【U.K.さん教えて】「平手打ち問題と怒りの対処法」

「平手打ち問題と怒りの対処法」

 

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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」、くっすんことU.K.さん。
今回はU.K.さんに「平手打ち問題と怒りの対処法」というテーマについてお話を伺いました。

 

 

U.K.

関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。

ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。

 

ーアメリカの映画俳優であるウィル・スミスの平手打ち事件は衝撃的でした。

どのような事件だったかというと、アカデミー賞発表の会場で司会をしていたコメディアンのクリス・ロックがウィル・スミスの奥様の病気のことで冗談を言って、それに激怒したウィル・スミスが舞台上でクリス・ロックを殴打した、というものです。

U.K.:ステージまで行って相手を殴打するんですよ。これはよっぽどの怒りがないと出来ないことですよね。

―もしもU.K.:さんがウィル・スミスと同じような場面に立ったらどうされますか?

U.K.:僕だったら、妻の手を取って会場を去りますね。妻をディスられるというのはとても屈辱的なことで。一番守らないといけない存在ですよね。子どももそうですが、妻もそうだと僕は思っているんです。

その妻を守れないのは、男としても人としてもだめだし、それで成功者とは言えないですよね。だからこそ僕だったら、妻を侮辱された時点でもう出ようと。アカデミー賞なんてどうでもいいよと。その方が後々、エンターテイナーとしてもいい形で名は広まるのではないでしょうか。

―文句の一つも言わず平手打ちもせずに会場を出る、ということですか?

U.K.:出る。もうそれしかないです。

 

 

暴力に訴えた時点で「負け」になる

―あの平手打ちは絶対にだめ、と。

U.K.:気持ちはわかるんです。あんな形で奥様を侮辱されてそれは腹も立つでしょうけど、かといって殴打するというのはね。どう考えても、暴力に訴えた時点でウィル・スミスは負けだと思うんです。一般の男性ならそうしてしまうかもしれないけど、ウィル・スミスはエンターテイメントの世界で数億円どころではなく、数十、数百億円稼ぐ人です。それだけの影響力がある。

エンターテイメントの世界にいるということは、それだけリスクもあるということなんです。そのリスクをどう背負うかというと、しっかりと自分の中でモラルを持っていないといけない。暴力に訴えてはだめだということを考えないといけない。模範にならないといけないんですよね。

 

 

衝撃! ロケ中に突然の平手打ち

―U.K.さんが芸能界にいて衝撃的だったことってありますか?

U.K.:バンド名は言えないんですけど、テレビの収録で某レコードショップでそのアーティストを待っていたんですね。その方がすごく変わった方だというのは周知のことだったので、ちょっと緊張しながら待っていたんです。撮影が始まった瞬間、その方が一人でワーっと喋り出したんですよ。それで僕が「いやいや、MCが横にいますよ」と言った瞬間に、「うるせえ!」と平手打ちを食らって。

「何するんですか、やめてくださいよ」と言って、とにかくすべてをネタにして笑いにしようとしたんですけど、そうしたら反対の手で叩こうとしたんです。その時は止めました。僕は空手11級ですので、バシッと止めたんです。

それで「冷静になりましょう」と言ったらだんだん冷静になってくれたのですが、僕はいったい何が起きているのかよくわからないままでした。その状況でアーティストに付いているスタッフが「ちょっとこれは放送しないでください」と言ってきて。やってきたのはそっちだろうと思いながらも、僕は一生懸命ネタにしようと頑張っていた。それにも関わらず結局そこはカットされてしまいました。

その後、なんでこんなことをしたのか本人に聞いたんです。そしたら「おまえ、芸人じゃないの?」と言われて。

僕は芸人じゃないですし、そもそもその言い方は芸人さんに失礼ですよね。そう思いながら「僕は芸人ではないですよ」言ったら「そうなんだ、ごめんね」と。その瞬間にもうこの人大嫌いだ、と思う出来事でした。

その後、その方の所属するレコード会社の方にコンサートに招待されてイヤイヤながらも行って、楽屋挨拶もお願いされたので伺ったんです。そこで仲直りしてほしい、という意図があったんでしょうね。仲直りも何も一方的に殴られただけなんですけども。

ライブが終わってから楽屋に伺ったんですが、もしもまた殴られたら今度は絶対に殴り返すぞと思っていたんです。すべてを捨ててもいい、でも喧嘩したら多分負けるなと。それでも殴ってやろうと思っていたんです。

でも向こうが僕を見た瞬間に、バンドメンバー全員並べて90度のお辞儀をしてくれたんですよ。そして顔を上げて「今日は本当に来てくれてありがとう」と。その言葉に対して僕は「今日は最高のライブでした! 大ファンでした!!」って言っちゃいました(笑)

―U.K.さん……。まぁ、いわゆる社会の波に乗ることも大切ですからね。

ちょっと本題に戻りますと、最近は自分の感情をコントロール出来ず、暴力をふるってしまうような事件がたくさんあります。そういう人たちは、何が足りずにそうなってしまうのでしょうか。

U.K.:自分を客観視する力ですね。それに尽きます。

人間はどこでものを考えるかというと、脳ですよね。例えば脳をタクシーの運転手だとして、自分自身は乗客だと考えてみてください。自分が運転をするからスピードを出したりブレーキをかけたりと色々するわけです。時には乱暴に走ってしまって、それが暴力になる。でもそれは自分じゃないんです。

自分はそのタクシーの後ろに乗っている乗客だと思えば、もしタクシーが暴走しようとしたらすぐに「おいおいスピード出し過ぎだぞ」と冷静に物事を見ることが出来ます。自分の脳は運転手で、自分自身は乗客だと客観視する目線、そういう事じゃないかと僕は思います。

感情的になるとスピードを出すドライバーになってしまいかねないので、そういう時には「今はタクシーに乗っていて、自分は乗客だ」と考えることで宥めることも出来るのではないでしょうか。

時には「もうちょっとスピード出した方がいい」ということもあると思います。そういう客観視する能力が大事ですね。

ー今は5月です。新しい会社で働き始めて、思っていた理想と現実の違いに衝撃を受けてイライラが募っている人たちもたくさんいるのではないでしょうか。その人たちにぜひアドバイスをお願いします。

 

U.K.:自分自身をドライバーだと思うから、タクシーから降りようとしたりしてしまうんです。でも自分自身が乗客なら、タクシーは乗り心地良いですよね。悪いことはないはずなんです。
自分がしんどいと思っても、それは自分が思っているのではなく自分の脳がそう判断しているだけなんだ、と置き換える。まずは自分の脳を騙してみてください。

「騙す」というのは悪い言葉ですが、騙すことでポジティブになれる。まずは前向きになる、それが一番いい方法なんですが、なかなか前向きに離れない。だからこそ、脳を騙す。客観視をする、ということですね。