【破産】弁護士・濱野先生に聞く!「破産手続と免責手続」

Q 破産すると債務は免除される?

A いいえ。破産しただけでは、債務は免除されません。裁判所の免責許可決定を受け、この決定が確定しなければなりません。破産手続と免責手続は別物となります。免責の手続は、個人の債務者のみ行うことができます。

Q 「免責」と「免除」は違う?

A 免責の法的性質については、債務そのものが消滅するという見解と、債務は消滅しないが弁済する責任が消滅するという見解があります。前者の見解に立てば、免責と免除は同じ効果となりますが、後者の見解に立てば免責と免除の効果は異なるということになります。

Q すべての債務が免責の対象?

A いいえ。免責許可決定を受けても免責されない債権があります。これを非免責債権といいます。

Q 非免責債権にはどのようなものがありますか。

A 例えば、養育費、婚姻費用分担金、税金、社会保険料、年金、罰金、債権者名簿に記載しなかった債権、悪意で加えた不法行為による損賠賠償請求権、故意又は重過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権などです。

Q 婚姻費用分担金とは?

A 簡単に言いますと、生活費のことです。例えば、別居中の夫婦の一方が他方に生活費を請求するような場合の請求権のことです。
この場合、債権者名簿からもれていた債権も免責されません。
ですから、破産申立てをするときは、債権者をもらさず記載する必要があります。自分が保証人になっているもの、反対に誰かに保証人になって貰っているもの、親族や知人に借りたお金などは忘れがちですので、気を付ける必要があります。

Q 保証人になって貰っているものも債権者になる?

A 保証人になって貰っている場合、その保証人が代わりに返済した場合、求償権という債権を有することになりますので、債権者になり得るのです。

Q 「悪意で加えた不法行為による損賠賠償請求権」とは?

A 例えば、詐欺の被害者の損害賠償債権などが考えらえます。誤振込された公金を誤振込だと知りながらネットカジノに費消してしまうような行為もこれに該当する可能性があります。

Q 「故意又は重過失により加えた人の生命又は
身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」

A 例えば、人を殴ってケガさせた場合の被害者の損害賠償請求権などが考えられます。また、飲酒運転で事故を起こし、歩行者にケガさせた場合の被害者の損害賠償請求権などもこれに該当すると思います。

Q 非免責債権を抱えている場合、破産しても楽にならない?

A 非免責債権があったとしても、それ以外の債権について免責を受けることができれば、家計に余裕ができ、分割で非免責債権を弁済することが可能となるでしょうから、破産手続と免責手続をすることには意味があると思います。