンを用いるとき

1.建物を新築したとき

建物を新築した際は、「表示登記」を行います。

簡単にいえば、建物の個人情報を登録する作業です。

建物の住所や種類、構造や床面積、建物が完成した日付などを事細かに登録します。

2.不動産を売り買いしたり、相続したとき

不動産の購入・売却・相続等で所有者が変わる場合は、「所有権移転登記」を行います。

これにより「不動産を所有する権利が誰にあるのか」をはっきりと示し、不動産売買や相続における重大トラブルを防ぐことができます。

3.住宅ローンを用いるとき

マイホームを購入した際などに住宅ローンを借りる場合は「抵当権設定登記」を行います。

抵当権」とは、返済の担保に不動産を用いることができる権利のことです。

つまり、この登記をすることで、住宅ローンの返済ができなくなった際に金融機関が不動産を売り出し、返済費に充てることができるようになります。

後ほど不動産登記を行うことのメリット・デメリットについてご紹介するので、そちらもあわせてご覧ください。

③不動産登記はいつまでにするべき?

不動産登記は義務ではないため、「〇〇日以内に終えなければならない」といった期限やルールは存在しません。

また、行政や関係機関から名義を変えてほしいという基本的に行われないため、登記をせぬまま不動産を所有する方も少なくありません。

ただし、所有権移転登記のうち「相続登記」については今後義務化される予定で、期限が「相続の手続きが完了してから3年以内」となります。

このように、時代に合わせて登記のルールが変化していけば、
登記の有無で後々得する人と損する人が出てくる可能性はあります。

不動産登記をすることのメリットとは

では、不動産登記をすることで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、3つのメリットについてご紹介します。

①所有権をアピールできる
②融資が受けやすくなる
③相続する際のトラブル防止になる

①所有権をアピールできる

先ほど述べたように、不動産登記は、不動産の所有者が誰であるかをはっきりと示す証拠になります。

登記簿上に公的な証明として記録しておくことで「私がこの不動産の持ち主です」と周りにアピールすることができます。

これは他者に不動産の所有権を脅かされるリスクを下げることができるほか、売買において買い手が安心して購入できるという効果があります。

たとえば、所有している不動産を登記せぬまま放置している場合、親族が勝手に他者に売り払ってしまったとすると…購入者がもし先に登記していれば、その不動産を取り戻すことは困難になります。

理不尽な話に聞こえますが、建物の「持ち主」とは「所有していたという事実よりも、登記して所有権を明示しているか」で決まってしまうのです。

所有権を明示することは、こうした泣き寝入りを防ぐ効果もあります。

②融資が受けやすくなる

不動産登記をすることで、金融機関からの融資が受けやすくなります。

銀行からの住宅ローンの融資や企業との間でお金を貸し借りした場合、貸し倒れを避けるための担保を貸主が設定していることがほとんどです。

中でも土地や建物などの不動産は、多額の融資を受ける際に最も多く用いられる担保の1つです。

その不動産を担保にできるのは、誰がどのように所有しているかがはっきりしているからです。

したがって、不動産を担保に融資を受けるためには登記が必要となります。

先ほど述べた「抵当権設定登記」がそれにあたります。

お金の借主が住宅ローンの返済が滞り、返済が困難となった場合は、貸主が然るべき手続きののち建物や土地を競売にかけることができるようになります。

ちなみに、抵当権設定登記は融資する機関が指定した司法書士が手続きを取ることが多いようです。

③相続する際のトラブル防止になる

相続登記を行うことで、無用な相続トラブルを防ぐことができます。

故人が遺した不動産が複数ある場合、通常であれば遺産分割協議をもとに誰がどの不動産を所有するかが決定されます。

しかし、ただ話し合っただけでは所詮は口約束に過ぎません。後々になり、せっかく分割した不動産を他の相続人に横取りされたり、勝手に売り払われたりする可能性があります。

