不動産鑑定士・飛松先生に聞く「売れない貸せない、その空き家放っておくと…!!?」
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空き家はなぜ発生するのか
近頃、全国的に空き家問題がよく話題になっています。
そもそもなぜ空き家が出るのかというと、日本の場合「建てて売る」という建築市場は結構活発なので、人口が増えている時というのは建てて増やせば買い手もつくし借り手もつく、という状況でした。
ですが現在は人口がどちらかというと減っていっている時代なので、たくさん建てたはいいが人が増えず買い手も借り手もつかない、ということで空き家が増えています。
空き家問題は都会と田舎、どちらが深刻?
実は、空き家問題が大きくなっているのは都会なんです。例えば大阪だと、西成区の空き家率がとても高いです。
西成区というのは少し独特な場所で、生活保護を受けている方が多いんです。そういった方が家賃を払えないからとそのまま逃げてしまい、結果としてその家が空き家になるケース。
また、高齢者の方も多く住んでいるので、その方が亡くなった後に相続人がその空き家を使わず、そのまま空き家にしておいている、というのも多いと聞いています。
家を相続したけれど売りもせず貸しもせず、そのまま置いているという状態ですね。
もし相続しないとどうなる?
家の相続は大体所有者の方のお子さんか親戚の方がされるのですが、所有者の方にお子さんも親戚もいないという場合もあります。レアなケースではありますが、その場合は国庫に帰属をしますので国の持ち物になります。
空き家の固定資産税はどうなるの?
相続した持ち家、土地には固定資産税がかかります。空き家を所有している方たちはきちんと支払っている方が圧倒的に多いのですが、滞納している方も多いです。
空き家になっているような物件は、だいたい建物が古い場合が多いと思うのですが、建物が古いと税金はほとんどかからないんです。
また、土地というのは建物が建っていれば、住宅の場合は6分の1特例というものがあります。
住宅として土地を持っていれば土地の固定資産税が6分の1になるのですが、建物を潰して更地にしてしまうと、6分の1支払っていた固定資産税が一気に6倍になってしまいます。
その為あえて空き家のままにしておいて、6分の1の恩恵をずっと受けておきたいと考える方もいます。
そういった事情もあり、空き家問題はなかなか解決しないのかもしれませんね。
田舎の空き家、どのような対策ができる?
田舎の空き家で、例えば古民家ですね。江戸時代から続くお屋敷であるとか、大正・明治時代から続くお屋敷であれば結構人気があるので、古民家マニアの方に買って頂いたりすることや、リノベーションをして店舗にリニューアルをして貸すことも結構あるようです。
一番問題なのは、特徴のない空き家ですね。古民家でもなく、駅から近いわけでもない。
あまり人気のないようないわゆる一般的な古い家は、貸そうにも売ろうにもどうにもできないということが多く、そういった空き家がどんどん残って廃墟化してしまっている、という地域も多いのではないでしょうか。
売れない貸せない空き家、最終手段は?
売りもできない、貸しもできないという物件の場合、最終的には無償で引き取ってもらう、という方法も。そういった取引を専門にしている不動産業者もいます。
ゼロ円でも引き取りができない場合は、例えば30万円など、お金を支払って引き取ってもらう、という方法も最近は出てきています。更地にせず、そのまま現状渡しですね。
空き家のリスク
うちのお客様で、空き家を持っていたのですがそこに浮浪者の方が勝手に住んでいたようで、ドアを開けたら人がいた、というケースがありました。
他にも火事など、防犯面を考えると空き家を持つということにはどうしてもリスクがあるかもしれませんね。
空き家の相談はどこにすればいいの?
空き家に関する悩みは、まず市役所にしてみましょう。最近は「空き家対策相談室」を設けている役所も多いです。そちらで一度確認してもらって対応を練りましょう。
また、空き家のある地元の不動産屋さんにダメ元で引き取ってもらえないかを相談するのも、一つの方法としてはありかな、と思います。
不動産鑑定士も相談に乗ることはできますが、実際に貸しましょう、売却しましょう、ということになると担当が不動産屋さんになってしまいます。
相談というお話だと、私たち不動産鑑定士は各市町村で月に一度無料相談会をしているので、そういったものを利用して相談をする、というのもありかもしれないですね。
まとめ
・空き家問題は田舎よりも都会で深刻に。
・相続した土地に住宅があれば固定資産税は6分の1だが、更地にしてしまうと一気に6倍に。
・防犯面でも空き家にはリスクがある。
・最終手段として、ゼロ円で譲渡をすることも。
・空き家の相談はまず市役所へ!