不動産鑑定士・飛松先生に聞く「まるで漫画やドラマの世界! 立ち退き問題」
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街並みの変化。戸建てが立ち退き新たなマンションが建つ風景。
私が不動産鑑定士になってから20年以上が経ちます。その間に時代は平成から令和へと変化しました。
この間に街の風景は変わっていき、数軒の戸建てが無くなり、そこに新たなマンションが建つ、という光景もよく目にするようになりました。
マンションなどを建てる際に、立ち退きに関するトラブルが起こることがあります。漫画やドラマなどでよく描かれている荒っぽい手段での立ち退きというのは、1991年に施行された暴力団対策法(暴対法)により少なくなってきています。
ただ現在も、見かけはスマートですが言っていることは荒っぽく、乱暴に立ち退きを迫る、という手段を取ってくる方は残念ながらまだいるようです。
下町で起きた高齢者の立ち退きトラブル
私は下町の、昭和初期の建物が立ち並んでいるような場所の出身です。そんな私の実家からすぐのところに昔ながらの長屋があり、そこに高齢の女性が一人暮らしをされていたんです。その方の遭遇した立ち退きトラブルについてお話をしていきますね。
この土地の所有者は女性ではなく別におり、建物はこの方が建てて40~50年くらいそこで暮らしていた、という背景です。
長屋のうち、その方が住んでいる家以外の方がすでに立ち退きをされていました。最後の一人である高齢の女性の方を何とか安く立ち退かせたいと、土地の所有者が依頼をした立ち退き業者の方から、50万円で立ち退くように提案がありました。
50万円では今度どうにも出来ない、ということで女性は自身の息子に相談をして、そこから様々な伝手を頼り私のところに依頼が来ました。
実際に女性のご自宅に伺って話を聞きましたが、50万円というのはあまりにも安くて何も出来ない。ではその数字を納得出来るところまで上げましょう、ということになりました。
私がその土地の鑑定をして、結果を立ち退き業者から土地の所有者に渡してもらったところ、50万円から350万円まで立ち退き料が値上がりしました。約7倍ですね。
交渉としてこちらは500万円を希望していたのですが、350万円だったら払えるということでした。
その金額で女性と息子さんには納得していただき、女性は退去後に施設に入ることが出来ました。双方納得して今後の生活の見通しも立ったので、いい形になったと思います。
立ち退きトラブルも不動産鑑定士に相談可能
こういった相談は、訴訟になってしまうと弁護士が代理になって動くことが多いのですが、揉める前であれば不動産鑑定士が入ることもあります。
立ち退きの相場というのは一般の方にはわからないところだと思いますので、ぜひご相談ください。
高齢者を狙った不動産トラブルは多い
土地に絡んだ、相場を知らない方を相手に安く買いたたこうとするトラブルというのは、弱者を狙ったものが多いです。中でも高齢の方や女性の方はターゲットになりやすいんですね。
知識がないと狙われる可能性も高くなりますので、知識のある人間を味方につけることが大切です。
別件ですが、離婚をする際に夫側から財産分与は行わないと言われてそれを信じてしまっている方がいたんです。話を聞く限りでは妻側に瑕疵がなかったので、相談に乗った結果2000万円くらい財産分与をした上で離婚出来ました。今後の生活の足しにもなったでしょうし、よかったなと。
知識は人を助けます。立ち退き問題など、困ったことがあればぜひご相談ください。
まとめ
・暴対法により以前のような荒っぽい立ち退きはなくなりつつあるが、トラブルが起こることも。
・立ち退きの相場を知らない一般の方は、専門家の知識を得て対抗することが大切。
・高齢者や女性は狙われやすい。困ったことがあればぜひ専門家に相談を!