税理士・箕村先生に聞く!「美容整形の費用は医療費控除の対象ですか?」
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美容整形は医療費控除の対象?
そもそも医療費控除というものは、治療など、病気やけがを治す際にかかった費用に対する税制上の控除です。つまり、この場合は美容整形が治療というカテゴリに入るのか入らないのか、というのが1つの分岐点になるでしょう。
医者の判断で治療となるのか、自身の願望のための治療なのか。その辺りの線引きによると思います。
例えば交通事故でのけがを治療し、元の顔に戻すためというのは治療行為かなと思いますし、一重瞼を二重瞼に見た目の問題から変えたい、というのは医療費控除の対象にはならないでしょう。
そもそも医療費控除とは?
自身が病院などに行って治療を受けて支払った医療費、または生活を一緒にしている配偶者や子供が支払った医療費が対象になります。
それぞれの所得に応じて変わるのですが、基本的には10万円を超える部分に対して所得控除という形で控除を受けることが出来ます。
控除の割合はそれぞれの所得に応じて変わります。所得税であれば5%から最高税率45%まで、住民税であれば10%の税金が控除されます。
医療なのか美容なのか、税務署はどう判断する?
以前は確定申告の際に領収書を一緒に提出していたのですが、最近の電子申告においては領収書は提出せずに納税者が保管しておいて、必要があった時には提出して見せられるようにしてください、ということになっています。
医療費の金額や病院名などは医療費控除の明細に記載をするのですが、それを見ただけでは詳しい治療の内容までは税務署の方はわからないかもしれないですね。
美容医療なのでは、という指摘はいつ入る?
確定申告をすると、税務署は正しく計算されているか、など書面をしっかりとチェックします。その時に「これは確認が必要だ」ということがあれば、電話がかかって来たりお尋ねの書類が届くこともあります。
美容と医療の境目は?
確定申告書は自身で作る場合と税理士に依頼をして作る場合があると思うのですが、税理士に依頼したものには税理士のチェックが入って、ハンコが押されるんですね。確認が入っているということで、ちょっと大きな金額であるとか、病院の名前に引っかかるところがあっても第一段階はクリアするのではないかな、と思います。
ただそういうハンコのない個人で作成したものだと、第一段階の時点でチェックが入る可能性がゼロとは言えなくなりますね。
実際に税務署からお尋ねを受けたことはあるの?
美容医療案件ではありませんが、以前にありました。その依頼者の方はガンの治療をされていたのですが、ガンの治療薬というのはとても高額なんですね。医療費控除というのは最高で200万円までいけるのですが、そのマックスで提出をしたんです。
そうしたら税務署から電話で問い合わせがあったので、こういう治療薬を使用していて、治療費自体がもっと膨れ上がっているんだよ、と説明しました。
医療控除の注意点
まずは10万円という足きりのラインがあるので、とにかく領収書をきちんと集めて保管することですね。
そして控除の対象になるかならないかというところについては、税理士に相談していただくか、または税務署の相談窓口で聞いていただければと思います。
医療費控除になるだろうということで提出して、もし後で問い合わせがあればそれはしっかりと説明するなど、誠心誠意対応していただくことが大事ですね。
もしこれは医療費ではない、ということになれば修正申告が必要になります。そうなるとペナルティが加算されてしまいます。具体的には修正申告の追加税額と、それに対応する延滞税、そして罰金的な加算税ですね。
修正する手間もお金もかかることになってしまうので、医療費になるかならないかが曖昧な場合は、提出前に然るべきところに確認をした方がいいでしょう。
まとめ
・美容整形が控除対象になるかは治療内容による。
・医療費控除は本人と生活を共にしている配偶者や子どもの医療費が対象になる。
・医療費控除は基本的に10万円を超える部分にかかってくる。
・医療費控除の上限額は200万円。
・個人申告の申告内容の方が、税理士作成のものよりもお尋ねが来る可能性は高い。
・医療費控除が認められないと修正申告が必要になるなどペナルティもあるので、事前に医療控除の対象になるのか確認をしておくと安心。
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