【不動産】不動産鑑定士・飛松先生に聞く「タワーマンション廃墟化問題2022」

不動産鑑定士・飛松先生に聞く「タワーマンション廃墟化問題2022

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「タワーマンション廃墟化」という衝撃的な言葉

実際に廃墟化したタワーマンションという例はないので、あくまで予想の範疇でのお話です。ただ、これからそういったことが起きる可能性はあるでしょう。

日本で一番古いタワーマンションは1976年に建てられた埼玉県の「与野ハウス」が有名ですね。その後1997年の建築基準法改正に伴い、タワーマンションの建造ラッシュが始まりました。この建造ラッシュはその後も続きます。

一般的にマンションは竣工から15年から20年の間に1回目の大規模修繕を行います。建造ラッシュの時期に建てられたタワーマンションが大規模修繕の時期をどんどん迎えており、そのピークが2022年と言われています。

外国人投資家の投資先としての日本のタワーマンション

タワーマンションが建て始められた頃に、外国の投資家がこぞって購入していきました。投資家は実際には物件に住まず、賃貸に出して日本の方が住むというケースがよく見受けられました。

賃貸の場合、修繕積立金を支払うのはオーナーなのですが、オーナーが海外の方である時に「自分の国に修繕積立金の仕組みがないので、支払いたくない」と支払いをしてくれない困ったケースがあるんですね。

マンションには管理組合がありますが、管理組合がそういった方から修繕積立金を回収しようとしても、実際に在住しているのは海外なので簡単に直接行くことも出来ません。

そういったことから未払いの修繕積立金をなかなか回収出来ないという問題が大きくなってきています。実際にそれが原因で修繕積立金が回収出来ていないタワーマンションがある、という話も実際に聞くことがあります。

きちんと修繕積立金を回収し、積み立てを行っているタワーマンションがほとんどでしょうが、中にはそういったマンションもある、ということですね。

タワーマンションの大規模修繕の方法 費用は足りるの?

10階建て前後のマンションであれば足場を組んで大規模修繕を行うことが可能ですが、30階や40階といった高層マンションでそれは出来ません。

この場合、上からゴンドラを吊るしてそこから作業をしていきます。時間も費用も足場を組むより多くかかりますね。

この作業にかかる費用は修繕積立金で足りる計算になっていますが、実際に大規模修繕を実施しているマンションは少ないので、現実的に可能だったのか、ということがわかるような事例が今は少ない、というのが現状です。

もしも修繕積立金が足りなかった場合は、負担に応じて毎月の修繕積立金をプラスしていく、という方法が取られるでしょう。毎月2万円収めていたものを、例えば3万円や4万円に増額する、という形ですね。

修繕積立金の金額は家の価値によって変動します。タワーマンションというのは一般的に高層階の方が価値が高くなっていますので、高層階に住んでいる方の方が低層階の方よりも多く修繕積立金を支払うという形になっています。

タワーマンションの二種類の用途

タワーマンションは居住用、投資用とそれぞれ二つの用途で購入される方が多いですね。

ざっくりと分けると高級なタワーマンション、いわゆる億ションと呼ばれるようなものは居住用に購入する方よりも投資用に購入される方が多いです。

大阪の話ですが、販売価格が4000万から5000万円くらいの物件は実需が高く、居住用として購入されるケースが多いですね。

タワーマンションの値段はこれからも上がる?

現在の坪単価が最も高いところで500万円から600万円、つまり20坪だと大体1億から12000万円というタワーマンションが結構出て来ています。これが天井だと言われているのですが、実は昨年は坪単価400万円から500万円で、これが天井だと言われていたんです。ですが実際は値上がっている。このことからも、まだ上がっていく可能性はあるのかな、と考えています。

タワーマンションの購入を考えている方へ

もしも私がタワーマンションを購入するのであれば、という目線からお話をします。

まず、アドレスを気にしますね。大阪で言えば北区にあるのか、中央区にあるのか、西区にあるのか。アドレスによって次に売る時の価値が変わってきます。

次にタワーマンションは水に弱いので、水害の可能性のある場所海や川の近くや地盤の弱いところは避けるでしょう。

実際に2019年、神奈川県の川崎市、武蔵小杉駅近くのタワーマンションで地下にある機械室が水没し、エレベーターが故障し動かなくなるという事例がありました。一週間くらい階段しか使えず、住人の方はとても大変だったかと思います。

これはほとんどのタワーマンションで起きる可能性がありますし、実際にタワーマンションは震災や水害に弱いと言われています。そういったリスクを回避するためにも、地盤が強くて水害に遭わないタワーマンション。なおかつ、人気のあるアドレスであるというのが良いのではないでしょうか。

私はタワーマンションは持っていませんが、もし購入するのであれば上町台地や南は天王寺、北は谷四(谷町四丁目)あたりのエリアですね。この辺りは値下がりの心配もないですし、水害の可能性もほとんどないと思うので、このエリアを選びます。