【U.K.さんに聞く】「芸能界、フリーランスへの転向増加?」

U.K.さんに聞く「芸能界、フリーランスへの転向増加?」

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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」くっすんことU.K.さん。今回はU.K.さんに「芸能界、フリーランスへの転向増加?」というテーマについてお話を伺いました。

 

U.K.

関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。

ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。

 

U.K.さん、個人事務所を設立! フリーランスに。

―U.K.さん、独立なさったんですね。おめでとうございます!

 

U.K.:そうなんです、2021年の10月に独立しまして。株式会社DO THOURGHの代表取締役兼所属タレントでございます。

 

―U.K.さんを含め、芸能界ではフリーランスになる方が続出しています。なぜでしょうか。

 

U.K.:まずコロナ禍、というのが最も大きな要因かと思います。コロナ禍になった瞬間、全てが止まりました。動きが止まった時って、みんな我に帰るんですよね、このまま自分はこの事務所に居続けていいものだろうか、と。

そしてふと気づくんですよね、今って直接連絡を取る手段が以前と比べてたくさんあるんだな、と。SNSという存在があるということに。

今までの営業では、マネージャーが所属タレントのプロフィールを持って様々な放送局に出向き、それを配るということをしていました。そういった場で人間関係を作り「今うちにはこんなタレントがいるんです」と紹介する方法が主流でした。

そういった営業も引き続きされていますが、それ以上にタレント自身が今この瞬間どうしているか、というのをSNSで見せることが出来る。アピール出来る場所が今はたくさんあるんですね。

自分から積極的に行かなくても、SNSを通じてどういう人間かは先方には伝わっている。ある程度知名度があればSNS経由で仕事がやってくる、連絡がやってくる、ということもあるんです。

実際に僕自身も、先日和歌山県太子町で行われたフェスの司会をしましたが、そのオファーをSNS経由で頂いています。

 

―直接DMなどSNS経由で仕事の話をされて、疑ったりはしないんですか?

 

U.K.:依頼人の会社や組織のHPを見て、あからさまに怪しければ警戒しますけどね。企画書などもすぐに送って頂いたので、これは大丈夫だな、とわかったところで話を勧めさせていただきました。

 

―昔は仕事の依頼をするためとはいえ、連絡先の電話番号を聞くのはハードルが高かった。けれどInstagramのアカウントを教えてください、というのは言いやすいですね。

 

U.K.:そうですね。依頼したい側も自分が気になった人の情報は調べればすぐにわかるので、連絡の取りようがいくらでもある。そういう意味でもタレントさんたちは事務所要らずになってきているのかな。

 

 

事務所に所属することのメリット

―事務所に所属していなくても活動は出来るのかなという印象ですが、事務所にいた方が便利なことというのはあるのですか?

 

U.K.:2つあります。1つめはギャラ交渉です。事務所がしてくれます。守ってくれるということですね。

もう1つは、トラブルが起きた時ですね。例えば自分がコロナに罹ってしまい、テレビ番組へのゲスト出演が難しくなってしまった時に、事務所に所属しているタレントに代わりに行ってもらう、ということが出来ます。これは事務所に所属しているからこその利点ですね。

他にも、例えばアイドルやダンスグループなどはマーケティングでの演出がとても大事になってくるんです。事務所の大人がいろいろと、ショービジネスのいわば道のりを作ってくれるので、そういった方たちはプロデュース力のある事務所に入っている方が絶対にいいでしょうね。

 

今までの慣習がなくなり、選択肢をみんなが持ち始めている

―最近はタレントもそうですが、放送局のアナウンサーもフリーランスになる方が続出しています。その中で、アナウンサーの仕事だけではなく次のキャリアに進んでいく方も見受けられます。どのようにお考えですか?

 

U.K.:今までの日本の悪い慣習がなくなりつつあるのではないでしょうか。1つの会社に一生捧げなければならない、さもなければ裏切り者だ、というような、いわば昔の武士のような世界観。そういったものがどんどん溶けてなくなっていく中で、自分の人生をここで終わらせるわけにはいかないと、選択肢をみんなどんどん持ち始めているのではないかな。

もう一つの要因としてはIT化、SNSの台頭で、どうしても放送局の給料自体が下がって来ていると思うんです。

僕も詳しいことはわかりませんが、そういう状況かなと。大手の放送局であるフジテレビでも早期退職の話がありましたよね。
ここに居続けるよりも、ここを出て新しいことを見つけてみよう。そんな風にリセットボタンを押しやすくなっているのではないでしょうか。

 

―安定よりも、自身のやりがいや生きがいを優先する傾向があるのでしょうか。

 

U.K.:その通りだと思います。今までメディアと言えばテレビが最高、ナンバーワンでした。僕にとってのあこがれは今もテレビ局です。でもそれだけではない、様々な選択肢が増えているからこそなんでしょうね。

またテレビの世界だと、タレントもアナウンサーもそうですが、どうしても旬、というものがあります。僕も正直旬は過ぎてしまっているタレントです。

 

―そんなことないですよ。

 

U.K.:そういってくれるのはアナタだけです! 例えばあるテレビ番組に自分が呼ばれていないと、こういう番組に呼ばれていないということはもう次がないかもなとか、そういうことを考えてしまうんですよ。だから一回外に出て見ようかな、とか。

