【U.K.さん教えて!】芸能歴20年のUKさんが語る「テレビとYouTubeの違い」

芸能歴20年のUKさんが語る「テレビとYouTubeの違い」

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関西ではお馴染みのDJタレント、「関西のたれ目王子」、くっすんことU.K.さん。今回はU.K.さんに「テレビとYouTubeの違い」というテーマについてお話を伺いました。

U.K.

関西を中心に活動するDJタレント。本名は楠雄二朗、通称「くっすん」。

ラジオを中心に、現在はテレビなどのメディアや音楽イベントの司会などでも大活躍。2015年には守口市 夢・未来大使に就任。活躍の幅を今なお広げ続けている。

初めてカメラの前に立ったのは高校生の時のCM撮影。

―U.K.さんがテレビに初めて出たのはいつ頃でしたか?

U.K.:初めてカメラの前に立った、という意味では高校生の時ですね。六甲山人工スキー場(現在は六甲山スノーパークに改名)のCMに出ていました。

関西の人なら皆さんゆかりのある場所ですね!

U.K.:そうです! 今から30年くらい前ですね。

―1990年代前半ですね。皆がテレビを見ていた時代です。

U.K.:というか、テレビとラジオしかない時代でしたね。

今回は「2021年度、マスコミの4媒体いわゆるテレビ、新聞、雑誌、ラジオの広告費の合計がインターネットの広告費ほ合計を下回った」というトピックスを取り上げます。本当にデジタル社会になって来たな、という感じがしますね。

U.K.:そういうことですよね。僕は今年で48歳になる年なので、若い方からするとお父さんやお母さんと同年代なのかな。そんな我々にとって、テレビやラジオというのは夢の箱だったんですよ。

テレビが今みたいに薄くない、ブラウン管で見た目も箱のようで。この中に入りたいという想いでこの仕事を目指してきたので、ある意味で僕は明治時代に侍で居続けるおっさんのようなものなんです。

テレビに出ることと、SNSに出ることの違い

昔はテレビに出られる人というのは本当に一握りでした。けれど現在はオンラインで有名になりたいと考えたらTikTokInstagramなど、いくつもの手段がありますよね。この状況についてどう感じていますか?

U.K.:誰にでもスターになれるチャンスがあるのと同時に、一方では信ぴょう性がないなとも感じています。つまり、演出次第ですよね、という。Instagramを見ていてすごく魅力的な方がいて、イベントで会いに行ったらなにかちょっとこう、写真や動画とは違うな、と感じたことはないですか?

加工や演出の技術が発展して、何倍も美しく嘘がつけてしまう世の中というのはどうなのだろう、という気持ちもあります。

ネットというのは辞典のような正しさではなく、ウィキペディア的と言いますか、ちょっと調べ物をするにはいいのですが、本格的に調べるにはやはり辞典ですよね、と。浅く影響力を持つだけならSNSでも良いのでしょうが、深いところにまで行くためにはやはりSNS媒体だけではなく、テレビやラジオなどの既存の媒体に売り込みをしていかないと、ワンステージ、ツーステージ上がることは難しいのではないかと。

インフルエンサーやYouTuberなど、SNSの世界からテレビの世界に飛び出すことはなかなか難しいのでしょうか。

U.K.:難しいですね。なぜかというと、テレビというのはドラマなんです。

YouTubeは自分たちで勝手に作りあげることが出来る、本音もしくは嘘。自分たちだけで作る、自作自演のものなんですね。

テレビは演出家がいて、脚本家がいて、様々なスタッフがいて、全員で作り上げるいわばドラマなんです。出演者の方に関しても、いじられキャラの方を置いたらいりじキャラの方を置く。さらにそれを中和するような方を置いて、頭の回転の速い方も置く、と配置に関して一つの絵図のように作りあげる、それがテレビの世界なんですね。

そのように作り込まれているところに入り込むのは、すごく難しいことなんです。そこに入り込んでしっかりとタレントとして活躍するのは難しいというところが、自分で出演機会を作ることの出来るYouTubeとテレビの違いですね。

テレビはチームで、SNSは個人もしくはごく小さなチームで運営されていることの違い、ということでしょうか。

U.K.:その通りです。

若者へ売り込みたい企業はインターネットの広告に力を入れている

広告収入の比率が逆転した要因はどのようなものなのでしょうか。

U.K.:それはやっぱり、企業がF1M1層を欲しがるからですね。

―F1M1とはなんですか?

U.K.:F1とは女性で2040代、M1は男性で2040代の年代を指す言葉ですね。

僕の娘がちょうど18歳なんですが、85分くらいはSNSを見ています。あとの15分は家で食事をしている時に一緒にテレビを見ているか、好きなドラマだけをピンポイントで見ているか。基本はSNSしか見ていないんです。

そんな層に刺さる商品をどんどん広告したい企業にとっては、SNSでの広告展開が格好のチャンスなんですよね。しかもSNSの広告費用はテレビに比べるとかなり安いです。

テレビやラジオはエンタメだけではなく、報道機関としての側面も持つ

―U.K.さんは現在ラジオのお仕事はされていますか?

U.K.:はい。FM大阪と毎日放送でしています。

ラジオというのは音のみのメディアですよね。SNS界隈ではclubhouseというものが一時期ブームになりましたが、今ではあまり話題にはなっていないようです。マスメディアでのラジオは成り立つけれど、SNSではラジオ的なものが成り立たない、その理由についてどうお考えですか?

U.K.:正直、ラジオも今はなかなか厳しい状況にあります。ただ僕ら世代はラジオで育ってきていて、そういう方たちが今もラジオを聞いて、ラジオ文化を支えてくれているのではないでしょうか。

もう一つ、ラジオやテレビというのは総務省の認可が必要で、その上で報道機関としての立場もあります。日本は災害が多く、また様々な事件事故があった時に正しいニュースを正しいタイミングで届ける、それがテレビやラジオの役割なんですね。だからこそ人は情報を得るためにもラジオを聞いてくださっていますし、車に乗ればラジオを聞きたくなるのではないでしょうか。

SNSで活躍するためには若者世代の支持が必要

最近テレビであまり見かけないタレントさんがSNSYouTubeで活躍されている、ということがよくありますね。

U.K.:そういう方たちがどの層に刺さっているかというと、やっぱりF1層、M1層なんです。例えばタレントの小島よしおさんは一発ギャグが有名ですが、あの方は早稲田大学を卒業されていて勉強が出来ますよね。そこを活かして子どもたちにわかりやすく勉強も教えています。そういう付加価値があるからこそ、彼はYouTuberとしてブレイクしたのではないでしょうか。つまり、若い層にどれだけ受けるかがポイントになるのだと思います。

―U.K.さんは今後、マスメディアのスーパースターを目指していくのか、それともYouTuberを目指していきますか?

U.K.:正直、どっちなのかはわからないですね。ただ、YouTubeではないことは確かです。

なぜかというと、先ほども言いましたが僕はテレビを魔法の箱だと思っていて、この中に入りたくて今のこの仕事を目指し始めました。

始めた時はこの箱の中に自分が入れるなんて想像もしていなかったんです。でも、今は何とか入れるようになっています。ぎりぎり、かろうじてですけど()

だからこそ、この仕事を少しでも長く続けたいというのが僕の夢なので、まずはそこかな。

今やっている仕事で売れたいという想いはありますが、正直この年になると売れる売れないというよりは自分がどう生きるか、というところにフォーカスして進んでいきたいと考えていますね。