【金融】税理士・箕村先生に聞く!「ゼロ金利政策と日本のこれから」(前半)

税理士・箕村先生に聞く!「ゼロ金利政策と日本のこれから」(前半)

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ゼロ金利とは?

国が行う「ゼロ金利政策」の中で、私たちの暮らしに直結するものにいわゆる「コロナ融資」があります。正式には「新型コロナウィルス感染症対策特別貸付」という名称です。この貸付に対して、一部ゼロ金利が適用されています。

これは国の制度融資というもので、このコロナ禍を乗り切るために予算を付けています。簡単に言うとコロナ禍で困っている事業者の方々に国がお金を貸してくれます。

融資では本来であればお金を借りた時点で利息が発生し、借りたお金である「元本」とは別に支払う必要があります。ですがこの融資では数年間利息が-0.9%に設定され、その利息に対して一部の対象者には中小企業基盤整備機構からの利子補給が受けられるので、実質利息がゼロとなります。

利息の額=信頼度?

皆さんが誰かにお金を貸して、と頼まれた場合。この人はきちんと返してくれるという信頼のおける人が相手であれば、利息など付けずにそのまま貸してあげたい、と思うでしょう。反対にこの人返してくれるのかな?というちょっと心配な方に対しては、念のため利息を付けておきたい、と考えるのではないでしょうか。

実際に利息を付けずに貸し借りをすると贈与とみなされてしまう可能性もあるのですが、要は「ここに貸してもきちんと返ってくる」というところに対しては利息が低く、「ここは戻ってくるかどうか怪しい」というところに対しては利息が高くなる、という話なんですね。

国に関しても、国債の利回りが68%というところもあります。そういったところは信用度合が低いので高利で釣っている、そうしないとお金が集まらない、ということなんです。

コロナ融資で言うと、事業を継続するために借りるものなので、返済に関して安心度が高いかというとそうではないですよね。破綻してしまう可能性も残念ながらないとは言えません。本来なら利息を高めにしたいという思惑が働くところですが、こちらに関しては国の制度融資なのでその考え方はされないんですね。

コロナ禍で銀行の店舗が減っている?

制度融資というのは国が資金を用意し、それを金融機関や政府系の銀行が貸し付けています。銀行が自らのお金を貸し付けるということではないので、おそらく銀行は国から事務手数料などを受け取って収益を上げているのではないかと思います。手間はかかりますが確実な収益に繋がっているんですね。

昔の銀行は、融資をしてその利息を得る、というのが収益の柱でした。しかし今はもう住宅ローンの金利なども下がっていますし、ゼロ金利政策もあり、利息で利益を得る収益モデルがすでに崩れてしまっています。そんな中、銀行では「フィービジネス」への取り組みを広げています。

銀行を訪れた際に、保険や投資信託を勧められたことはないでしょうか。これらを契約すると、保険会社や証券会社から銀行へ手数料が支払われます。このビジネスをフィービジネスと呼びます。

こういった新しい形の手数料での収益モデルを展開するのと同時に、会社の合併や事業承継等の数をこなして手数料を得るという業務の仕組みになっているので、店舗を維持することもなかなか難しく、中には減らさざるを得ないような状況に陥る銀行もあるのでしょうね。

ゼロ金利政策は問題解決よりも先送り? 

イエスかノーかで答えると「イエス」ですね。こちらについて詳しくは後編でお話をしていきます。

まとめ

・ゼロ金利とは国が行っている「ゼロ金利政策」のこと。

・利息の額は信頼度を測るバロメーター。

・銀行は利息で利益を得るよりも手数料での利益を収益の柱に転換。