【破産】弁護士・濱野先生に聞く!「免責不許可事由のついて」

Q 破産した場合、免責が許可されないのはどういった時?

A 破産法には、免責不許可事由が定められており、債務者の方に免責不許可事由がある場合、免責が許可されないことがあります。

Q 免責不許可事由にはどのようなものがあるのですか。

A 例えば、次のような場合には、免責不許可事由にあたる可能性があります。

① 財産を隠したり、壊したり、著しく低廉な金額で処分したりした場合

② 支払不能とわかりながら、高利貸しから借金をして他の借金の返済に充てたような場合やクレジットカードで物品を購入し、それを売却して現金を得るようなことをした場合

③ 特定の債権者にだけ返済をしたり、担保を差し入れたりした場合

④ 浪費やギャンブルによって財産を減らしたり、多額の借金をしたりした場合

⑤ 支払不能とわかりながら、クレジットカード等を利用して、分割払いや後払いの約定で物品を取得する行為をした場合

⑥ 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類等を隠滅し、偽造し、又は変造した場合

⑦ 虚偽の債権者名簿を提出した場合

⑧ 裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をした場合

⑨ 不正の手段により、破産管財人等の職務を妨害した場合

⑩ 過去に破産手続で免責許可決定を受けたり、民事再生法に基づき、再生計画認可決定や免責を受けたりしていて、これらの決定が確定した日から7年以内に免責許可の申立てをしている場合

⑪ 破産法に定められた破産者の義務に違反した場合

Q 免責不許可事由がある場合、免責される望みは絶たれてしまう?

A 免責不許可事由があるからといって、絶対に免責が許可されないわけではありません。ギャンブルしていたり、クレジットカードを使いすぎたりして破産する人は多いと思うのですが、裁判所は、破産に至った経緯その他一切の事情を考慮し、免責を許可することが相当と認めるときは、免責許可の決定をすることができます。これを「裁量免責」といいます。

Q どのような場合に裁量免責となるのでしょうか。

A ケースバイケースですので、一概には言えませんが、例えば、クレジットカードでブランド品購入や飲食遊興をし、給料の中から何とか支払をしていたが、リストラで退職を余儀なくされ、再就職先の安い給料では返済ができなくなり、サラ金から借り入れてクレジットカードの支払に充てていたところ、借金が膨らんでしまい、生まれて初めて破産した、という事案を想定してみましょう。この場合、「浪費」という免責不許可事由はありますが、返済ができなくなった直接的な理由は、リストラによる収入減少にあります。そこで、本人が反省し、収入の範囲内で生活し、二度と破産するようなことはしないと誓約しているようなときには、借金の額にもよりますが、裁判所が裁量で免責を許可することが多いのではないかと思います。

Q そのような事情を裁判所にわかってもらうには?

A 破産申立書類に裁量免責に関する事情を記載しておくのが有効です。事案によっては、本人が裁判官と面談し裁量免責に関する事情を説明することを求められる場合もあると思います。これを免責審尋といいます。なお、免責審尋までせずとも、ご本人の直筆の反省文の提出が求められる場合もあります。

免責不許可事由があるからといって、破産手続をすることを諦める必要はないということです。