【法改正】弁護士・横田先生に聞く「相続法改正」前半

弁護士・横田先生に聞く「相続法改正」前半

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相続法が大改正された?

相続制度は令和に大改正

2018年に改正相続法が成立

2019年(一部は2020年)から施行済み

 

「相続法」という法律がある?

じつは「相続法」という名前の法律はありません

日本の相続制度は「民法」という法律の中で規定されている

この「民法」という法律は、「私法の一般法」。民事上の法律関係のベースとなる法律

「民法」には何が書いてある?

「民法」の条文は全部で1050条

第1編 総則  民法全体のルール。法律用語の定義や法律行為の無効・取消、時効など

第2編 物権  所有権、抵当権といった「物」に対する権利

第3編 債権  債権法も令和に大改正があった部分。「債権」というのは「人」に対する権利。

「契約責任」や「不法行為責任」など。例えば、売買契約、賃貸借契約、交通事故などでの不法行為

第4編 親族  「親族関係」、親子関係や夫婦関係,婚姻や離婚について。

第5編 相続  第882条から1050条まで。合計169条

 

相続の規定が169個?

民法の882条から1050条の全169条に、相続に関する規定

例えば、法定相続人、法定相続分、相続の効力、相続放棄、遺言、遺留分など

 

法定相続人_「相続人」って亡くなった方の家族全員?

亡くなった方の親族のうち誰が相続人になるのか、それは民法で規定されています

まず、配偶者は常に相続人。

配偶者以外の相続人は

第1順位:被相続人の子 (孫)

第2順位:被相続人の父母(祖父母)

第3順位:被相続人の兄弟姉妹

■民法890条

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。

この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

■民法887条

1項 被相続人の子は、相続人となる。

2項 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき(略)は、その者の子がこれを代襲して相続人となる。

(代襲相続)

3項 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し(略)た場合について準用する。

(再代襲相続)

■民法889条

1項 次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がいない場合には、次に掲げる順位に従って相続人となる。

一、被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二、被相続人の兄弟姉妹

2項 第887条2項の規定は、前項第2号の場合について準用する。

※887条2項は準用しているが、3項は準用していない。

兄弟姉妹に代襲相続はあるが(亡くなった方から見ると甥や姪)、再代襲相続はない(甥姪のこどもは相続人になれない)

法定相続分_相続人は誰が何割相続する?

相続人のうち誰が何割相続するか、法定相続分というものが民法で規定されている

① 配偶者と子が相続人の場合

配偶者1/2 子(全員で):1/2

② 配偶者と親が相続人の場合

配偶者2/3 親(全員で):1/3

③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者3/4 兄弟姉妹(全員で):1/4

 

根拠規定_相続の割合って変えられる?

民法902条のとおり遺言で各相続人の相続の割合を指定することができます

遺言によってもらえる遺産が減る場合もある?

相続割合の指定により相続分が少なくなってしまうことはあり得ます。

その場合、その相続人には「遺留分」という一定の権利が保障されています。

後半にでてくる遺留分の項目で説明します