相続した不動産の売却は準備が肝!必要手続きや手順を徹底解説

お金の写真相続した不動産の売却において最も重要なのは、相続人に不動産が正しく相続されるまでをトラブルなく実行することです。

もちろん売却におけるノウハウも大切ですが、そもそも相続がうまくできなければ満足のいく売却もできなくなる可能性があります。

納得のいく売却を行うために、その準備段階である相続の手順を徹底的にインプットしておきましょう。

今回は、不動産相続の方法と売却における注意点について解説します。

 

不動産の相続の手続きと流れ

不動産の相続は主に淡々とした事務作業が続きます。主なステップは以下の3つです。

 

①遺言書の確認

被相続人(故人)が無くなった後に、遺言書があるかどうかを確認しましょう。

遺言書には、不動産の相続人や不動産のスケール等について詳しく書かれています。

遺言書の有無が事前に確認できていない場合は、心当たりのある場所を隅々まで探してみましょう。

一般的には、自宅で保管している場合は被相続人が日常利用していた机の引き出しやタンスの中、また金庫などの中に厳重に保管されていることが多いです。

なお、被相続人が生前に公正証書遺言を作成していれば、公証役場にある「公正証書遺言検索システム」で検索することができます。

公正証書遺言は法的に有効な書類であるため、財産の分配等をスムーズに行うことができます。

遺言書は後の遺産分割協議でのトラブルを防ぐために重要な書類となります。

有るか無いかだけでその後の手続きが大きく変わってきますので、必ず確認をしてください。

 

②相続人の確定

遺言書が有ることを確認したら、遺言の内容に沿い相続の手続きを進めてください。

もし遺言書が無かった場合は、できるだけ早く相続人を確定させてください。

その場合、まずは相続人となる可能性のある人物を洗い出す必要があります。

被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本や除籍謄本を取り寄せ、調べなければなりません。

親や兄弟姉妹、いとこや養子など、親族関係となる人を全て洗い出し、相続人を確定させます。

後に新たな相続人が発覚した場合、遺産分割協議のやり直しが生じるため、少し面倒ですがスムーズな相続のために慎重に行いましょう。

もし時間がないのであれば、法務局にて「相続情報一覧図」として相続人の証明を公的に行うこともできます。

被相続人の戸籍や相続人の住民票などを提出すれば、戸籍謄本の代わりに相続関係を証明することができます。

 

③財産目録の作成

財産目録の作成は、相続人を確定させる作業と同時並行に行いましょう。

財産目録とは、相続財産の内容が一覧でわかるようにまとめたものです。

財産目録は基本的に作成者が決められておらず、喪主などが相続の期限を確認しながら粛々と作成するのが一般的です。

ただし、遺言書の内容を実行する遺言執行者が決められていた場合は、民法の定めにより期限内の財産目録作成が義務付けられています。

財産目録は遺産分割協議において異議申し立てが生じた際に活用したりと、いざという時の証拠として役に立ちますので、念のため作っておきましょう。

不動産の相続時に発生する税金

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不動産を相続すると、主に2種類の税金が発生します。それぞれどのような場面で課税されるのでしょうか?

具体的な仕組みについてみていきましょう。

 

①登録特許税

不動産を相続すると、〈相続登記〉をする必要があります。

これは被相続人の名義から相続人の名義に変更する手続きで、相続登記を行う際は「登録免許税」という税金が発生するのです。

登録免許の税率は、不動産の固定資産税評価額の0.4%です。

例えば、1,000万円の土地を相続登記する場合の登録免許税額は、1,000万円×0.4%=40万円となります。

法務局にて相続登記を行う際に、登記料と合わせて登録免許税を収める必要があります。

 

②相続税

相続税は、亡くなった方の遺した不動産(土地・戸建て・マンション)を引き継ぐことで生じる税金です。

不動産の価格から、債務・葬式費用等を全て差し引いた価格に対してかかります。

ただ、できることならなるべく節税したいですよね。

相続税には基礎控除、つまり「この金額までは相続税がかからない」という基礎控除があります。

税額が基礎控除額を下回る場合は、相続税は発生しません

ちなみに基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」で算出できます。

たとえば、相続人の数が3人だった場合の基礎控除額は3,000万円+3×600万円=4,800万円となります。

この場合、不動産価格の合計が4,800万円よりも低ければ、相続税は発生しません。

なお相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の所轄税務署に申告し、納税を行う必要があります。

申告が面倒だからと後回しにせず、期限内に必ず行いましょう。

不動産相続で起こりうるトラブル

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不動産は故人が遺す遺産の中で最も大金となりうる財産です。

