【税金】インボイス制度『適格請求書』を徹底解説!

今回は「小学生にもわかるインボイス制度(後編)」ということでお話をしていきます。

「適格請求書」とは?

適格請求書とはTから始まる13ケタのインボイス番号が記載され、商品ごとに税率が異なる場合(軽減税率が適用されている場合など)は税率ごとに区分して記載された形式のものです。詳しい見本は国税庁のHPで閲覧することが可能です。

今までの請求書にはインボイス番号の記載もなく、商品ごとに税率を記載する必要もなかったのですが、適格請求書ではきちんと記載することが求められます。

課税事業者と免税事業者について詳しく解説

「課税事業者」とは消費税を納めている事業者、「免税事業者」とは消費税を納めていない事業者です。

消費税を納める・納めないという区分は2年前の売上の金額が1000万円以上であるかどうか、というところにあります。売上が1期目から1000万円を連続して超える事業者は3期目から消費税を納める必要があり、反対に1期目から連続して1000万円以下の事業者は消費税を納めなくてよい(免税)ということになっていました。

202310月のインボイス制度の開始に伴い、その時点から課税事業者は請求書にインボイス番号を記載することが必要になります。インボイス番号の記載されている請求書を受け取った方は「この事業者は課税事業者だから、消費税の控除が可能だ」という判断が出来ます。

免税事業者はインボイス番号の発行をそもそもしてもらえないので、請求書に記載することは出来ません。インボイス番号のない請求書を受け取った方は「この事業者は免税事業者だから、消費税の控除が出来ない」と判断することが出来ます。

今までは消費税を事業者が納税しているかどうかを知ることは出来なかったのですが、インボイス制度の導入により請求書を見れば発行元の事業者が課税事業者なのか免税事業者なのかを知ることが出来るようになります。

もっと言うと、請求書に商品が10万円、消費税が1万円と記載があったとします。今までは請求書の発行元が課税事業者か免税事業者か、という点は特に意識されることもなかったと思いますが、免税事業者だった場合には「免税事業者なのに消費税を上乗せしている?」というケースも出てくるでしょう。

また消費税を明記していなくても、インボイス番号がなければ消費税の控除が出来ないので、最悪は取引を辞められてしまうなど、そういったことにも繋がりかねないという懸念はあります。

免税事業者の危機

今までは売上が1000万円を超え続けて3年目から消費税の課税事業者になっていました。

ここのところを、パターンとして個人事業主として1年目、2年目と過ごし、3年目から法人化、そこからまた2年間消費税の課税事業者とならないようにすることで、消費税的な節税をする手法がありました。これも使えなくなる可能性が出て来ますね。

課税事業者にならず免税事業者となることで節税をする方法でしたが、免税事業者でいることによって、相手先に敬遠されて取引自体が出来なくなったりしてしまう可能性もあります。

インボイス制度で恩恵を受けるのは誰?

控除になるかならないか、というところが今まではある意味ふわっとしていました。ですがインボイス制度の導入により、収めている、払っている、という関係が横に繋がることで、国として消費税の税収が上がっていきます。

前編でインボイス制度になることにより消費税の差額が50万円ほどある例を出しましたが、それで誰が損をしていたかというと国だったわけです。

この制度の導入により、そこの部分を漏れなく回収できるので国の税収は上がっていくでしょう。

2023年の10月からすべてがスタートする?

国もそこまで厳しくはなく、猶予期間というのを設けています。

適格請求書ではない請求書が来た場合、令和5101日から3年間は80%の控除が受けられます。3年経っておしまいではなく、80%控除の期間終了後からはさらに3年間50%控除の期間が設けられます。

インボイス制度は6年間の猶予期間があり、7年目から完全導入、という形になります。

注視していく必要のある制度

免税事業者にとっても課税事業者にとっても、税の負担が増えたりはたまた売上が減ったり、取引がなくなるなど、切実なことに繋がってしまう可能性があります。

今後も注視していくことが大切ですね。

まとめ

・適格請求書とは、インボイス番号や異なる税率の表示など、国税庁の定める形式に則った請求書のこと。

・課税事業者と免税事業者について、今までは支払い側がそれを知ることは出来なかったが、インボイス導入をしているかどうかで判断することが可能となった。

・免税事業者として節税することが過去には出来ていたが、免税事業者であること自体が取引先から敬遠される可能性もあるので、節税手法が使えなくなる可能性も。

202310月からスタートするインボイス制度には、6年の猶予期間がある。

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