税理士・箕村先生に聞く!「確定申告でもれがちな経費TOP3」
インタビュー動画はこちら
確定申告でもれがちな経費 第3位
第3位は「医療費」です。
確定申告は12月末で締めて、翌3月に申告をするのですが、病院は12月にばかり行くのではなく、1月にも2月にも行きますよね。そしてその都度領収書を受け取ります。
医療費控除の対象は1月から12月までの一年間に支払った金額です。1月や2月に受け取った領収書をきっちりまとめていればいいのですが、12月までに期間があるので中には失くしてしまう方もいます。
医療機関の領収書は再発行が難しいようで、医師にお願いしても再発行してもらえなかったり、あらかじめ領収書には再発行はしないと明記されていることもあります。
こういったことから、領収書を失くしてしまったからもう控除はいい、と諦めてしまう方もいますね。
協会けんぽや健康保険組合からは、何月何日にいくら医療費を使いました、という通知が一年に一度届くようになっているのですが、最近ではあの通知を申告に使うが出来るようになりました。
ただそこには載らない自由診療の領収書や、薬局で薬を購入した際の領収書も控除の対象になるので、やはり日ごろからきちんと保管をしておくことが大切ですね。
確定申告でもれがちな経費 第2位
第2位は「控除証明」です。
控除証明とは、生命保険や地震保険、小規模企業共済などに加入して保険料を支払うと「これだけ年間で支払いました」という証明書を、各保険会社や損保会社が送付してくるものです。
この証明書が届くのが、だいたい10月です。
これも先ほどの医療費と同じように、申告まで若干期間があるんですね。そうするといろいろな郵便物の中に紛れ込んで失くしてしまったり、置いてあったはずの場所になかったり、そうやって失くしてしまうことがあります。
確定申告でもれがちな経費 第1位
第1位は「経費の帳端分」もしくは「売上の帳端分」の計上です。
帳端というのは、掛けの売上や仕入れ、後はクレジットカードの明細などに関連しています。
それらの取引相手やクレジット会社によって締め日、支払日が違うことが多いんです。
個人の申告でいうと12月の末日が最終日なので、末締めであれば12月31日が締め日になります。すべての請求書やカードがその締め日であればそのまま12月分を計上すればいいのですが、会社によっては締め日が5日、10日、20日と違っています。そうなるとそれだけ何日か足りない、という事態が発生してしまいます。
そこの部分は翌月、または翌々月の請求書に載ってくるのですが、これは使った日付で計算をすることもできます。
けれどこの計算をそもそも忘れてしまったり、計上できるということを知らない方もいます。これが圧倒的な1位ですね。
番外編・株をやっている人は要注意!
番外編として、証券会社を通して株をやっている方は、証券会社がこれだけ売れて原価があって、利益が出たとか損が出たとか、そのような計算をしてくれます。
そしてこの報告書は契約者に送られ、同じようなものが税務署にも送られます。
利益が出た場合、証券会社が計算をしてくれて納税もしてくれるのでそれで終わりなのですが、問題はマイナスだった場合です。マイナスだった場合は、マイナスだから税金も払わないしそれでいいのかと思いきや、株のマイナスは申告をしないと翌年以降に持ち越すことができないのです。
株の赤字は3年間持ち越すことが可能です。
例えば令和3年は赤字でも、令和4年に黒字になれば、3年の赤字を4年の黒字と通算して計算することが可能になります。
ただこうするためには赤字をきちんと申告して繰り越せる用意しておかないといけません。
世間ではデジタル化、ペーパーレス化と盛んに言われていますが、モノがないと確認も取れないので、送られてきた紙やデータはきちんと管理しておかなければいけませんね。
まとめ
・医療費は保険組合や教会けんぽからの通知で申告することもできる。
・自由診療や薬代など、通知に載っていない分は領収書が必要。
・控除証明は毎年10月ごろに届くので、忘れずに保管しておくことが大切。
・帳端分は12月以降の請求に載る分でも使用したのが12月ならその年の申告が可能。
・株のマイナスは繰り越せるのでマイナスでもきちんと申告することが大切。