そのため被相続人が1名のみであれば問題ありませんが、それ以上の人数となると「誰がいくら財産をもらうのか」の話し合いを避けて通ることはできません。

とはいえお金のことで親族同士で揉めるようなことはしたくありませんよね。

ここでは、不動産相続で起こりうるトラブルとその避け方について紹介します。

不動産相続によるトラブルは年々増加

厚生労働省が2020年に発表したデータによると、被相続人の選任についてトラブルに発展した件数は23,617件です。

8年前の2012年には約15,000件であり、不動産像族に関するトラブルは年々増加の一途をたどっています。

相続人の選定だけでなく、相続した財産を誰がどのように面倒を見ていくのか(相続財産の保存又は管理に関する処分)など、お金の話以外にもトラブルの火種は潜んでいるのです。

相続トラブルの母、遺産分割協議

遺産分割協議とは、「誰がいくら財産をもらうのか」についての話し合いです。

被相続人が死亡した際に財産に関する遺言が残っていない場合、相続人同士でそれを話し合うことになります。

この協議はあくまで任意なので、具体的な進め方についてルールはありません。

直接会って話すのが一番ですが、遠くに住む親戚やスケジュールを合わせるのが難しい場合は、電話やメールを使用しても問題ありません。

なお、この協議に参加できる続柄は以下に限られています。

①配偶者(常に法定相続人)
②子供
③父母
④兄弟姉妹

上位の相続人がいなければ下位の順位の人へと相続権が移りますが、こうした優先順位を飛び越えた主張によりトラブルが起きる可能性はあります。

もし話し合いがうまく進まなければ、家庭裁判所に相談し、手続きを公正に進める必要があります。

またうまく進んだとしても、全てが決まった後で他の相続人に「実は納得していない。やり直しだ!」と言われ、紛争が長期化してしまう恐れもあります。

どうすれば不動産相続の「トラブル」を防げる?

・協議書を作っておく
遺産分割協議の中で誰がどのような主張をしたのかや、話し合いの結果はどうだったのかを議事録として「遺産分割協議書」にまとめて記録しておきましょう。

そうすれば「実は納得していない。やり直しだ!」という主張や「あの時ちゃんと協議しておけばよかった」という後悔を防ぐことができます。

・遺言書が見つかるまで探す
そもそも遺言書が有れば、記載通りに動けばよいので基本的に遺産分割協議は不要となります。

先ほど述べたように、遺言書は相続において最も効力を発揮する文書なので、被相続人が亡くなられたらまずは部屋の隅々まで徹底的に探しましょう。

ただ遺言書が無効になるケース(自筆証書遺言など)もあるため、遺言書が存在する場合でも本当に遺産分割協議をする必要がないのか一度は検討することをおすすめします。

不動産相続が済み、いざ売却へ

説明しているビジネスマン

相続人も無事に決まり、不動産の相続手続きが一通り終了したら、ようやく売却への一歩を踏み出すことができます。

不動産相続の手続きに漏れがないか再度チェック

特に相続登記は義務ではないため、やることが多い相続手続きの中で後回しにされがちですが…建物の所有者が不明のままになると、相続人が亡くなった後、残された親族間で相続トラブルになる可能性があります。大切なご親族のためにも、落ち着いてからでよいので忘れる前に手続きを済ませておきましょう。

 

不動産を売却してお金に変える

相続した不動産は、売却してお金に変えることもできます。
これにより売却益を得られるだけでなく、3年以内の売却であれば、税金が安くなることがあるのです。
相続税は安くなりませんが、それ以外の税金を少しでも安くしたい方は、下記2つの特例が使えるかもしれません。

・相続財産の取得費加算の特例:支払った相続税の一部を、「取得費」に加算できる
・相続空き家の特別控除:被相続人の居住用不動産を売却すると、最大3,000万円の控除が受けられる

不動産や株式などのもうけ(譲渡所得)がある方や、大型マンションやアパートを所有していた被相続人がいる方は、上記特例をうまく使うことで大幅な節税になるかもしれませんよ。

どちらの特例も「相続開始から3年以内を目安に売却すること」が適用条件になっています。
売却に取り掛かるのが遅かったり、買い手がいなければ支払いが増えてしまう可能性はありますが、前向きに検討してみるのも1つです。

 

不動産売却する際の注意点

・スムーズに高く売ってくれる不動産会社に依頼する
先ほど述べたように、特例を受けるためにはスピードがとにかく大切です。

相続した不動産は「相続税の納税」や「特例を使える時期」に期限があります。

期限内の売却をするには、売却に慣れた不動産会社に依頼することがポイントです。

・共有名義の売却は相続人全員の同意が必要となる
相続人が複数名いる場合は、売却を考えた本人だけで決めずに事前に各相続人と相談しましょう。

お金になるからと早合点しないことがポイントです。

また、相談の際は「そもそも売却して問題ないか」と「売値は問題ないか」の2点で同意を得るようにしましょう。

売値については、後々損が出ないように「〇〇円以上なら売る」という最低ライン(最低売却価格)を相続人全員で決めるのもポイントです。

さいごに

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不動産相続や売却は何かとトラブルが多い手続きです。避けられる失敗は避けていきたいもの。

この記事で紹介した不動産相続の手順や注意点を実践し、ぜひストレスの少ない相続を実現しましょう。

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