逆に、今めちゃくちゃ売れているからこそ外に出るべき!と考える人もいるでしょうね。

 

 

やりたいことを貫くために組織を抜ける選択をする人も

―芸能界へは毎年常に新しい人が入って来て、常にバトル状態ですよね。アナウンサーは新しく入ってくるのは年に1回ですが、その1回にメガトン級のスター候補が来たら…もう冷や冷やしますね。

 

U.K.:そういうことになるんですよ。枠は限られていますから。

ここに居続けても次はないかなとか、もっともっとテレビに出続けたいと考えた時に、フリーランスになればいろいろな放送局で仕事が出来るチャンスがあるのではないでしょうか。地方局も合わせればいろいろなところに出やすくなりますよね。

個人的な意見ですが、東京の放送局のアナウンサーである程度露出のある人は、僕はフリーランスになった方がいいのではないかと。

放送局に在籍を続けていても、メインのキャスターにならない限りは、年々アナウンサーの仕事よりもサラリーマンとして、現場ではない仕事が増えていく。それは組織にいる以上仕方のないことですが、現場にこだわりたい人もいますよね。

そういう人は敢えて会社に見切りをつけて、心機一転違うところで違うことをやろう、と決心するようになるのではないでしょうか。

 

―芸能界もアナウンサーの仕事も、とても狭き門です。そこに入ることが出来て、さらには次のステージへ行くために独立してフリーランスになる。これには相当な覚悟が必要ですよね。

一方でそこまでの狭き門ではなくても、様々な会社を受けて今の会社で働いている、新入社員の方々がいます。その中には自分の思っていた場所では無いなと感じていたり、ここでずっとはやっていけないなと悩んでいる人たちもいらっしゃるでしょう。

その人たちが独立をするタレントやアナウンサーの姿を見て背中を押されるような気持になったら、その次はどう行動したらいいのでしょうか。

 

U.K.:悶々としている人ってたくさんいますよね。僕自身も悶々としています。そんな中で何をするべきかと言ったら、自分の生きてきた使命は何か、ということをまず考えてみたらいいのではないでしょうか。

 

―「使命」ですか。

 

U.K.:僕自身はおしゃべりをしてそれを発信することを使命だと思い、そこに向けて邁進してきました。ですがコロナ禍でレギュラーが半分なくなり、いろいろなものが止まってしまった時に「果たしてこれは自分にとって向いているものなのか」「もっと向いているものがあるんじゃないか」という気持ちになったんです。

そういう時って、新しいものを見つけられる、っていう「ワクワク」を大事にしてほしいと思うんです。自分に向いていないかもしれない、次はどうしよう、と考える時はみんな不安になります。でも不安に陥ると、どんどん不安な出来事が起きるんですよ。

じゃあどうすればいいのかというと、例えば催眠術で「あなたは犬になる」と言われたらどうなると思いますか?

まず脳が「自分は犬だ」と認識して、そこから行動がどんどん犬化していって、犬として行動をしていくんです。

自分の中で不安な状況、先が見えない状況。それは自分にとって不安なことなのか、それとも新しいチャンスを得るワクワクのタイミングなのか。そこをどう考えるか次第なんですよね。

結果を求めてから自分の感情を求めるからおかしいことがいっぱい起きるんです。結果の出来事が起きるまでずっと不安だったら、なかなかいい方向には進みません。結果が出る前でも、もういい結果が出た、という気持ちでいることが大切だと思うんです。

なかなか出来ないことではありますが、僕は不安だな、怖いな、と思った瞬間に「いやいや今日も楽しく、今日はスペシャルな日だ。竹内まりやさんの『毎日がスペシャル』を聴いてみよう!」と考えるようにしています。

 

 

結果を求めるよりも「ワクワク」を求めよう

―将棋で有名な藤井聡太さんが「一番大切なことは探求心」と仰っていましたが、そういうことなんですね。

 

U.K.:藤井さんの探求心の中にはワクワクが詰まっていたのではないでしょうか。ワクワクが詰まっている状態で探求するからこそ結果が出るんですよ。みんなまずは結果を求めるからうまくいかないんです。

 

―新しい会社に入って一ヶ月ほど経過し、最近ワクワクしていないな、会社に行くのはしんどいな、と感じている方へアドバイスをお願いします。

 

U.K.:なかなかね、若い子たちにワクワクしなさいよと言っても難しいかと思います。じゃあどうしたらいいのかというと、辞めるということではなくて、有休をとれるなら取ってみるとか、自分の中でリセットをする環境を作ってみてください。旅行に行く、というのもいいですね。いろいろな方の話を聞くのもいいと思います。

ただ単に自分の殻に閉じ思ってじっとしている、これが一番よくないです。

ワクワクしようと思っていてもなかなか出来ませんよね。僕もなかなか出来ないですし、この年になってからようやくわかってきました。20代では難しいと思いますから、自分の環境を変える努力をしてみてください。自然に触れるのもいいですね。

 

―森林療法というのもあるんですよね。樹にハグをしたり。

 

U.K.:一番いいですね。森林浴をすることで鬱が快方に向かう方も結構いるそうです。アーシングですね。