箕村先生に聞く!「寄付と節税」(後編)

箕村先生に聞く!「寄付と節税」(後編)

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前編では寄付と節税について細かくお話をしてきました。

後編では、私が実際に受けた寄付の案件についてお話をしていきます。

 

 

本当にあった寄付のハナシ(1)

私の依頼人の方のお母さまが施設に入っており、そこで亡くなられました。その施設にとてもお世話になったのでぜひ寄付をしたい、とお母様の遺産の相続人の方から相談を受けたんですね。税金の優遇などがあるのか、という点を主に質問いただきました。

寄付については、寄付控除のお話をして、お母様のいた施設が認定されている施設なのかどうかについて聞かれました。認定されているかについては、例えば実際に寄付をした場合に、認定施設であれば証明書を発行出来るはずなので、そちらを聞いてみてはどうか、とお話をしたんですね。

その後実際に寄付をされたのですが、その時に受け取ったのが証明書ではなく領収書だったんです。これでは控除の対象にならないので、もうちょっとお話を聞かれた方が、とお伝えしました。

結局その施設は寄付金控除の対象ではなかったので。30万円をやっぱり返してもらったと。ちょっとお笑いのようなお話ですね。

この場合、一般の方同士のやり取りなので、寄付金控除の対象になるのかどうか、証明書か領収書かというところに関して、ちょっと意思の疎通が難しかったようです。

お母様の遺産から寄付をしようと考えたようですが、そこに節税効果があるかないかを紐づけしようとするとなかなかハードルが高いのかな、というところですね、

 

本当にあった寄付のハナシ(2)

もう一つのお話は、ある資産家の方が亡くなりそうになった時のことです。こちらも相続にまつわるお話ですね。

このケースではいわゆる特定公益増進法人を新たに設立して、そこに遺産を寄付したいと。

要は、そこに資産を逃がしたい、というお話だったんですね。

公益増進法人であれば法律上寄付をすれば全額控除、節税対策になると、どこからか聞いてこられてのことのようでした。

公益増進法人というのはパっと作れるようなものではないので、難しいと思います。
という話で終わった相談です。

寄付先になるようなところというのは、公共性、公益性がかなり重視されます。
私利私欲のために設立して資金を逃がすとか、私腹を肥やすとか、そういう風には使えないように当然なっているんですね。

結局設立することはなく、お亡くなりになったあと普通に相続をされたようです。

 

 

遺産相続の節税対策は?

遺産相続の場合「措置法70 非課税」というものがあります。
相続をする財産から国や地方公共団体、あるいは特定公益増進法人へ寄付をすると、その分財産は減りますが相続税が軽減されます。

 

 

特定公益増進法人とは?

簡単に言えば、公共的に、皆さんの役に立つようなことをする団体のことを指します。

例えば日本赤十字社であったり、学校法人などもそうですね。他には社会福祉法人。公共性が高いところが特定公益増進法人というくくりになります。

 

 

寄付の証明書を発行出来る団体になるためには?

日本は縦割り社会なので、どこかにまとめて一括りで相談出来るところはないんです。

学校法人であれば文部科学省、病院であれば厚生労働省など、それぞれ管轄の省庁役所に申請をして手続きを進めていくことが必要になってきます。

 

 

寄付控除を受けたら確定申告をするの?

個人で寄付控除を受けた場合、所得税の確定申告をしないと控除の機会を失ってしまいます。

法人の場合は毎年決算をしますので、そのタイミングで経費計上して限度額計算をして法人税を払っていく、ということになります。

 

 

寄付を検討されている皆さんにアドバイスを!

寄付行為とは、義援金でも支援金でもそうですが、気持ちの表れだと思うんです。

ふるさと納税であったり、お世話になった施設や団体への寄付というのは、それをすることによって世の中が良くなるんだ、という気持ちで行うことが大切なのではないでしょうか。

 

 

まとめ

・遺産相続時に財産を寄付すると「措置法70 非課税」が適用されることがある。

・寄付の証明書を発行出来るようになるためにはそれぞれの団体の所轄の省庁・役所に申請をすることが必要。

・寄付控除を受けた際には個人では確定申告、法人では決算での報告が必要。