弁護士・大山滋郎先生に聞く!「成人年齢引き下げで起きる問題」
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成人年齢引き下げ 少年法との関係や影響は?
法律的には直接の関係はないんじゃないかと思いますね。成人年齢は20歳から18歳に引き下げられましたが、もともと少年法では18歳以下を少年として扱っていましたから。
そういう意味では、少年法の年齢に成人年齢が合わせてきたのかな、というところはあります。
なぜ今成人年齢引き下げ?
世界的にも18歳くらいで成人、というところが多いですよね。国際化というか、他の国の基準とどんどん合わせていこうということなんでしょうね。日本だけいつまでも独自路線というのはおかしいですから。大きいところで見れば、トレンドとしてはそうならざるを得ないのではないでしょうか。
成人年齢引き下げ 問題は出て来ている?
まだ施行されてから時間が経っていませんからね。ただ理屈から言えば、今までは18歳、19歳の子どもが何かを契約してしまった時に、親が出て行って取り消すよ、と一言言って終わっていたという案件もあったかと思います。そういう意味では、新しく揉め事が起きている、というのもあるのではないでしょうか。
実際に私の子どもが19歳の時のことですが、とあるものを購入してしまった時に、親として出て行って取り消したことが一度あります(笑)
成人になった後でも守ってくれる法律は?
消費者保護法や、特定商取引法などがあります。弱い立場の消費者を守るためのものですね。また、キャッチなどの危険な類型に関しては、厳しく制限をかけていこうという法律もあります。
そういった方面の法律がどんどん充実してきている中で、実際に今までも未成年だから絶対に取り消す、という人はあまりいなかったと思うんです。年齢が原因ではなく、あくまでも内容に対してどうも納得いかないから、という理由での取り消しが多かったのではないかと。
そういったものに関しては18歳からでも消費者法での取り消しは可能です。
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事前に内容がどういうものなのか、ちゃんとした説明があったのかどうか。そういうところで取り消しが出来る可能性というのは十分あります。
もともと、内容が非常に怪しいところですよね。そこまで怪しいやり方になってくると、法律で細かいことをどうこう言わなくても、おそらく「そんなものは突っぱねろ」と弁護士に相談したら言われると思います。あとから理由は考えるので、まず突っぱねてください、と。理屈は後でこちらで考えます(笑)
成人年齢の引き下げは、18歳、19歳にとってプレッシャーになるのでは……
そういった意味での影響力は大きいと思います。
今までは未成年だから何とかなるんじゃないかな、という意識を持っていた人たちが、これからは18歳から成人なのだから自分できちんと取らなければならない、と。責任感を持つことはある意味いいことなんですけどね。
ただそういう意識のもとで、親にも言わず、誰にも相談しないでアルバイトをして払おうという人が出てくる可能性というのはいかにもありそうです。
そういう意味では成人年齢を引き下げたということの影響は無視できないのかな、という気もしますね。
不安を抱える新成人にアドバイスを
消費者保護法などは、20歳でも30歳でも40歳でも守ってくれます。知らないことは恥でも何でもないので、遠慮せず人に聞いて、自分を守っていくということが大切だと思います。
次回のコラムは・・・
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映画化され、社会問題にもなった「痴漢冤罪」。実際にわが身に降りかかった時にどのように対処すればいいのか。弁護士はどうやって見つけたらいいのか。
実際に案件を扱ったこともある、弁護士の大山先生に詳しくお話を伺いました。