不動産鑑定士・飛松先生に聞く「企業業績と不動産価格」

不動産鑑定士・飛松先生に聞く「企業業績と不動産価格」

インタビュー動画はこちら

企業の業績と不動産価格の関係性

企業の業績と不動産価格には関係性があります。というのも、企業の業績がよければ現金が残りますよね。その現金を将来的に業績が悪くなった時の備えとして不動産を購入するのに使うことがあります。

業績がよくなり、そのように考える企業が増えれば増えるほど不動産投資の需要が増えるので、不動産の価格が上がっていくという流れになる。そういった関係性があるんですね。

 

現在はどのような状況になっているの?

コロナも少し落ち着いてきていますが、これからはコロナ融資の返済も始まって企業が苦しい立場になっていきます。そうして業績の下がってしまう企業が増えてくると、今度は所有している不動産を売却して現金化しようという流れになってくるでしょう。

現在は需要と供給のバランスから見て、そうはなっていないかなという感じですが、今後銀行がどのような対応をするのかにもよって流れは変わってきます。

というのも、銀行も期限が来たらすぐに返せということにはならないとは思いますが、現金が今ないので不動産を売却して返そうと考える企業が増えると、不動産価格は下がっていく流れになるでしょう。

日均平均と不動産価格

不動産価格にはもちろん日経平均も関係してきます。現在の日経平均は28000円ほどですが、かなり昔ではありますが7000円くらいの時期もありました。だからと言って不動産価値も4分の1になるかと言うと、そうではないんですね。

不動産価格というのは、実は今が一番高いんです。いわゆる平成バブルの頃、昭和63年から平成元年頃が日本で一番高かったと言われていましたが、その当時銀座で一坪1億円くらいでした。現在は一坪1億3000万円くらいになっているので、バブルを超えた言われています。

一番安かった時代でも一坪4000万円くらいだったので、半分以下にはなっていますが4分の1とまではなってないですね。

 

企業業績が順調な会社は不動産を買うべき?

順調にいっている会社の社内には現金が多くあると思うんですね。ただその現金を残しておいても、インフレになってしまうと損になってしまいます。

では何を残すべきなのか。何かに投資をする、例えば金、株、不動産といろいろ対象はあります。その中でも不動産に投資をするという会社は今後増えてくると思いますので、そうなると競争になり、価格も上がっていくということはあるでしょう。

 

経営が苦しい場合は売った方がいい?

どのような不動産を持っているかにもよりますが、都心の一等地の不動産であれば今後さらに上がっていく可能性が高いので、我慢できるギリギリまでは取っておいて上がった時にドンと売り抜けるというのが一番いいと思います。

ただもう業績が限界に近づいてどうしようもないというのであれば、現金化するのも一つの方法ですよね。

不動産を売るまでのプロセス

不動産を売りに出して買い手がつくまでの期間としては、最短で2ヶ月ですね。いよいよ経営が苦しい、来月ちょっと持たないかも、というタイミングで不動産を売るには少々間に合わない。不動産を現金化するまでは最短でも2ヶ月から3ヶ月は見ておいた方がいいでしょう。思い立ったらすぐ、というのはなかなか難しいかもしれないですね。

 

不動産を見ると社会がわかる

もし就職を考えている企業が、どんどん不動産を購入しているような動きがあったとします。それは会社の業績が上がっているのである程度のキャッシュがあって、そして将来に向けてどんどん投資をしていっている、と捉えることが出来ます。

反対に、大手音楽会社や広告代理店が自社ビルを売却しています。これは実際にお金が廻っていないから資産を売却し始めている、今苦しい状態なんだ、というのはよくわかります。

こういうことから、不動産業界は社会を映す鏡とも言われています。

 

まとめ

・会社の業績と不動産は関係性がある。

・日経平均と不動産にも関係性はあるが、直結はしていない。

・不動産を売るまでには最低でも2か月はかかる。

・不動産を見ていると世の中の流れが見えてくる。

 

次回のコラムは「戦争の影響がここにも?建築費用の高騰」
燃料費の高騰やウッドショックなど、建築費用の高騰が止まらない!
この高騰の底はいつ訪れるのでしょうか。詳しくお話を伺いました。