U.K.さんに聞く「ドラマの作り方が変わる?WDRプロジェクトて何?」
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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」、くっすんことU.K.さん。
今回はU.K.さんに「ドラマの作り方が変わる?WDRプロジェクトて何?」というテーマについてお話を伺いました。
U.K.
関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。
ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。
WDRプロジェクトが話題に
―最近話題の「WDRプロジェクト」を知っていますか?
U.K.:このプロジェクトのことを知ったきっかけは、僕の息子でした。
息子は大河ドラマの大ファンでNHKのホームページをよく見ているのですが、そこでこのプロジェクトのことを知り、参加したいと話してくれたんです。
WDRとは「Writers’ Development Room」の頭文字を取ったもので、脚本開発に特化したチームを指しています。チームメンバーは公募していて、応募資格は年齢も国籍も不問となっています。
WDRプロジェクトは「苦肉の策」
U.K.:正直言って、このプロジェクトは「苦肉の策」なんだろうなと感じました。
―「苦肉の策」とはどういうことですか?
U.K.:とうとうこういうことを公共放送局が始めたんだな、と。今までのドラマ作りのやり方ではもう世界に対抗できない、ということなんですよ。
―今までのドラマ作りってどんな方法なんですか?
U.K.:ドラマ作りには様々な手法があって、全てを僕が知っているわけではありません。僕の知っている限りの話にはなりますが、一般的なドラマ作りではまずプロデューサーと監督がいて、そこに脚本家も加えて、この3人がいろいろな話をしてストーリー展開を決めていく、というのが大筋です。
一方でアメリカでは、1つのテーマについてプロデューサー、ディレクター、AD、さらに場合によってはヘアメイクさんまで加わって、みんなでディベートをしながらストーリーを作り込んでいくんです。
自分自身の意思は捨てて、いいものを作るためだけに皆が集中するからこそ、めちゃめちゃいい脚本が生まれるんです。
ただ、この方法は日本では難しいんですね。
出る杭は打たれてしまうのが日本の制作現場
U.K.:なぜ日本では難しいのかというと、日本には「年功序列」というものがあるからです。若い子が出てくると、打つ、叩く、というのが日本の風潮なんですね。
これは経団連の企業を見ればわかるのですが、7割以上が戦後すぐの時代と変わらない企業なんです。でも海外では顔ぶれはガンガン変わります。なぜ日本では戦後と同じ企業が居座り続けるのかというと、年功序列があるからなんです。
この年功序列が日本では何より影響が大きくて、いい才能を持った若い人が現れても「俺にとって目障りだ」と年長者が思えば潰されてしまう。これはどうしてもぬぐい切れない、日本人ならではの良くない性格だと思うんです。
だからこそNHKが年功序列なんて関係ないと取っ払って、年齢も国籍も不問で脚本の製作チームを作りました。チームで様々なメンバーの意見を仕入れて、そしていい脚本が出来上がっていい役者さんが演じてくれれば、必ずいいドラマは作れます。
そして世界に向けてそのドラマを羽ばたかせていきたいという思いがあるのではないかな、と僕は思っています。
ドラマは映像世界の横綱
U.K.:以前ある番組で、ABEMAの藤田さんが「ドラマは映像世界の横綱だ」と言っていました。
ドラマを作ることで何が上がるかというと、まずその放送局のブランド、価値が上がります。そして知名度が上がり、さらにはスピンオフの映画製作に繋がったり、海外配信ができたり、放送権が売れたり、DVDも販売できたりと様々な可能性があるんです。だからこそみんなドラマをヒットさせたいな、となるんですね。
バラエティでヒット番組を作るのももちろん素晴らしいことです。ただそれがブランディングに直結はしないんですね。
ドラマは別格で、美しく神々しいものなんです。だからこそどの放送局もドラマで当てたいんですよ。
華やかなだけではない? 役者の苦労
U.K.:しかしドラマは役者さんが大変ですね。なぜ大変かというと、ドラマを1話撮影するのに1週間、2週間とかかるのに、ギャラは一本当たりで支払われます。
だからよほど売れている役者さんで、いろいろなものをやっているか、それか主役級でもないとなかなか食べていくのは大変です。
僕も何度かドラマに出演させていただきましたが、本当に役者さんには頭が上がりませんでした。役者さんってすごい仕事だな、と思います。
日本発大ヒットドラマがなかなか出なくなった原因
―日本発大ヒットドラマがなかなか出なくなった原因は、視聴者の目が肥えたからか、ライバルが増えたから、どちらなのでしょうか。
U.K.:どちらもあると思います。何度かこのコラムでもお話をしていますが、Amazonをはじめとするペイチャンネルがどっと押し寄せてきています。ちょうど100年以上前に黒船に乗ってペリーが来航してきたような感覚ですよね。
日本の市場規模が数10億円から数100億円とやっているところに数兆円の規模間のものがやってくる。製作費もギャランティもけた違いです。そうなるとやはりそちらに皆流れざるを得なくなりますよね。
ただ今回のWDR企画をきっかけに、日本のドラマ界のレベルがぐっと上がる可能性も十分あります。
だからこそぜひこの企画に僕と、僕の息子も入れて欲しいですね(笑)