【制度改正】育児休業制度の改正について解説

育児休業制度の改正について解説

近年では、男性の育児参加が当たり前になりつつありますが、育児休暇を取得する男性の数は多くありません。その対策として2021年に、出産育児による離職を防ぎ、希望に応じて番所ともに育児と仕事を両立することを目的とし、「育児・介護休業法」が改正されました。

改正育児・介護休業法は2022年4月から段階的に施行されます。本記事では、「育児・介護休業法」の概要や改正ポイントを専門家の意見をもとに解説していきます。

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育児・介護休業法とは?

現在の日本では、少子高齢化にともない人口減少が進んでいることから、人材不足が問題になっています。その対策として、働き方の選択肢を増やすことで、仕事と育児の両立を実現し、出産や育児による離職を防止する社会をつくっていくことが重要です。

厚生労働省によると、男性の育児休業取得率は2019年度が7.48%、2020年度は12.65%と上昇傾向にはあるものの、女性の育児休業取得率は2019年度が83%、2020年度は81.6%と大きな差があります。

出産や育児による離職を防止することを目的として生まれた法律が「育児・介護休業法」であり、「育児休業制度」です。育児休業制度は、子どもが1歳になるまでに休業を取得できる制度で、対象には女性だけでなく男性も含まれます。

2022年4月1日からの改正ポイント

2022年4月1日からは、企業に対し育児休業を取得しやすい環境整備と、申し出に対する個別周知・意向確認が義務となります。これは、育児休業取得のための「窓口設置」を求められているということです。

窓口は、申し出を受け付けるだけでなく、育児休業の権利を持つ従業員に対し、育児休業取得の意向を確認することも求められています。企業は窓口を決めて、Webサイトや社内報で周知することも必要です。

具体的には以下のいずれかひとつ以上の実施が求められています。

・研修

・相談窓口設置

・取得事例の収集提供

・取得促進の方針周知

また、これまでは有期雇用労働者は、1年以上勤務していることが育児休業を取得する条件でしたが、2022年4月1日からは、その条件が緩和されました。

2022年10月1日からの改正ポイント

2022年10月1日からは育児休業の分割取得が可能になります。また、今回の法改正に合わせた育児休業給付に関する社内規程の整備も要求されています。

ポイントとなるのは、育児休業の分割取得です。出産から8週間以内に4週間以内の休暇を2回取得できることが認められました。8週間経過後はさらに2回の育児休業を取得できるため、合計4回の休業を取得できることになります。

気になるポイント

育児休業の申請期間については、2週間前までと定められています。育児休業を取得したい2週間前までに申請すれば休業できることになりますが、引き継ぎの準備を考えると、現実的にはもっと早いほうが良いでしょう。

また、これまでは育児休業中に働くことは認められていませんでした。今回の改正により、労使協定締結のもと事前に日時の合意があれば、休業中も働くことが可能です。この制度は、あくまでも働き方の選択肢を増やすための改正であることを理解しましょう。

まとめ

2022年4月1日から育児・介護休業法が段階的に施行されます。改正により4月1日からは、育児休業に対する「窓口設置」と申し出に対する個別周知・意向確認が義務化されます。

10月1日からは分割取得の回数も増え、出産8週間以内に2回、8週間経過後に2回の合計4回の育児休業が取得できるようになりました。また、労使協定締結のもと事前に合意があれば、休業中に働くことも可能です。

これにより、家族の休業や働き方に多くの選択肢が生まれることになります。制度を理解し、自身の状況に合わせて育児休業を取得しましょう。