不動産鑑定士・飛松智志先生に聞く「小学生にもわかる公示地価」飛松先生のインタビュー動画はこちら
公示地価とは1月1日時点での全国の標準地の土地の価格を、3月に国土交通省が発表する、その価格のことです。
標準地は全国に約26000ポイントあり、全国の不動産鑑定士が毎年10月から12月くらいにかけて調査をし、3月1日に公表します。
基本的には毎年同じポイントを調査するので、だいたいの場所において前年との対比が出来ます。1番古いポイントでは40年くらい前のものもあり、現在どれくらい高くなっているのか、あるいは安くなっているのかがわかる仕組みとなっています。
目次
なぜ毎年国土交通省は公示地価を発表するのか
この制度がなぜ出来たのかというと、不動産における民民の取引を規制する法律がなかったんですね。そうすると不動産の売買をする時に同じ土地の取引価格が倍になったり半分になったり、ということがありました。
基準を決めないと価格の相場が一般の方にはわからないということで、国土交通層が全国の専門家に依頼をし、エリアの大体の相場を出しましょうと定めたのが公示地価の制度です。
平成バブルの時代、平成元年ごろでは同じ土地の価格は3か月で倍になったり、1年で3倍になる、というようなこともありました。そのような投機的な取引を規制するために、一般的な水準を専門家に決めさせてそれらを抑制する、という目的のために作られました。
同じ土地の価格が3か月後には倍に⁉︎なぜそんな事が起こるのか
平成バブル時には「土地神話」というものがありました。土地は絶対に値下がらない、という神話です。
例えばある土地をAさんが購入し、Bさんへ売る。すると土地の値段は1.5倍になりました。その後BさんがCさんにその土地を販売すると、さらに価格は1.5倍に! というように、取引をすればするほど値段が上がるので、土地の値段がどんどん上がっていきました。
公示地価=販売価格?
販売価格は、売主と買主が納得すればその価格になります。公示地価は一般的な目安を定めているものですが、販売価格というのは需要と供給のバランスによって決まります。
公示地価は専門家がこのエリアはこの価格だ、と客観的な目安を決めているので、販売価格とは違うものになります。
「一物五価」とは?
1つの不動産に対して5つの価格がある、という意味です。5つをそれぞれ解説していきます。
「公示地価」は国土交通省が定めている価格。
「基準地価」は各都道府県が定めている価格。
「路線価」は国税庁が定めている価格。
「固定資産税評価」各市町村が定めている価格。
「実勢価格」は民間の取引の価格。
「公示地価」「基準地価」「路線価」「固定資産税消化」に関しては、公共的な期間が決めている価格です。不動産鑑定士が依頼を受けて鑑定しているので、このバランスは不動産鑑定士が決めていると言われています。
実勢価格の基準とは
実勢評価というのは結構バラつきがあります。例えば売り主が不動産屋で買主が一般の方であると、売主側が情報を多く持っているので売り主有利の価格で決まります。
反対に買主が専門家だと買主有利のかかくになってしまう。実勢価格は取引当事者によってばらつきがでてしまうのですが、そのばらつきが出ないように作ったのが前者の4つの価格です。
欲しい土地の価格の目安を知りたい時には
一般の方が不動産購入を考えている時に目安に出来るのが「路線価」ですね。これは国税庁のホームページに行けば誰でも見ることが出来ます。
各道路ごとに価格が定められていて、その価格は大体実勢価格の80%の価値であると言われています。ですので路線価の1.2倍くらいが実勢価格と言われていますので、それを目安にします。例えば価格が路線価の1.5倍であれば少々高いな、という判断になりますし、1.1倍であれば少々安いな、という風に判断が出来ます。これが一番簡単なので、土地価格の目安を知るには「路線価」を見るのがいいでしょう。
<まとめ>
・「公示地価」を管轄しているのは国土交通省。
・「公示地価」は一般の方が土地の値段の目安を知るための仕組み。
・「一物五価」とは、一つの土地に対して五つの価格がある、という意味。
・土地の実勢価格の目安を知るには「路線価」を調べよう。
・「路線価」は実勢価格のおよそ80%である。