U.K.さんに聞く「テレビは有料チャンネルばかりになっちゃうの?」
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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」、くっすんことU.K.さん。
今回はU.K.さんに「テレビは有料チャンネルばかりになっちゃうの?」というテーマについてお話を伺いました。
U.K.
関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。
ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。
地上波から消えゆくスポーツ番組
―最近、格闘技の地上波放送が次々と取りやめになっていますね。
U.K.:そうですね。ただ、これって他のスポーツにも言えますよね。野球もサッカーも減っています。
―確かに。
U.K.:スポーツはどんどん専門チャンネルでやるようになっていて、その専門チャンネル自体も日本のものではなく、海外の超大手のスポーツチャンネルがやるようになってきています。
海外のスポーツチャンネルによる「弊害」
U.K.:海外のスポーツチャンネルが放送することで、僕がすごく不本意だと思うことがあるんです。海外の方って気軽にスポーツを賭け事の道具にすることが結構あるんですね。パブや酒場でやっていたりと、すごくイージーに。その道具にされるのがすごく嫌だなって。
日本にも「toto」がありますけど、それはしっかりと制限や規制があった上でやっています。世界的に賭け事の道具になるのはちょっと気持ちよくはないですよね。
ただ一方で海外に配信することで契約金が入って来て、契約金が入ってくれば入ってくるほどいい選手を獲得できるし、育成もよくなり、環境も良くなるという現実もあります。なんだか歯がゆいような気持ちになりますね。
地上波で放送する意義
U.K.:ここ最近、地上波で放送されるはずだった有名な選手たちの試合が配信に変わってしまうというのを見ていると、本当に時代は変わってきているなと感じます。
以前のコラムでもお話ししましたが、ペイチャンネルがスタンダードになってきているな、と。いい試合を見たいのであればお金を払え、ということですよね。
ただそういった試合を無料の地上波で放送することで何が起こるかというと、試合に興味のない人たちに興味を持たせることができる可能性もあるんです。
そこをペイチャンネルでは無視してしまうことになりますよね、だってもともと興味のある人たちがお金を払って見るわけですから。これは映画も一緒なんですよね。
知らない人が見ることで、もっともっとファンが増えていく。また子どもたちの夢や可能性も広がると思うんですよ。
だからこそ、僕は地上波でもっともっと放送されて欲しいなと思います。
放送局とペイチャンネルでは出せるファイトマネーに差がある
―日本の地上波は企業スポンサーが主なので、そこにはお金の問題が生まれてくるのでしょうね。
U.K.:そうなんですよね、どうしても予算の上限が出てくるので、海外選手の試合だとファイトマネーの問題もあります。日本のイチ放送局が払える金額と、ペイチャンネルが払える金額では0が一桁変わってきてしまうという現実があるんです。
格闘家は試合に命を懸けるわけですから、少しでも多くもらいたいというのは当然です。そうなってくると、どうしてもペイチャンネルに心が動かされてしまうのではないかな。
地上波で放送すること。子どもたちの未来のために
U.K.:僕はテレビを見て「このボックスの中に入りたい」と、ラジオを聞いて「このボックスに入って喋りたい」と思っていた世代なんです。
だからこそ地上波とかラジオとか、そういうものをもっと大事にしてほしいんですよ。
じゃあどうするべきかというと、国がもっとお金を出すべきです。
放送局とペイチャンネルを比べた時に、ファイトマネーをペイチャンネルの方がたくさん払っているよという事であれば、それは国が補助金を出すべきだと僕は思うんです。
そして未来のため、子どもの将来のためにみんなで見せようじゃないかと。
子どもたちが10年後、20年後に日本や地球をもっともっとよくしていく、背負っていくんです。その子たちに夢を与えないでどうするんですか? と僕は思うんです。
これからは「感性」の時代。子どもたちの感性を育てるためには
某ペイチャンネルで、ヨーロッパの風景を空中から見る番組があるんです。いろいろな工場を空中から見ていく回の時にある車工場の上空を通ったのですが、外観がめちゃめちゃお洒落で唖然としてしまいました。そして「これだけ感性が豊かだからこそ、外車ってこんなにお洒落でかっこいいんだな」と感じたんです。
もちろん日本車もお洒落で可愛くてかっこいい。でも外車のエッジの効いた感じにはどうしても敵わないんですよね。それはなにかというと、感性なんです。これからの時代というのは感性の時代だと僕は思っているんです。
日本は今までは数字数字とやってきましたが、日本の企業を見てみてください。30年前は世界の企業ベスト20を見たらほとんどが日本企業でしたが、それから20年後、30年後の今ではベスト20にも30にもほぼいないんですよ。
日本の企業がなぜこんな状況になったかというと、数字ばかり追ってきたから。でも今は感性が大事なんです。感性は数字で表せないからないがしろにされてきていたけれど、これからは感性を育てるためにも地上波をバックアップして、どんどん地上波の放送を豪華にしていくべきだと個人的には思っています。
次回のコラムは「最強の脚本製作チームで世界のドラマ界に殴り込み! WDRプロジェクト」。
配信チャンネルの台頭で様々な国の様々なドラマが手軽に見られるように。競争の激しいドラマ界で、日本のドラマが世界に打って出るためにNHKが創設したとあるプロジェクトとは? U.K.さんが詳しく解説します。