税理士・箕村先生に聞く!「上手に経費計上して一括損金で節税」

税理士・箕村先生に聞く!「上手に経費計上して一括損金で節税」

インタビュー動画はこちら

法人の一括損金での節税が話題に

事業に必要な「もの」を購入するとします。その「もの」には耐用年数というのがそれぞれにあります。基本的にはその耐用年数に応じて年ごとに経費化をしていく、いわゆる「減価償却」というのが基本になります。

例えばパソコン1台を10万円で購入して、4年間使用します。10万円を年で割ると1年あたり2万5千円。さらにその2万5千円を12カ月で割った分を、実際にお金は出て行くことはありませんが経費として償却していく、ということです。

これら通常の経費処理とは異なる法人の一括損金の算入は、中小企業や個人事業主などが対象になっています。

 

減価償却ではなく損金算入が可能に

10万円未満のものに関しては、これまでと同様に事業用に購入して使用した時点で経費処理をすることができます。

その次に10万円以上20万円未満のものに関して、一括償却資産という呼び方をするのですが、そこについては3分の1を償却、ということになります。

その次に20万円以上30万円未満のものに関しては、いわゆる少額減価償却資産といって、事業用に購入した時に一度で経費処理ができる、ただし年間300万円まで、というのが決まっています。

これらを超えると、初めにお伝えした通り、ものの耐用年数に応じて減価償却をしていく、という処理が必要になります。5年ないし10年間、耐用年数に応じて償却の経費処理をしていく、ということになります、

今年はすごく儲かったので1000万円節税したい! ……なにか方法はあるの?

例えばですが、今年はとても儲かった! 利益が出るのはいいことなのだけど、ちょっと節税したいな、と考えた時に、いい方法はあるのでしょうか。

結論から言うと、以前はいろいろ方法がありましたが、現在は限定的なものになります。

以前は、例えばひとつの値段が10万円しないもの……最近のものであればドローンなどを100台購入する。その1つ1つは10万円未満なので、経費処理をして利益を減らすことで節税に繋がる、というものですね。

ドローンではなく、建築用の足場やパソコン、コンテナやタンカーなどを購入するという方法もありました。

高額なものでは飛行機などもありましたが、コンテナやタンカー、飛行機は1口当たりが1000万円から3000万円と、ぱっと手が出ないところではありますが、決算が近づくと対策としてそういうものを購入するというケースもありました。

 

決算対策で購入したもの、どのように活用するの?

そもそもドローンを100台とか、足場を買ってどうするのかというと、買っても自分のところに置くだけで使わなければ意味がありません。なので、レンタルをします。誰かに貸してレンタル料を取るんですね。

足場であれば足場屋さんに貸したり、ドローンは測量会社さんや地図の関連会社など、いわゆる上空から絵面を取らないといけないような業種の方にレンタルして、レンタル料を頂くことで節税と収益に繋げていきます。

この方法は以前まで可能でしたが、令和4年の4月に法改正が行われました。

自社利用ならいいのですが、買ってきたものを経費処理して他社に貸し出して収益を得る場合、本業に関連するものではないものに関しては1回で落とせないので減価償却が必要になります。

今年度内に多額の経費を計上したい場合はどうすれば

先ほども申し上げた通り、本業じゃないとだめですよということなので、本業に沿うものであればいいのではないでしょうか。

例えばパン屋さんであればトレーを購入する、などですね。あまりたくさんあっても困ってしまいますが。

以前は保険もあったのですが、今は節税目的の商品がないので難しいですね。

絵画などは資産になってしまいますし。

目的とは少し違ってきてしまいますが、賞与や給与に反映するというのもありますね。

 

まとめ

・中小企業や個人を対象に一括損金の算入が可能に。

・1つあたりの値段や年間の上限はある。

・以前は節税対策で購入したものを貸し出すこともできた。

・現在は貸し出し可能なのは事業関連性のあるものだけに限られている。

・年度内に経費を多額に計上したい場合は、賞与なども一つの手。