不動産を横取りした他の相続人が登記をしようものなら、いよいよ取り返すことも困難となってしまいます。

さらにその登記費用を誰が支払うのかについて相続人同士で揉めてしまう可能性すらあります。
故人をしのぶ間もなく親族とお金のトラブルだなんて嫌ですよね。

自身の所有権を守るために、話し合いが終わればできるだけ早く相続登記を行いましょう。

不動産登記のデメリットとは

トラブル防止の効果が大きい不動産登記には看過できないデメリットも存在します。ここでは、そんな不動産登記のデメリットを2つご紹介します。

①登記コストがかかる
②登録ミスが生じやすい

①登記コストがかかる

不動産登記における最大のデメリットは登記コストが発生することです。

1つは金銭的コストです。

例えば建物の登記を土地家屋調査士などの専門家に依頼した場合は10~15万円が一度に発生します。

もちろん建物の構造や業者によって異なりますが、簡単に払えるような金額でないことは確かです。

また、所有者自身で登記を行う場合も、申請書類の記入や情報登録に関する諸手数料で合計1万円程度のコストがかかってしまいます。

もう1つは時間的コストです。

不動産登記の専門家に依頼した場合は登記に時間を割かずに済みますが、所有者自身で行う場合は必要書類や不動産の図面の作成などに手間がかかってしまいます。

「何か起きた時のことを考えると安いものだ」と考えることもできますが、忙しくて登記をする時間がない方にとってはデメリットになります。

②登録ミスが生じやすい

所有者自身で登記を行う方法については後述しますが、自身で行う場合に気を付けたいのが、書類の記入ミスや不備です。

登記申請の必要書類には住所証明書の他に、印鑑証明書、固定資産評価証明書,代理権限証書(委任状)などがあります。

これらの重要書類と共に「登記申請書」を記入・提出することになりますが、この申請書の記入内容に不備や誤りがあると、トラブルが生じた際に不利な状況になる可能性があります。

例えば登記した土地の住所に誤りがあったことに気づかぬままトラブルになった際に、登記内容の記載がないことを相手に主張されると、他の証拠で正しい住所があることを証明しなければいけなくなります。

登記申請書は日常生活で書かないような言葉をたくさん書くので、どうしてもミスが生じやすいです。

ただ、登記に登録するどの情報も、所有権の証拠となる大切なものばかりです。

どんなに些細な情報も、提出前にヌケモレ等がないか必ずチェックしましょう。

どうしても自身での申請に不安があれば、先ほど述べた登記の専門家に依頼するのも1つです。

不動産登記を自分でやるには

「やっぱり、不動産の登記にはお金がたくさんかかりそうだし、忙しいけどなるべく自分で済ませたい」という方に、不動産登記を自身でなるべく手軽に済ませられるよう、登記方法別にご紹介します。

基本的には、どの方法も以下の3ステップをたどります。

ステップ①:所定の申請書に必要事項を記入する
ステップ②:その他の書類をそろえる(印鑑証明や住民票など)
ステップ③:法務局に準備した書類を全て提出する

なお、各申請書類のフォーマットが法務局のホームページから無料でダウンロード可能です。

それでは早速、種別ごとにみていきましょう。

①表示登記
②所有権移転登記
③抵当権設定登記

①表示登記

建物の表示登記は、とくに新築の場合は事前に現地調査が必要となります。

建物の基本事項に関する閲覧調査が法務局により行われた後、現地調査が入ります。この調査をもとに建物の図面を作成し、事前準備完了となります。

・ステップ①:「登記申請書」をダウンロード

・ステップ②:他の書類を準備する

必要な書類
・所有権証明書:建築確認通知書、検査済証など
・住所証明書:住民票、戸籍謄本など
・委任状
・建物の図面、各階平面図

・ステップ③:法務局に提出する

これらを専門家に依頼した場合、通常の一軒家であれば約8万円~10万円かかります。ただし他の登記が必要となった場合はそれ以上の費用が発生します。

②所有権移転登記

 

・ステップ①:「所有権移転登記書類」をダウンロード

・ステップ②:他の書類を準備する

必要な書類
・登録識別情報:権利書など
・住民票:新オーナーのものを準備
・登記謄本
・固定資産税評価証明
・登記原因証明情報
・印鑑証明:旧オーナーのものを準備

・ステップ③:法務局に提出する

所有権移転登記を司法書士に依頼した場合は数千円から5万円程度とピンキリです。

その他書類の準備等にかかる費用を加味すると、所有権移転登記にかかる費用は合計6~7万円くらいが相場になります。

③抵当権設定登記

・ステップ①:「登記申請書」をダウンロードする

・ステップ②:他の書類を準備する

必要な書類
・登記識別情報:権利書など
・印鑑証明
・登記原因証明情報
・代理権限証書:委任状

・ステップ③:法務局に提出する

抵当権設定登記の費用相場はおよそ3万円~7万円となります。

うち司法書士など専門家への依頼費用はピンキリで、自身の書類準備等にかかる費用や登録特許税を合計するとそれくらいになります。

不動産登記は一見お金も時間もかかる複雑で面倒な手続きと思われがちですが、それ以上に享受するメリットが大きいです。不動産を所有する際はなるべく早く、登記を行うようにしましょう。

さいごに

今回ご紹介した事例の中でも、相続登記のトラブルは最も避けるべき事態であります。

イマスグ弁護士』では、24時間365日弁護士に相談できるため、相続人同士の、不動産相続にまつわる急なトラブルにもいち早く対処できます。

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