【不動産】プライベート「キャンプ場」購入で注意すべき市街化調整区域

プライベート「キャンプ場」購入で注意すべき市街化調整区域 :飛松先生インタビュー

近年、流行しているキャンプ。自らキャンプ場を購入する人も増えてきています。プライベートキャンプ場を購入する場合に、注意しなければならないことがあります。購入する土地が市街化調整区域に該当するかということです。

市街化調整区域には、その土地でできることに制限があります。本記事では市街化調整区域でのキャンプ場購入時に注意すべきポイントについて、専門家の意見をもとに解説していきます。

市街化調整区域って何?

市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域、つまり「都市化を抑制して田舎の風景を守っていこう」と定めた区域のことです。1968年の都市計画法において、無秩序な都市化を制限し、計画的に市街化を進めるために制定されました。

固定資産税が安いことや都市計画税が掛からないことから、山や土地を購入する人が増えてきています。

市街化調整区域はどのようなことをしてOK?NG?

市街化調整区域は、今ある風景を守っていくための区域であるため、原則なにもできません。都市開発はもちろん、建築自体が禁止されています。そのため、キャンプ場で見かけるロッジやコテージはもちろんのこと、管理棟やトイレ棟、シャワー棟は作ることはできません。例外として、農家住宅や公共施設のほか、ロードサイドとなるガソリンスタンドやコンビニ、道の駅に、老人ホームをはじめとした社会福祉施設は建てることができます。

市街化調整区域で建てられる「建築物」はどんな物があるの?

市街化調整区域では、原則として建物が建てられません。農家住宅であれば専業、兼業問わず立てることが許されていますが、キャンプ場を作る人全員が農家ということは考えにくいでしょう。

ただし、市街化調整区域への区分が指定された1968年~1971年の期間以前に建てられた建築物であれば、増築や改築が認められています。キャンプ場として購入する土地に、そのような建物があれば、管理棟として活用することは可能です。

建物の定義としては、基礎があり、その場所に定着できるものになります。そのため、テントは建物に該当しません。市街化調整区域でのキャンプ場は、基本的に利用者がテントを持ち込んでキャンプをするようなシンプルなキャンプ場になります。

その他のキャンプ場の注意事項?

近年、キャンプを問わず山を購入する人が増えてきています。そのときに問題となっていることは、維持管理をしないことです。木が生えっぱなしにしている、土を積みっぱなしにしているといった維持管理をしない人がいることで、隣接している住民や町会とトラブルになっているケースがあります。

農地や林地は、境界線が曖昧です。境界線をめぐるトラブルも発生しているため注意が必要です。また、市街化調整区域では下水が通っていない区域が多いことも注意点として挙げられます。

見逃しがちなポイントは出口戦略です。市街化調整区域の山や土地を購入した場合、建物が建てられないことから用途が限定されるため、転売しようとしてもなかなか転売できません。しっかりと出口戦略を立てておくことが大切です。

社会福祉施設であれば建築を許可されているため、老人ホーム運営のような福祉施設運営は有効な活用方法のひとつと言えるでしょう。

まとめ

市街化調整区域は「都市化を抑制して田舎の風景を守っていこう」と定めた区域のことです。今ある風景を守っていくための区域であるため、建築自体が禁止されています。そのため、市街化調整区域でのキャンプ場は、基本的に利用者がテントを持ち込んでキャンプをするようなシンプルなキャンプ場となるでしょう。

市街化調整区域で山を購入した場合、維持管理や境界線をめぐるトラブルが発生するケースもあります。また、出口戦略を立てずに山を購入した場合、転売しようとしても、なかなか買い手が見つからないといったケースもあります。

計画を立てたうえで山を購入し、適切な維持管理をしたうえでキャンプ場を運営しましょう。