【倒産】弁護士・濱野先生に聞く!「そもそも[倒産]とは何?!」①

Q 「倒産」とは何でしょうか。

A 誤解を恐れずに言えば、「倒産」とは、資産よりも負債の方が多い状態、約束通りの返済や支払ができない状態を言います。

Q 「倒産」は会社がするイメージですが、個人が「倒産」することもあるのでしょうか。

A 例えば、失業したり、給料が減ったりして住宅ローンが返せなくなった、そこで、その住宅を売ろうとしたが、売った代金でローンが返せない、という状況を想像してみてください。これはまさに「倒産」の状態です。したがって、個人でも「倒産」するということはあり得ます。

Q 「倒産」の状態になるとどうなるのでしょうか。

A 会社であれば、銀行にお金が返せなくなり、銀行から資産を差し押さえられることがありますし、取引先への支払ができなくなって、仕入れができず、給料が支払えなくなって従業員に仕事をしてもらえなくなり、事業を続けていくことが困難となってしまいます。個人であれば、住宅ローンが支払えなくなって銀行がその住宅を競売にかける、家賃が支払えなくなって出て行かなければならなくなる、携帯電話料金が支払えなくなるというように、生活が立ち行かなくなってしまいます。

Q そのような状態を回避する手段はないのでしょうか。

A 「倒産」状態となっても、会社や個人が立ち直れるように、法的手続や解決手続きがあります。例えば、破産、民事再生、会社更生、特別清算、私的整理などがあります。

Q 「破産」「民事再生」などはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。

A 「倒産」の状態から立ち直る方法としては、今ある資産を売却して弁済し、不足分を免除してもらうやり方と、資産は売却せず、資産以上の金額を一定期間弁済し、不足分を免除してもらうやり方があります。前者を清算型の倒産処理といい、後者を再建型の倒産処理といいます。清算型の代表的なものが「破産」であり、再建型の代表的なものが「民事再生」です。「特別清算」はその名のとおり清算型です。「会社更生」は、「更生」という言葉どおり、再建型となります。

Q 「私的整理」というのは清算型と再建型のどちらになるのでしょうか。

A 「破産」「民事再生」「会社更生」「特別清算」は、法律に基づいた手続で、「法的整理」ということになります。これに対し、「私的整理」は法律に基づかない債務整理方法で、再建型もあれば、清算型もあります。

Q 清算型と再建型で何が違うのでしょうか。

A 清算型は、資産を売却して弁済しますので、会社は原則として事業を続けられません。個人で事業をしている場合(例えば、個人で飲食店をしている場合など)も同様です。これに対し、債権型は、資産を保有して事業を続けることが原則となり、収入の中から債権者への弁済することが必要になります。

清算型は、一旦リセットするイメージであり、再建型は債務を圧縮して支払っていくというイメージとなります。

Q 清算型と再建型はどちらを選べばよいのでしょうか。

A 事業を続けたい、持っている資産を処分したくない、という場合は、債権型を検討します。事業は続けられない、収入がほとんど見込めない、債務を圧縮しても弁済の見通しが立たない、という場合には清算型を検討することになります。それぞれの会社や個人の置かれている状況に応じて、清算型なのか再建型なのかを検討するということが必要ですね。