税理士・箕村先生に聞く!「ゼロ金利政策と日本のこれから」(後編)
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続・ゼロ金利政策は問題解決よりも先送り?
前半からの続きをお話しします。なぜイエスか、というところですね。
失われたもの、なくなったもの埋めるというのはなかなか大変です。
この「コロナ融資」というのは失った期間の収益や利益を補うために国が音頭を取って資金調達をしています。
かれこれ3年ほどコロナ禍が続いていますので、ずっと失われ続けている、という意味で先送りをしているのかな、と。
悪い意味での先送りではなく、将来の回復。世の中の状況が変わり、業績も復活して、返済することに繋がっていく。
そういった意味では今解決ということではなく、将来への期待値を込めた「先送り」ということなのではないでしょうか。
コロナ禍が明けたら旅行に行こう、と言っていた方も、結局3年も状況が進まない中で、この使わなかったお金を明けた後に実際にどーんと旅行に使うかというと、そうではないですよね。またいつコロナ禍に入るのか、明日のことも、これからの景気のこともわからない。そうなると貯めて居たお金をどんどん使い、消費拡大に繋がる、とはさすがに思えないですよね。
コロナ禍が終焉を迎えても、世界にはまだまだ問題が山積み
コロナ禍がひと段落しそうかな、というタイミングでウクライナ問題や物価の上昇など、様々な問題が出てきました。
明日を生きていくためにはどうしたらいいのかとちょっと身構えてしまいますし、喜ばしい材料がないのかなと感じてしまいます。
新型コロナウィルスに関しては、どういうものなのかを皆さんもだんだん経験から理解をしてきているのではないでしょうか。ですが、戦争に関しては今のところ直接の当事者ではありませんが、間接的に様々な影響が出始めていますよね。物がなくなり、物価が上昇する。私たちの生活に直結するので怖いですね。
コロナ融資は2022年6月まで申請期間が延長に。
これは再延長もあり得る?
この融資は名前の通り新型コロナウィルス感染症特別貸付なので、コロナ禍が収束していけば延長はないかと思います。ただ今までも収束かと思えばまた第○波、と続いています。これがこのまま続いていたら。そして、いわゆる中小企業、個人事業主も含めてこれらの会社の資金繰りがひっ迫していれば、国が新たな融資制度を発表するかもしれません。
この融資を受けるには要件があります。前年に比較して売上がどれくらい下がったかとか、開業から一年にも満たない新規の事業者であれば、比較できる月でどれくらい売上が下がったかを示すことが必要です。
それを満たせば6000万円まではゼロ金利で借りられます。
この融資制度で貸し出しているお金を
回収出来なかったらどうなる?
ゼロ金利で貸し出している融資金額は、民間の金融機関が35.5兆円、
政府系金融機関が20.9兆円。合計で54.4兆円にも上ります。
万が一これらのお金が焦げ付いてしまったら、というお話をしていきます。
経済学者の先生によって見解は変わるのですが、国債を発行するのでビクともしない、という説もあります。
日本にはまだまだ資産があるので、100兆円が焦げ付いたとしても100兆円の資産がある。
全然大丈夫だ、と仰っているんですね。
この資産というのは外国の国債であったり、有価証券、いわゆる不動産も含みます。他には一般会計ではない特別会計が持っている資産であったり、そういったもので問題なく賄える、という説を唱えている方もいます。
ちなみに、全国の金融機関が個人と法人に貸し出しているお金は2021年9月の時点で580兆円という、ちょっと想像も出来ないような金額になっています。
これらがすべて焦げ付く、ということはないかと思いますし、万が一あったら日本は終わりだなと思うのですが、この1%だけでも5兆円。
コロナ禍における失われた期間が増えることで負債も増えていきますので、コロナ禍が続くことでこれらが少しずつ少しずつ焦げ付いていくのかと考えると少し怖いですね。
日本を取り巻く様々な問題。
この状況は「ピンチ」か「チャンス」か
ある意味、ピンチでもありチャンスでもあるのではないでしょうか。
ピンチという意味では、やはり先行きが見えないので皆さんも不安をお持ちでしょうし、どうしたらいいのかと迷いを持っている方も多いでしょう。